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採用プロセスとは? 作り方やメリットと改善の方法、ポイントを紹介

採用プロセスとは? 作り方やメリットと改善の方法、ポイントを紹介

優秀な人材を採用できない、内定を辞退されてしまう、早期離職されてしまう、そもそも応募者が来ない…。そんな悩みをかかえている経営者や採用担当者は多いのではないでしょうか。少子化や人口減少によって、人材採用は年々難しくなっています。そんなときこそ必要なのが「採用プロセスの見直し」です。
本記事では、採用プロセスの基礎知識をはじめ、作り方やメリット、課題の見つけ方、改善方法を紹介します。

採用プロセスとは

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採用プロセスとは、採用活動から内定者のフォローまで、採用活動のあらゆるプロセスを指します。採用計画の策定、求人サイトなどでの人材募集、説明会やセミナーの実施、選考・面接、さらには入社後のフォローアップなどがあります。

これらの工程を繰り返し改善していくことで、応募者の増加はもちろん、優秀な人材の採用や内定者の定着率アップ、入社後のミスマッチや早期離職などを防ぐ効果が期待できるでしょう。

採用プロセスの作り方

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採用プロセスは、次のような流れで構成するのが一般的です。

① 採用計画の策定
まずは、企業の事業計画に基づいた採用計画を策定します。経営目標の達成や課題解決のためには「どのような人材を」「いつまでに」「何人採用」するのか。人件費予算を踏まえながら必要な人材を確保・育成する計画を立てます。

ここで重要なポイントは「求める人材像」を明確にすることです。「優秀な人材」という漠然とした人材像では、自社に適した人材を採用することは困難です。必要なスキル・経験、価値観、人柄など、採用ターゲットをできるだけ具体的に言語化することによって、入社後のミスマッチを防ぐことにつながります。

② 求人サイト等を用いた人材募集
次に、人材募集のプランを考えます。人材募集の方法は、自社の採用ホームページや求人サイトなどの「広告媒体」、他にも「人材紹介」「合同説明会」など、さまざまな手段があり特性が異なります。

どのようなチャネルで募集したら自社に適した人材に出会えるのか。採用ターゲットに合った採用手法で募集ができるよう、求人サイトなどのサービス選定は慎重におこなう必要があります。

求職者に直接企業がアプローチするダイレクトリクルーティングや、自社に在籍していた人を再雇用するアルムナイ採用という新しい採用手法も出てきています。採用計画を踏まえ、自社に合う募集方法を決定しましょう。

③ 企業説明会、セミナーで求職者に企業の理解を深めてもらう
求職者に自社のことを知ってもらうためには、企業説明会やセミナーといった手段も効果的です。「企業理念やビジョン」「仕事内容」「やりがい」「社員の雰囲気」「社風や独自のカルチャー」など、自社について幅広く伝えることで、さまざまな角度から理解を深めてもらうことができます。

新卒採用では、大手就職情報サイトによる合同説明会が開かれます。合同説明会は、自社のことを知らない学生に興味を持ってもらうチャンスです。合同説明会にはさまざまな企業ブースがあり、多くの企業の情報を集めようとたくさんの学生が来場しています。「求める人材像」にアピールする手段を考えながら有効に活用しましょう。

④ 採用の選考・面接
求職者からの応募が集まったら、選考・面接のプロセスに進みます。

書類選考は、新卒者の場合はエントリーシートと履歴書、中途採用の場合は履歴書と職務経歴書、職種によってはポートフォリオなども提出してもらって、自社にとって必要な人材を判断していきます。

書類選考が終わったら面接です。面接の回数は、新卒採用の場合は3~5回、中途採用では1~3回という企業が一般的です。新卒採用の場合は、1回目は集団面接、2回目はグループディスカッション、3回目は個人面接など、形式を変えて実施します。最終面接は社長や役員がおこなうケースが多いようです。

近年はWeb面接も増え、一次面接と二次面接はオンライン、以降は対面型の面接という企業が一般的のようです。最終面接以外はすべてオンラインという企業も少なくありません。

