閉じる

即戦力の獲得に有効。リファラル採用に失敗しないためのポイント

即戦力の獲得に有効。リファラル採用に失敗しないためのポイント

新型コロナウイルス感染症が猛威をふるった2020年は、多くの企業が働き方をはじめさまざまな変化を迫られる1年でした。その中でも、従来であれば面接など対面が一般的だった採用活動は、オンライン化を迫られています。さらには、観光業や飲食業では採用活動そのものが中止になっていることも連日の報道で記憶に新しいのではないでしょうか。

独立行政法人労働制作研究・研究機構の「都道府県別有効求人倍率」によれば、2019年10月時点で1.58だった有効求人倍率は、2020年1月では1.49、2020年10月には1.04まで落ち込んでいます。さらに大学生の就職内定率への影響は顕著であり、厚生労働省と文部科学省の調査「令和3年3月大学等卒業予定者の就職内定状況」によれば、大学生の内定率は5年ぶりに70%を下回る69.8%と大きな下落幅となりました。

こうした状況の中で徐々に経済が回り始めているものの、企業では将来を見据えた採用力の強化が求められています。そんなときに有効なのが、自社の社員に採用条件にマッチする知人や友人を紹介してもらう「リファラル採用」です。

今回は、さまざまなメリットが見られるリファラル採用について、注意点や成功のポイントを含め紹介します。

リファラル採用とは

即戦力の獲得に有効。リファラル採用に失敗しないためのポイント_1

リファラル(referral/紹介・推薦)採用とは、社員から紹介・推薦された知人や友人を対象に先行をおこなう採用手法のことを指します。リファラル採用は求人サイトへの掲載や採用イベントへの参加をする必要が無く、採用コストを大幅にカットできることから中小企業、ベンチャー企業を中心に導入が進んでいました。

リファラル採用が注目される背景


リファラル採用が注目されるようになった背景には、「採用活動の精度向上」が求められるようになった点があります。

リファラル採用では、人柄をよく知る自社の社員からの紹介・推薦によって選考の対象を決めるため、適性やスキルを把握しやすいという特徴があります。履歴書や職務経歴書だけでは見えてこない人柄も社員から伝えられるため、ミスマッチを防ぎながら即戦力を採用できる可能性が高くなります。

応募する側も、企業で実際に働いている知人や友人から「プロジェクトの前後はどうしても勤務時間が長くなってしまう」、「基本給は競合他社と比べると低いが、副業が推奨されているので稼げる」といったリアルな情報が得られ、応募するか慎重に検討できます。結果として、リファラル採用では双方においてミスマッチを未然に防げます。

縁故採用との違い


紹介者の仲介が入る点では、リファラル採用と縁故採用(コネ採用)は共通しています。しかし、血縁関係や特別な関係によって人材を採用する縁故採用とは異なり、リファラル採用では一定のレベルに達していなければ採用を見送ることも少なくありません。

能力やスキルを持っていなくても、取引先や社内の有力者の紹介であれば採用される縁故採用はネガティブなイメージもありますが、必ずしも採用にはつながらず、社員の誰しもが人材を紹介できるリファラル採用はポジティブなイメージが持たれています。

リファラル採用のメリット

即戦力の獲得に有効。リファラル採用に失敗しないためのポイント_2

リファラル採用には、以下のようなメリットがあります。

潜在層へのアプローチ


求人サイトや転職イベントのターゲットは、今まさに転職を考えている人に限られます。また、高いスキルや知識を有していたとしても、転職イベントの参加や求人サイトの登録を望まない人材であれば出会うことも容易ではありません。

しかし、リファラル採用では友人や知人からの話から自社に興味を持った人と接触する機会が得られます。「条件が良ければ転職したい」と考えている潜在層にアプローチすることは、採用活動の幅を広げるチャンスでもあります。

採用活動の簡略化


通常の採用活動では、求人広告に掲載する広告の準備や転職イベントの参加準備など、コストだけでなく多くの手間や時間も必要となります。しかしリファラル採用では採用のプロセスが簡略化され、人事部門担当者の負担軽減が期待できます。

離職率の低下


リファラル採用から入社が決まった人にとって、職場に自社を紹介した友人・知人がいるとささいな疑問や悩みを相談しやすくなります。選考を受ける前にも具体的な社風や事業内容、ビジョンを伝えられていることで入社後のギャップが生じにくく、離職率の低下も防げます。

