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モチベーションを上げる方法とは? 意欲を高めるメリットと施策を紹介

モチベーションを上げる方法とは? 意欲を高めるメリットと施策を紹介

モチベーションを上げる。モチベーションを維持する。このように、ビジネスの場でよく使用される「モチベーション」という言葉。よく単純な「やる気」と混同されがちですが、モチベーションには「動機づけ」の意味合いがあります。今回は、モチベーションを上げるメリットと、そのための理論と施策を紹介します。

モチベーションを上げるメリット

モチベーションを上げる方法とは? 意欲を高めるメリットと施策を紹介_1

モチベーションには「動機づけ」の意味合いがあります。「動機づけ」とは、仕事の意味や目的を伝え、情熱を持って働きかけ、組織やチームの活性化を促すこと。社員のモチベーションを上げることによって、企業には以下のようなメリットがあります。

・社員が意欲的に仕事に取り組むため、成果が上がる
・業務への関心が高まり、品質・精度が上がる
・組織全体の士気が高まり、業績が向上する
・社内の雰囲気・人間関係が良好になる
・エンゲージメント(愛社精神)が高まり、離職率が低下する

モチベーション次第で企業は大きく変わる

モチベーションとは、人間が行動を起こすときに必要な原動力です。仕事に対する熱意や関心はモチベーションの高さに比例するため、そのまま個々の行動につながり、成果や生産性向上に結びつくことが期待できます。社員一人ひとりが高い意欲を持って業務に取り組めるよう動機づけをし、そのサポートをするモチベーションマネジメントは、企業の業績を伸ばすための大きなカギとなっています。

モチベーションを上げるための理論と施策

では、どのようにモチベーションを上げたらいいのでしょうか? まずはその原理を確認しておきましょう。モチベーションの度合いには、人間が持つ欲求が関係しています。人間の欲求を体系的に表した「マズローの欲求5段階説」では、欲求を以下のように分類しています。

人間の欲求は、最低限の食や住環境・安全などの低次の欲求が満たされると、他者に認められることや自分のやりたいことを追い求める高次の欲求に向かうと考えられています。まずは、社員がストレスを感じることなく、快適に働ける職場環境を整えることが必要です。

仕事だけでなく、食事や休憩などがきちんとできる場所も用意し、「生理的欲求」や「安全欲求」を満たします。そのうえで「社会的欲求」「承認欲求」「自己実現欲求」など、より高次の欲求を意識した取り組みをおこなうことが、社員のモチベーションの維持・向上に効果的です。

モチベーションを上げるための施策

社員のモチベーションを上げるためには、さまざまな方法があります。多くの企業が実践している、8つの基本的な施策をチェックしておきましょう。

① 職場環境を整える
まずは、働く環境を整えることが重要です。従業員を雇用する経営者は「職場における労働者の安全と健康を確保」するとともに、「快適な職場環境を形成すること」が労働安全衛生法の努力義務として定められています。
職場環境とは、オフィスの温度や照明、臭気、音、安全な作業環境、疲労やストレスを癒せる休憩所、食事をする場所やトイレ、人間関係など、仕事をするうえで従業員を取り巻く、あらゆる環境のことを指します。ストレスなく快適に働ける職場環境を整えることが、モチベーションを上げる土台となります。

② ワーク・ライフ・バランスを整える
内閣府の「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」では、ワーク・ライフ・バランスが実現した社会とは、「就労による経済的自立ができること」「健康で豊かな生活のための時間が確保できること」「多様な働き方・生き方が選択できること」の3つを兼ね備えた社会としています。

代表的な施策としては、育児休暇や短時間勤務制、ノー残業デーなど、仕事と家庭の両立を実現する制度。また、テレワークやフレックスタイム制、副業・兼業の許可など、働き方の選択肢を増やす施策があります。

③ 人事評価制度を見直す
厚生労働省の「働きやすい・働きがいのある職場づくりに関する調査」報告書によると、全体の70%以上の企業が「複数の評価者による人事評価やその調整」や「目標管理制度」を実施しています。