Web面接のメリットは、日本全国もしくは海外からでも応募ができること。応募者の枠が広がれば、それだけ求める人材を採用できる可能性が高くなります。

⑤ 内定から入社後のフォローアップ
最終選考が終わったら内定を出します。ここで注意したいのは選考のスピードです。最終面接から内定通知まで時間がかかると、応募者は企業に対する興味を失い、内定辞退をする可能性が高くなってしまいます。

選考が最速のスピードでできるよう内部調整し、選考開始の段階でどのようなスケジュール感で採用をおこなうのか事前に明示できるといいでしょう。

また、内定を出しても採用活動は終わりではありません。内定承諾から入社まではもちろん、入社後も新入社員が不安なく働けるようにフォローを続けていくことが必要です。

このプロセスで手を抜いてしまうと、内定辞退や早期離職という結果につながりかねません。内定後も入社意欲を高める懇親会や面談をおこなったり、定期的に連絡したりするなどして、フォローアップを続けていきましょう。

入社後もメンター制度やOJTなどの人材育成の施策を実施し、新入社員をサポートしていくことが必要です。近年は、新入社員が早期に組織に馴染み、力を発揮できるよう、オンボーディングを実施する企業も増えているようです。

【関連記事】
オンボーディングとは? 意味や目的、プロセスと実施のポイントを紹介
https://www.staffservice.co.jp/client/contents/management/column030.html

採用プロセスを設けることのメリット

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採用プロセスを設けることには、大きく分けると3つのメリットがあります。

・求人への応募人数を増やすことで理想の人材を集めやすくなる
応募者の数をある程度増やすことができないと、求める人材を採用できる確率が低くなってしまいます。適切な手段で求人募集をおこない、理想の人材にアプローチできる可能性を高めましょう。応募者の数が増えれば、それだけ自社に必要な人材を採用しやすくなるでしょう。

・入社前の企業イメージを深めることで、離職率を下げられる
新入社員の離職の理由としてよく挙げられるのは「思っていた会社と違った」です。求人募集や会社説明会などで仕事内容や社風について詳しく伝え、企業理解を深めてもらうことで入社後のミスマッチの軽減につながります。求める人材像を明確にし、自社とマッチした人材を採用できれば離職率も下げられるでしょう。

・適切なコストで採用活動を進められる
近年は採用方法が多様化し、求職者が注目している情報も人によって異なります。求める人材像が不明確なまま、ターゲットと合致しない求人サイトなどで募集を続けても、応募者の増加は期待できないでしょう。採用プロセスを見直すことで、不要な情報発信や人件費を削減し、適切なコストで採用活動を進められそうです。

採用プロセスの課題の見つけ方

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採用プロセスの見直しが必要なのは、以下のような問題が起こっているときです。

・応募が来ない、少ない
応募者がいなければ、採用活動を進めることはできません。応募者が来ない・少ない場合は、自社の魅力を適切にアピールできていない可能性があります。求人情報や説明会におけるPR内容を考え直す必要があるでしょう。

・自社が求める人材が応募してこない
応募はあっても、採用したい人材がこない。この場合は、自社が求める人材に対して効果的にアピールできていない可能性があります。求人情報や説明会におけるPR内容だけでなく、選考基準も見直した方がいいでしょう。

・内定辞退や早期離職が多い
内定辞退や早期離職が多い場合は、求職者とのミスマッチが生じている、あるいは、自社の魅力を適切にアピールできていない可能性が高いです。また、内定者へのアフターフォローや人材育成の施策に課題があるとも考えられます。採用プロセス全体を見直して、早急に手を打つ必要があるでしょう。

・入社した人材が活躍してくれない
入社した人材が活躍してくれない場合は、採用のミスマッチや人材育成の施策に課題がある可能性が高いです。「求める人材像」や「求人内容」「選考の基準・方法」「人材育成の手法」など、採用プロセス全体を見直す必要がありそうです。