即戦力の採用


リファラル採用では、「学生時代に同じ研究室だった」、「前職で同じ部署にいた」など、紹介者同じ専門性を持つ人材を獲得しやすくなります。未経験の人材よりも育成にかける時間をカットでき、即戦力として活躍してもらえる可能性も高くなるでしょう。

リファラル採用の注意点

即戦力の獲得に有効。リファラル採用に失敗しないためのポイント_3

リファラル採用はメリットが多い反面、注意点を理解していないとかえって採用活動を鈍化させるリスクもあります。

エンゲージメント向上の必要性


リファラル採用では、人材の採用時に紹介者にインセンティブを支払うことが一般的ですが、どれほどインセンティブが高額であっても企業に魅力がなければ紹介されないでしょう。
自社の社員に人材を紹介してもらうためには、自社で働く社員が周りに紹介したくなるような職場環境が必須です。外部だけではなく、まずは社内のエンゲージメントを高めることから意識する必要があります。

不採用時の配慮


紹介を受けた人材が採用に至らなかった場合、ふたりの関係性に影響が出ることは避けられません。不採用の理由を説明し、双方が納得できるようなフォローも必須です。

紹介者退職後のフォロー


リファラル採用は紹介する側・紹介される側の間に信頼関係があるからこそ成立しています。もしも紹介者が退職すれば、紹介を受けた側にとって大きな喪失となり、モチベーションの著しい低下となってしまう可能性もあります。

長期的な取り組み


リファラル採用では良い人材と出会うことができても、採用までに時間がかかることも珍しくありません。求職中でない相手が転職を検討するまでに良い条件を提示する、「大型のプロジェクトが完了するまで」といった相手の都合を待つなど、1年以上かかるケースも見られます。リファラル採用には、時間がかかることも念頭に置きましょう。

リファラル採用成功に必要なポイント

即戦力の獲得に有効。リファラル採用に失敗しないためのポイント_4

リファラル採用は、容易に導入を進めても結果は得られません。成功に必要なポイントを押さえたうえで、導入を進めましょう。

社内告知


リファラル採用について、社内で知ってもらうためには積極的な情報発信が欠かせません。どんな人材を求めているのか、具体的な募集要項を共有することで社員も知人・友人を紹介しやすくなるでしょう。

特に求めているスキルや知識を具体化することは、リファラル採用成功に欠かせない要素です。社員の「誰でも紹介すれば採用してもらえる」という誤解を防ぎ、より戦力となる人材を紹介してくれるようアナウンスを徹底しましょう。

インセンティブ(報酬)の設定


一般的なリファラル採用では、紹介者に対して一定のインセンティブが支払われています。インセンティブを高額にすれば、社員もより積極的に紹介をしてくれるように思うかもしれませんが、場合によっては職業安定法違反となります。
 
職業安定法 第40条 (報酬の供与の禁止)
「労働者の募集を行う者は、その被用者で当該労働者の募集に従事するもの又は募集受託者に対し、賃金、給料その他これらに準ずるものを支払う場合又は第36条第2項の認可に係る報酬を与える場合を除き、報酬を与えてはならない。」

職業安定法では、「採用活動を実施した際、会社が紹介者に対して賃金や給料として紹介報酬を払うこと」は例外として問題ありません。あらかじめ問題のない金額を設定するほか、報酬は所得となるのかどうか、派遣スタッフや常駐している外注のスタッフなど、どこまでをインセンティブの対象とするのかについても就業規則に記載するように心がけましょう。

また、「紹介したのに支払われていない」といったトラブルを回避するために、支払いの条件をしっかり定めておくことも必須です。

応募者とのすり合わせ


リファラル採用において、応募者と企業側との温度感が合っていないことが理由ですれ違ってしまうケースが多発しています。

たとえば知人から「まずは話を聞いてみては」とリラックスした面談のつもりで来たはずが、「応募の意思を持っている人」と企業が認識していれば、話の内容や必要書類といった持ち物の準備で差が生じます。「転職の意思はないが、話だけでも聞いてみたい」という相手でも、実際に面談をすることで興味を持ってもらえる可能性はあります。相手との認識を事前にすり合わせておくのも、リファラル採用を成功に導くポイントです。

まとめ


リファラル採用は、今後も採用活動が厳しいことが見込まれている状況でも、ミスマッチを防ぎながら手間やコストを削減できる採用方法です。その反面、容易に導入を急ぐと採用活動の鈍化だけではなく、かえってトラブルを招く可能性もあります。

ひとりでも良い人材の確保につなげられるよう、根気強く告知を続け、社内でのエンゲージメントを高めるといったことから始めるのが重要です。