人事評価は、社員の給与にも影響するため、モチベーションを左右する重要な要素です。人事評価制度を見直し、コンピテンシー評価(優秀な社員の行動特性をモデルとした評価基準を定め、人事評価に用いる方法)を導入するなど、上司による主観的な評価ではなく、明確な評価基準に基づいた公正な人事評価をおこなうことが社員のモチベーション向上につながります。また、目標管理制度(MBO)も社員のモチベーションを高め、生産性の向上が期待できます。

④ 社員にチャレンジできる機会を与える
社員がやりたいことに挑戦できる機会を与えることや、希望する部署への異動を実現させることもモチベーションアップの有効な施策です。本人の意向を尊重する仕組みとして、自己申告制度(異動希望など社員が会社に自身の意向を申告できる制度)、社内公募制度(部署やチームが求める人材を社内で公募し、希望する社員の異動が認められる制度)、フリーエージェント制(自分が希望する部署に社員自ら経歴・能力・実績などを売り込み、異動や転籍が認められる制度)を導入する企業も増えています。

⑤ 組織内のコミュニケーションを充実させる
アメリカで1924年から8年間にわたっておこなわれた「ホーソン実験」では、従業員同士のコミュニケーションが生産性向上に大きく影響することを実証しています。組織内のコミュニケーションを活性化する代表的な施策に、社内イベントの開催、社員食堂やカフェ・バーの設置、社内SNSの運用、社内サークルの活性化などがあります。

また、上司と部下のコミュニケーションを円滑するために、1on1を実施する企業が増えています。上司と部下が1対1で話し合い、仕事の現状や困りごと、キャリアビジョンなどを確認し、フィードバックをおこなうことでモチベーションの向上を図ります。月に1~2回、30分程度の時間を取るケースが多く、毎週1回は必ずやっている企業もあります。

⑥ 企業のミッションを明確にする
社員のモチベーションを上げるために重要なのは「働く目的」を明確にすることです。「マズローの欲求5段階説」にあったように「食べるため」「お金のため」という生理的欲求・安全欲求だけでは、人は高いモチベーションを持つことができません。社員が意欲的に仕事に取り組む企業では、ミッション・ビジョン・バリューが組織全体に浸透しています。

ミッションとは、会社や組織が果たすべき「使命」。ビジョンとは、どうなりたいかを示す「目標」。バリューとは、それを実現するための「姿勢」です。これらに共感することで、社員は自身が所属する組織に誇りを持ち、社会的欲求を満たすことができます。すべての従業員が働く目的を共有し、同じ方向を目指すことによって、企業はより大きな力を発揮できます。

⑦ 成果を上げた社員を表彰する
自分の頑張りや努力を他者から認められることによって、人はより高いモチベーションを持つことができます。こうした承認欲求を満たすための有効な施策が、成果を上げた社員の「表彰」です。

表彰制度には、優れた営業成績などを称える「営業優秀者表彰」、優秀な技能や技術を称える「技能表彰」、一定の勤続年数を称える「永年勤続表彰」、定年に到達したことを称える「定年退職表彰」などがあります。キックオフミーティングなどの社内イベントで表彰式を盛大におこなう、オウンドメディアや社内報に受賞者のインタビューを掲載するなど、成果を上げた社員を称賛することで、社内を活性化させ、組織全体のモチベーション向上を促します。

⑧ 企業が抱える課題を社員と共有する
人間の欲求のうちで最も高度なものは、自分の内面的欲求を社会生活において実現する「自己実現欲求」だといわれています。そのために必要なのは、情報共有です。企業が抱える課題を社員と共有することによって、社員は自社の問題を「自分ごと」として捉えることができます。それによって組織運営や戦略策定、事業変革、新規事業の創出などへの意欲が高まり、より高次のモチベーションを育むことができます。