採用プロセスの改善方法とポイント

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上記のような問題が起こっていたら、できるだけ早く採用プロセスの改善をする必要があります。「採用計画の策定」「求人サイト等を用いた人材募集」「企業説明会やセミナー」「採用の選考・面接」「内定から入社後のフォローアップ」など、採用プロセスの段階ごとに、それぞれの課題を洗い出し、次の方法で改善していきましょう。

採用プロセスの改善方法

採用プロセスの改善には、次のような方法があります。

・採用ターゲットを明確にする
応募者が少ない、自社が求める人材が応募してこない、内定辞退や早期離職が多い、入社した人材が活躍してくれない。これらは、採用ターゲットが不明確な場合に起こりやすい問題です。求める人材と募集方法、仕事内容や社風などにミスマッチが起こっているため、内定辞退や早期離職などの問題を引き起こしていると考えられます。「求める人材像」を改めて明確にする必要があります。

求める人材像を導き出すのが難しい場合は、社内の優秀な人材をモデルにする方法があります。優秀な社員のスキルや経験、志望動機、人柄などのパーソナリティーを参考にして、彼・彼女のような人材が応募したくなる情報発信の仕方や採用チャネルの見直し、入社前後のフォロー体制の再構築など、採用プロセス全体の改善をしましょう。

・採用管理システムを導入
採用コストが高くなっている場合は、採用管理システムの導入が効果的です。採用管理システムとは、採用業務に関する情報を一元管理し、採用までの業務を簡略化できるシステムのことをいいます。

近年は採用プロセスが多様化し、従来よりもコストが増えている傾向があります。採用プロセスを簡略化することで、採用にかかるコストの軽減が期待できます。また、採用システムを導入することで、進捗状況の把握、面接のスケジュール管理、内定通知や内定者のフォローといった管理もしやすくなり採用活動の質も向上します。

・RPO(採用代行)を利用する
採用活動のノウハウがない、採用だけに時間を割けない、そもそもマンパワーが不足している。このような課題がある企業も少なくないでしょう。中小企業では、採用担当が1人というケースも珍しくありません。このような場合には、RPO(採用代行)を利用する方法があります。

RPO(Recruitment Process Outsourcing)とは、採用活動にまつわる業務を代行するサービスです。人材採用がうまくいかない、人事部門の人手が足りない、人事業務を効率化したいなど、採用活動における課題を解決するために、人材採用のプロに採用活動の一部またはすべてを委託することができます。

「応募者の選定」「内定者への対応」「採用に関わる専門知識のサポート」「入社した人材のフォロー」など、採用プロセスの一部(もしくはすべて)を委託できるので、自社にとって負担となるプロセスを依頼するのが効果的です。

【関連記事】
RPO(採用代行)の特徴とメリット・デメリットをご紹介
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・内定者のフォローのための環境を整備


内定辞退や早期離職を防ぐには、内定者のフォローのための環境を整備することが重要です。社員との「座談会」「内定者懇親会」「マンツーマンの面談」「内定者研修」「社内イベント」への参加など、さまざまな対策があります。

① 社員との座談会
異なる部門・職種のメンバーなど、さまざまな社員と内定者が話し合う機会を設けることで、会社に対する親しみや志望意欲が高まり、内定辞退や早期離職の軽減が期待できるでしょう。また、応募者が会社の雰囲気や仕事内容を詳しく知ることによって、入社後のミスマッチ回避にもつながりやすくなります。

② 内定者懇親会
内定辞退や早期離職を防ぐためには、内定者同士が親しくなれる機会を作りましょう。内定者は、会社に馴染めるか不安を感じています。同世代の内定者と親しくなることで、不安を解消しやすくなります。また、同期との仲間意識が芽生えることで、内定辞退や早期離職の可能性が低くなります。

