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すべての企業で義務化!ハラスメントの定義と種類、対策

すべての企業で義務化!ハラスメントの定義と種類、対策

1989年に、「セクシャルハラスメント(セクハラ)」が新語・流行語大賞の新語部門・金賞を受賞したことで、「ハラスメント」という言葉が急速に広まりました。その後、「パワーハラスメント(パワハラ)」や「マタニティハラスメント(マタハラ)」など多様なハラスメントが次々と生まれており、企業の人事担当者、部下を持つマネジメント・リーダー層は、より一層社内での言動に細心の注意を払わないといけなくなりました。

また2019年5月に労働施策総合推進法が改正され、新たな法律(通称:パワハラ防止法)が成立しました。法律の施行は大企業が2020年6月1日から、中小企業が2022年4月1日からとなり、企業は事前に対策を練る必要があります。

近年では日本人がラーメンをすする際に音を出す食べ方が、訪日外国人にとって不快感を与えるとして「ヌードルハラスメント(ヌーハラ)」という言葉も話題になりました。このように、相手に不快感を与えているということに当事者は気づきにくいため、知らぬ間に自分がハラスメントをしていたというケースも考えられます。

それでは、どのような言動をハラスメントと呼ぶのでしょうか。また、ハラスメントを阻止するためにはどのような対策を取ればよいのでしょうか。本記事ではハラスメントの定義や種類、対策を解説します。

ハラスメントの定義とは?

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ハラスメントとは嫌がらせや、いじめなど相手に不利益や損害を与えたり、尊厳や人格を侵害する言動です。

本人の意図・目的の如何を問わず、相手が上記のような言動だと捉えれば、ハラスメントに当たります。したがって加害者となる人物は、自身がハラスメントを行っていると気づいていないケースも多いのです。そのため、どのような言動がハラスメントに当たるのか把握し、人と接する際に十分注意したり、ハラスメントが起こらないような対策をすることが重要です。

これまで「ハラスメント」の明確な定義がされておらず、ハラスメントをする加害者の理由、被害者の属性によって新たに定義され続けているため、日本では時代の流れとともに、ハラスメントの種類は爆発的に増えています。

また、新たに定義された「〇〇ハラスメント」はSNSやマスメディアなどによって急速に拡散され、容易に認知されるようになりました。その点もハラスメントの種類が増える理由のひとつといえるでしょう。

こんなにある!?ハラスメントの種類

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では、どのようなハラスメントが存在するのでしょうか。具体例を解説します。

パワーハラスメント

パワーハラスメント(パワハラ)は職務上の優越的な立場にある者が、業務の範囲を超えて身体・精神的に苦痛を与えたり、就業環境を害する言動です。例えば明らかに業務時間内に収まりきらない量の仕事を課したり、プライベートへの過剰な干渉などが挙げられます。上司や先輩が「指導」だと思っていても、部下が苦痛に感じた場合、パワハラと受け取られかねません。接し方に頭を悩ませる上司も多く存在するでしょう。

セクシャルハラスメント

セクシャルハラスメント(セクハラ)は相手の意に反する、性的な言動です。例えば不要なボディータッチや、執拗な食事への誘いなどが該当します。なお同姓に対する性的な言動も、セクシャルハラスメントの対象です。

アルコールハラスメント

アルコールハラスメント(アルハラ)は飲酒にまつわる嫌がらせや迷惑行為、人権侵害となる言動です。無理にお酒を強要したり、飲めない・飲まないことを侮辱する行為が当てはまります。アルコールハラスメントは急性アルコール中毒や、昏睡状態を引き起こし、傷害に発展する可能性もあります。

ジェンダーハラスメント

ジェンダーハラスメント(ジェンハラ)は女性、男性という社会通念上の性差を理由とした、差別的な言動です。「なぜ子供をつくらないのか」と女性に尋ねたり、「男なのにこんなこともできないのか」と男性に叱責する行為が挙げられます。

マタニティハラスメント

マタニティハラスメント(マタハラ)は女性の妊娠・出産・育児休業などを理由とした嫌がらせや不利益となる言動です。なお男女雇用機会均等法では妊娠・出産を理由とした、降格や解雇などの不利益な取り扱いを禁止しています。

時短ハラスメント

労働人口の減少や長時間労働の慢性化が社会問題となり、日本では働き方改革が進行しています。年次有給休暇の取得義務や時間外労働の上限規制など法案も施行されたこともあり、経営陣から残業に関する注意を受けないために、残業時間を削減するよう圧力をかける管理職が増えました。この行為が時短ハラスメント(ジタハラ)です。業務量が減っていないにも関わらず、残業時間のみが減る場合、サービス残業や自宅持ち帰り業務などの温床となります。企業や組織が労働時間を減らす努力をせずに、労働時間を制限する企業は多く、昨今増加しているハラスメントでしょう。

