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人との縁で起業への道が開けました

人との縁で起業への道が開けました

株式会社Mixsutは「まるでチームの一員のように企業に関わり、ビジネスの成長を加速させていくこと」をミッションに、広告・マーケティング・セールス・PR活動などの支援及び実施をおこなっている会社です。
今回は、株式会社Mixsutの代表取締役を務める三井浩子さんに、起業することになった経緯とワークスタイル(働き方)についてお話を伺いました。

飲み会で知り合った人の紹介で
ベンチャー企業へ転職

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― 現在のお仕事に就いた経緯を教えてください。

美大卒業後、最初に人材・販促メディアを手がける大手企業へ就職しました。もともとその企業が手がけていたサービスが好きだったというのが、入社のきっかけでした。主に広告の提案営業をおこない、数日徹夜で仕事をしたこともあるくらい全力で働いていました。人の縁やビジネスマンとしてのスキル、社会人としての心得など、仕事を通して多くのものを得ることができました。しかし、徐々に大手で出来る仕事範囲の狭さを窮屈に感じるようになってきてたことや、「クリエイティブな仕事に携わりたい!」という気持ちもあったことが影響して、退職を決意しました。そして退職後、3ヶ月間沖縄に滞在し、ゆっくりこれからのことを考えようと思いました。今思うと、「もう何もしたくない」というくらい疲れ果てていたんだと思います。沖縄では1ヶ月目のマンスリーマンション以外、何も決めずに本島や離島を巡りました。滞在期間中に、民宿でバイトなども経験しました。そうやって、色々な場所や人との出会いを繰り返しているうちに、自然と「また、働きたい」という気持ちが強くなってきて、転職エージェントを使って転職活動を始めました。エージェントからは、営業経験を活かしたお仕事を紹介してもらい、内定もいただいてましたが、最終的には一番興味のあったデザイン事務所に決めました。

― デザイナーとしてではなく、営業で入社だったんですね。

はい、前職を活かした形で営業になりました。けれどデザイン事務所に入ってみて、私はデザイナーには向いていないなと気づきました。デザイン関係の仕事をされている方って、少しアーティスティックな人が多くて、雰囲気や思考性が自分とマッチしないなと。
そんな時にデザイン事務所のパートナー企業の方に誘われて参加した飲み会メンバーの1人が、IT広告のベンチャー企業の役員をされている方だったんです。その縁で、そのままそこへ転職をしました。当時その会社には、社長と役員以外の社員が一人もいなかったので私が社員1号という形で。正直大企業からベンチャーに振り切って転職することに少し躊躇はありましたが、私自身のキャリアにとって有益な経験でした。その後に、ベンチャーに入るきっかけとなった方から「自分の会社に来てほしい」と声をかけてもらってPR会社に転職をしました。

― 人の縁を通してキャリアを重ねてこられたのですね。デザイン事務所に入ってみて、自分に合わないなと感じた後は、Webディレクターなど、クリエイティブに関わるような仕事は考えなかったのでしょうか?

社会人になる前は営業はしたくないな…と感じていたのですが、やってみたら自分が思っているほど、大変ではなかったことに気づいたんです。自覚はなかったのですが、たぶん人とコミュニケーションをとるのが好きだったんですね。逆にずっとやりたいと思っていたデザインの仕事は、向いてなかった。手先が器用なのと芸術家というのは、全然違いますね。でもデザインが向いていなかったからといって、当時はネットも胡散臭く思っていて、なんか好きになれなくて。だからWebディレクターはまったく考えていなかったですね。

― 当時は、まだ今ほどネット自体浸透していなかったですものね。

はい、ITってまだ得体のしれない印象が強くて。だから自分が、IT広告のベンチャー企業に転職するとも思っていませんでした。今思うと、苦手と決めつけないで、チャンスがきたらトライしてみることでキャリアの幅が広がって道が拓けた実感があります。
様々な会社で働いてみて、当たり前なのですが、規模に関係なく会社に属して働く限り会社の意向に従わなければいけないという事を実感したんですよね。そこに、限界や不自由さ強く感じるようになって、自分がやりたいことを信じてやり抜くために起業して、今に至ります。
大手企業、ベンチャー企業、その後転職したPR会社と、色々な会社で経験をすることができたからこそ、自分らしく働くための決断をすることができたのだと思います。

無計画で踏み出した起業への一歩

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― 元々いつかは、フリーで仕事をしたいという気持ちはあったのでしょうか?