③ マンツーマンの面談
内定者の中には、人前で話すことが苦手な人もいるでしょう。そのため、採用担当者や配属先の上司、あるいは年齢の近い世代の社員と少人数で話せる機会をセッティングすることも有効な施策です。周囲に人がいると話しにくいことでも、2人だけなら話しやすくなるでしょう。内定者に安心感を与えることも、大事な採用活動です。

④ 内定者研修
自分は社会人としてやっていけるのか、ちゃんと仕事ができるのか。内定者の多くがそんな不安を感じています。内定者同士の研修に参加することで、そうした不安を解消しやすくなります。ただし、いきなりハードな研修を課してしまうのは逆効果かもしれません。自信を失って内定を辞退してしまうこともあります。まずは会社の雰囲気に慣れることや、楽しくコミュニケーションをとれることを目的として、軽めのカリキュラムを用意するのがいいでしょう。

⑤ 社内イベントの参加
社内イベントに参加することも、不安を軽減し企業理解を深める良い機会になります。ハロウィーンパーティーやクリスマスパーティー、忘年会、新年会、運動会といった楽しい社内イベントに内定者を招き、社員との交流を通して自社の雰囲気に馴染んでもらいましょう。離職の原因として圧倒的に多いのは「人間関係」です。社内で良好な人間関係を築くことができれば、内定者の定着率も高くなるでしょう。

採用プロセス改善のポイント

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採用プロセスを見直す場合に、特に注意しておきたいポイントをまとめました。以下の項目に注目して、採用プロセスをより良く改善していきましょう。

・採用活動のコストが適切か見直す
求人を出してから採用までにどれくらいの費用がかかったのか、採用活動のコストが適切か見直してみましょう。採用方法を改善する場合も、採用単価を比較すると検討しやすくなるでしょう。
採用単価とは、採用者1人にあたってかかったコストのことです。採用単価は「採用コストの総額÷採用人数」で算出できます。過去のデータと比較して採用単価が高くなっていたら、採用プロセスに何らかの課題があると考えた方がいいでしょう。

・採用プロセスの成果を数値化することで改善点がわかりやすくなる
採用プロセスの成果を数値化してみましょう。「求人募集をした際の応募者数」「応募があったうちの面接者数」「面接をしたうちの内定者数」など、段階に分けて数値化すると、改善点がわかりやすくなります。採用活動を数値化することで、どの段階に課題があるのかを把握しやすくなり、改善のポイントを明確にできるでしょう。

・求人情報に載せている企業PRが求職者のニーズに沿ったものか見直す
求人情報に載せている企業PRの内容も見直してみましょう。応募が少なかった場合は、求職者のニーズに合ったアピールができていない可能性が高いです。複数の媒体に求人を出している場合は、媒体別の費用対効果も比較してみましょう。費用対効果の低い媒体を利用し続けてもメリットは乏しいです。費用対効果の高い媒体にリソースを集中させることで、採用コストを抑え、より効率的な採用活動ができるようになるでしょう。

・選考プロセスは求職者が企業の理解を深められる時間作りを設ける
内定辞退が多い場合は、企業の魅力を適切にアピールできていない可能性が高いです。選考プロセスに求職者が企業理解を深められる時間を設けましょう。面接の際に自社について詳しく説明する、グループディスカッションで自社に関する課題を出すなど、企業理解を深められる機会を増やすことで求職者の志望意欲が高まります。

まとめ

採用は多くの企業にとって悩ましい課題ですが、採用プロセスを見直すことで、採用力を向上させることができます。応募者を増やすことも、内定者の定着率を高めることも可能でしょう。採用プロセスは作成後に適度に見直しをすることで、より精度を上げて成果を出せるようになります。本記事を参考にして、どのプロセスに課題があるのかを確認し、より効率で優秀な人材を獲得できるよう、採用活動を改善していきましょう。

ライタープロフィール
鈴木にこ/ライター
求人メディアの編集者を経て、フリーランスとして活動中。派遣・新卒・転職メディアの編集協力、ビジネス・ライフスタイル関連の書籍や記事のライティングをおこなう。