情報共有は、業務効率化や生産性向上を進めるうえでも欠かせない施策です。情報をできる限りオープンにすることで、新しいプロジェクトの進捗状況や、誰が何をやっているのかが見える化し、自由な意見交換の発生なども期待できます。

モチベーションを上げる施策事例

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人気企業や有名企業では、モチベーションを向上させる独自の取り組みをおこなっています。実際に導入され、成功した施策を紹介します。気になる事例をチェックし、参考にしてみてください。

サイボウズ株式会社
「100人いたら100通りの働き方があってよい」と考えるサイボウズでは、2007年からライフステージの変化に合わせて働き方を選択できる人事制度を導入。育児・介護に限らず、通学や副業など個人の事情に応じて、勤務時間や場所を決めることができます。
2018年4月からは、時間と場所で区切られた9分類から選ぶ、従来の選択型人事制度を廃止し、新たな人事制度「働き方宣言制度」の運用を開始しました。この新しい制度では、一人ひとりが「自身の働き方」を自由に記述するスタイルで宣言し実行することで、モチベーションを高めることにもつながっています。

株式会社カヤック
ユニークな人事制度で知られる面白法人カヤックでは、全社員が「人事部」に所属し、採用・評価・給与査定に関わりながら、自分たちが面白く働ける組織をつくっています。全社員の名刺に「人事部」という肩書を入れる。たったそれだけのことで、各社員の採用に対する意識が高まったといいます。
また、社員が成長するための指南・アドバイスも全社員が相互におこない、代表取締役に新卒社員が指摘をすることもできます。それらはすべて、社内で公開。報酬も社員全員で決めています。社員同士による相互投票を半年に一度実施し、そのランキングに比例する形で月給の昇給額を決するなど、独自の取り組みで社員のモチベーションを高めています。

株式会社サイバーエージェント
サイバーエージェントでは、進化の早いインターネット産業で成長し続ける会社であるために、独自の制度や施策によって社員一人ひとりの力を最大限に活かして働ける環境とカルチャーを生み出しています。

半期に一度開催されている「全社総会 CyberAgent Award」では、サイバーエージェントグループの全社員の中から、最も活躍した個人、チーム、プロジェクトなどが表彰されています。目指したい場所として舞台や演出にも工夫を凝らし、全社総会での表彰が社員のモチベーションを高める機会となっています。
また、個人と組織のコンディション把握を目的に全社員を対象に毎月実施しているアンケート「GEPPO」も導入されています。組織改善やタレントマネジメントに活用することで、社員一人ひとりのキャリアにおける挑戦を後押しするとともに、最大限のパフォーマンスを発揮できる環境を提供しています。

モチベーションが下がるとどうなる?

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モチベーションを上げる、さまざまな施策を取り上げてきましたが、社員のモチベーションが下がった状態が続くと、どうなるのでしょうか? 以下のような影響を受けることが考えられます。

・社員の仕事に対する意識・意欲が低下
・生産性や品質が低下
・ネガティブな発言が増え、社内の人間関係や雰囲気が悪化
・組織全体の士気が低下
・離職率が上がり、採用コストが増加

モチベーションが下がると、仕事は単なる「作業」になってしまいます。やりがいを求めて退職する人が増えれば人手不足に陥り、採用コストがかかります。社内の人間関係や雰囲気が悪化し、社員が職場環境にストレスを感じると、生産性や品質も低下。顧客や取引先からの信頼を失うリスクも発生します。社員のモチベーションが低いと感じた場合は、早急に対策を講じることをおすすめします。

まとめ

モチベーションを上げることは、個人・組織での高い成果につながるだけでなく、離職も防止するなど、短期的・長期的双方の観点から重視すべき取り組みです。社員が高いモチベーションで仕事に取り組めるようにマネジメントをおこない、さまざまな施策を工夫していきましょう。

《ライタープロフィール》
ライター:鈴木にこ
求人メディアの編集者を経て、フリーランスとして活動中。派遣・新卒・転職メディアの編集協力、ビジネス・ライフスタイル関連の書籍や記事のライティングをおこなう。