いつかはやりたいなというのは、あったかもしれません。そういう気持ちをもち始めたのは恐らく、IT広告のベンチャー企業に入ってからでしょうか。私がはじめての社員で、社長と役員、パートさんの4人でマンションの1室からスタートしました。そこで従業員30人規模の会社まで成長したのを見届けたら、なんだか自分のなかで、すごくやりきった感がありました。それと同時に組織に属して仕事をする以上、自分の好きなように仕事をすることの限界を感じ、全て自分の裁量で仕事にチャレンジしたいという思いが育っていったんだと思います。

― 会社を大きくしていった達成感のほかに、色々な会社へ就業された経験も関係していたりするのでしょうか?

はい。大企業から中小企業まで、もう一通り経験できたかなと。周囲にはこれから起業する人や既に起業した人たちが多い環境だったので、たくさん刺激を受けたというのもあります。起業するときは「エイヤッ!」って勢いの部分もありましたが。

― 計画的に進めていたのでしょうか?

…全然(笑)「100万円貯めたらやろう」とか、準備して動かなくても意外とすんなりできるもんだなと思いました。会社を辞めても私と一緒に仕事をしたいと言っていただいたことが、背中を押してくれたのかもしれません。

― 転機となる時に声がかかる機会が、何回もあるなんて凄いですね。現在の仕事内容について教えていただけますか?

主に広告やマーケティング、セールス、PRを定常的に企業の業務委託やコンサルティングするお仕事と、プロモーション単発で企業の広告を実施するお仕事をおこなっています。
現在の仕事内容は、広告まわりの仕事が一番多いですね。実は今引き受けている仕事も、前職の知り合いの方がほとんどなんです。

― お仕事をしていくうえで、一番の強みは何でしょうか?

営業力だと思います。あとは広告からPRまでを一通り経験できたので一貫してできるというところかな。今思えば、本当にやりたかったのはデザインの仕事だったけれど、実際向いていたのは営業だったということだと思っています。営業をやりたいと思ったことは、一度もないんですけどね(笑)

きっかけは「人を変えるより自分が変わったほうが早い」という上司の言葉

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― 営業力の強さがご縁の話にもつながっているんですね!

今は人のつながりでお仕事をさせていただく機会が多いのですが、昔は人との関わりが苦手だったんです。自分一人で頑張る事は出来るのですが、人を動かす事が本当に苦手で。だから当時は、社内コミュニケーションに苦労していました。「なんでこの人いつも遅刻するの?」とか「あの人また…」みたいに思って、文句ばっかり言っていました。内心、人を動かすより「自分でやったほうが早いし気楽」って思っていましたね。
そんなとき、当時の上司からかけてもらった言葉が心にグッと刺さって、そこから「人に動いてもらうために自分がどうするか」を考えるようになりました。そうすると面白いようにメンバーも協力的になって、チーム全体の営業成績も上がっていきました。

― 具体的にはどんなことをしたのでしょうか?

極力ミーティングの時間は、取るようにしていました。話しかけられたら、手を止めてちゃんと相手の話を聞くとか、本当に基本的なこと。それまでの私は、そういう基本的なこともできていなかったんです。

― まずは話しかけやすい、話しやすい雰囲気をつくることから始めたということですね。

はい。あとはメンバーとランチに行ってみるとか。以前は一人で行ったり、自分の席で食べていたりしていたんですが、意識してメンバーとも行くように心がけました。そうしたらちゃんと結果が出るんですね。メンバーとコミュニケーションが取りやすくなると、やる気がでるんだな~と実感しました。

たどり着いたのは
何をやって何をやらないか決断する勇気

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― 起業する前と後で、変化や苦労はありましたか?

最初は仕事を取ってこれるかが、本当に不安でしたね。でも逆に少し慣れてくると、時間をどうコントロールしていくかが大変でした。「これもやりたいし、あれもやりたい」ってなると、時間が足りなくなって。
そこで、何をやって何をやらないかの取捨選択と時間をコントロールする必要性を痛感しました。依頼されて仕事の納期やクオリティを担保していくためにも、それを決める事が大事だと思っています。できないものは「できません」と伝えることが、誠意ある対応になると信じています。
フリーだからこそ良くも悪くも全て自分に責任があるという状況に、とてもやりがいを感じます。自分の判断で素早くやりたいことに取りかかれるようになり、会社や同僚のせいにするような考え方をしなくなったことは、起業して良かった点だと思っています。

― 自由にできる反面、何事も自己責任で取り組まなければならなくなったということですね。起業後は、今までおこなっていた業務の他にも、事務や経理もこなさなければならなくなったと思いますが、おひとりで全ておこなっているのでしょうか?

大体のことは一人でおこなっています。中小企業で勤めていたときにある程度やっていたので、そこまで大変ではなかったです。一つだけ苦労したのは、未経験だった経理周り。最終決算だけは、税理士さんにお願いして、普段はクラウド会計を利用しています。クラウド会計をつかうと、全部指示書通りすれば出来ちゃいますしね。

― では実際に仕事を引き受けすぎて、溢れてしまったことはあったのでしょうか?