エイジハラスメント

エイジハラスメント(エイハラ)は年齢を理由とした、嫌がらせや人権侵害となる差別的な言動です。「その歳でまだ結婚していないのか」「これだからゆとり世代は」といった発言や、目上の方に対して、「昭和生まれ」などと発言することが該当します。独身の方に対する差別は、セクハラに分類されたり、「マリッジ・ハラスメント(マリハラ)」と呼ばれることもあります。

セカンドハラスメント

セカンドハラスメント(セカハラ)は、あるハラスメントを受けた被害者が、その内容を周囲に相談した際、その被害者が責められたり、嫌がらせを受ける、二次的なハラスメントです。被害者が相談したにも関わらず、さらに責められる結果となるので、より精神的に追い込まれますし、企業がハラスメントを容認している結果となりかねないため、未然の対策が不可欠です。

エアーハラスメント

エアーハラスメント(エアハラ)は、ふたつの意味があります。

1.場の雰囲気を意図的に険悪にし、相手に精神的な苦痛を与えたり、評価を下げようとする言動

2.エアコンの温度を、特定の人物が体調不良を起こしたり、業務に支障をきたす温度に設定するハラスメント

1の意味におけるエアーハラスメントはパワーハラスメントとも捉えられるため、職場においては、1が問題となるケースが多いといえるでしょう。

テクノロジーハラスメント

テクノロジーハラスメント(テクハラ)はPCやスマートフォン、タブレットなどのデバイスの操作が苦手な人物に対する差別的な言動です。例えば説明する際に、相手がわからないであろう専門用語を意図的に使い続ける行為が挙げられます。

その他のハラスメント

この他にも、「ソーシャルメディアハラスメント(ソーハラ)」というハラスメントも存在します。このハラスメントはSNSにおけるフォロー申請や自分の投稿に対する反応の強要、投稿へのチェックコメントなどが該当します。また体臭や香水などで不快な思いをさせてしまう「スメルハラスメント(スメハラ)」など次々と生まれるため、ハラスメントに関する情報はアップデートし続ける必要があるでしょう。

「何もできないのではないか」と感じられた方もいるでしょう。その考え方は非常に重要です。大切なのは、ハラスメントの種類ではありません。どんなことでも相手が不快に思う言動はハラスメントになる、という認識を持つことです。

パワハラ防止法と企業リスク

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「パワハラ防止法」には違反した際に罰則はないものの、行政の勧告や指導の対象となり、従わない場合は企業名が公表される可能性があります。企業名が公表されると、企業イメージの低下は避けられません。その結果、従業員満足度や帰属意識の低下にも繋がり、定着率や採用にも影響が出るでしょう。

また、この法律によって、パワハラの実態を認識していたにも関わらず放置していた場合は、不法行為責任を問われる可能性があるなど、遵守していなければ法廷闘争のリスクも高くなります。

ハラスメントの対策と予防

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ハラスメントは社内のいつどこで起こるかわかりません。そのため、事前に対策を取り、未然に防止しなければなりません。また、ハラスメントが発覚した際は迅速かつ適切な対処が必要です。

セクハラ・マタハラに関しては、男女雇用機会均等法によってすでに対策が義務付けられており、2019年5月に成立したパワハラ防止法でも義務化されている内容をもとに、対策法・予防法・対応法の3つを解説します。

ハラスメント予防

ハラスメント防止のために、企業としてハラスメントに関する方針やルールを明確にし、周知・啓発するという手段が挙げられます。周知・啓発にはビデオ教材の視聴やグループ討議の実施などを用いた、定期的な教育・研修が有効です。

ハラスメント対策

ハラスメントに関する苦情や相談に応じ、適切に対応するための体制を整備する必要があります。具体的には相談窓口の設置です。窓口担当者はハラスメントに関する教育・研修を受講するのが良いでしょう。担当者の言動がセカンドハラスメントにならないようにし、被害者の心理的安全・プライバシーの確保や、相談方法の匿名化・分散化も配慮しましょう。

ハラスメント発覚時の対応

ハラスメントが発覚した際は、相談者や加害者、第三者へのヒアリングを行う必要があります。ハラスメントの事実が認められた場合は、相談者の被った不利益の回復や、加害者を引き離すための配置転換、謝罪等の措置などの対応に移ります。

また再発防止のために、ハラスメントの原因や背景となる要因を解消する防止策も検討しましょう。

まとめ

ハラスメントは最悪の場合、従業員の過労死や自殺などを招いてしまう可能性があります。その結果、損害賠償の支払いや企業イメージの低下など、企業にとって大きなリスクに繋がります。また、企業を成長させるためには従業員の働きやすい環境が重要になります。ハラスメントがはびこる企業では、従業員同士の信頼関係が構築されづらくなるため、離職につながる可能性もあります。そのため、企業はハラスメントへの対策を徹底的に講じることが必要です。