…ありました。納期に、間に合わなそうな状態になって「なんとかしなきゃ」と焦りましたね。

― 間に合いましたか?

なんとか間に合わせました。久しぶりに徹夜して、必死に帳尻合わせて。
会社に勤めていたときと違って、遅れてしまうと信用も仕事も失ってしまうので。

― そういった経験から、ある程度許容範囲を決めて仕事をうけているのでしょうか?

そうですね。基本はうけるようにしていますが、どうしても厳しい時は外注します。起業してから、協力パートナーを持つことの大切さを学びました。最近は、バナー発注や文字起こしのような作業系の仕事を簡単に依頼できるサービスがあるので、少し仕事が楽になりました。そういったサービスを利用して外注して仕事を抱え込み過ぎないようにしています。その分で確保できた時間を使って、他の仕事を進めています。

最近の週末は休みをとってタイと神津島、
来週は那須と八丈島へ

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― とてもお忙しそうですが、オフの時間やお休みはどのように確保されているのでしょうか?

仕事が楽しくて、環境を変えないと気づいたらずっと仕事をしちゃうので、オフの日は意識的に日常とまったく違う場所に行って、心も身体も切り替えるようにしています。ここ最近は4週間連続で週末に旅行をしています。タイや神津島、那須、八丈島と(笑)

― 4連チャン旅行に行くメンバーは決まったメンバーなのでしょうか?

バラバラですね。仕事関係の友人と神津島に行って、高校時代の友人とタイ、マーケティング仲間とは那須、そして妹と八丈島へ行く予定です。最近は一人旅をしていないのですが、以前勤めていた会社を辞めたときはマルタに一か月、語学留学兼バカンスで行ったこともあります。

― 語学留学から帰国後は多少話せるようになりましたか?

1ヶ月では全然ダメでしたね。多少耳が慣れたかなというくらい。でも、めちゃくちゃ楽しかったです。
本当は行く前の日までちょっと怖いなと思っていたんですよ。でも行ってみたら、コンゴの人とも友達になったりして面白かったです。

― 旅行先を選ぶポイントは何でしょうか?

どちらかというと、人があまり行かないようなところがいいかな。今ハマっているのは東京の島。7か所あるんですけど、まだ1か所しか行けていないんです。東京に住んでいる人でも、なかなか行く機会が少ないじゃないですか。そこが魅力的。

― 島ではどのように過ごしているのでしょうか?

海に行ったり、島の商店に行ったり。島の商店って、コンビニとは違った雰囲気がして新鮮で。ふらっと入った町のパン屋さんが、めちゃくちゃ美味しかっただけで得した気分になったりします。

― 地元ならではの、ガイドブックに載っていないような美味しいお店を発見できると嬉しいですよね。

そうなんです!地元の商店だったり、ボロボロの石垣だったり、夜はお店が閉まってしまって夜道が暗いのも島旅行の楽しみなんです。

人の縁を大切にして、色々な仕事にチャレンジしてみてください

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― 今後挑戦してみたい仕事や目標はありますか?

世の中にちょっとだけ役に立つような、二番煎じではない新規事業やサービスをつくってみたいです。
まだ業種職種は特に決めていないのですが、こんな時代なのでネットに関わるんじゃないかな?と思ったりしています。人のコミュニケーションにどこかで関わるようなサービスをつくってみたいです。

― 最後に今後起業したいと考えている人へメッセージをお願いします。

私は周りの縁に助けられて、ここまでくることができたので「人の縁を大切にして目の前の事を一生懸命取り組む事」が大切だと思っています。自分が起業するとは思っていなかったですし、起業のヒントは自分だけでは見つけられなかったかもしれません。
起業するまでには、色々な会社に転職しましたし、自分に合わないと思ったら我慢せずに、やりたいことを貫いてきました。そうすることで、自分の働き方を見つけました。全ての人が当てはまるとは限りませんが、少しでも参考になれば嬉しいです。

―人の縁を大切にするとは、具体的にどういうことでしょうか?

そうですね。ご縁があった方でも、時間の経過とともに関係性が変わっていくことはあります。それは自分のタイミングだったり、環境の変化だったり理由はそれぞれありますが仕方のないことです。無理に引き止めたり、つなぎとめたりするのではなく、いまそばにいる人たちを大切にするということですかね。

サービス紹介
株式会社Mixsutは、”チームの一員のように企業に関わりビジネスの成長を加速させていく事” を目的にマーケティング・広告・PR・セールス活動の支援・実行をしている会社です。
株式会社Mixsut (ミクスト)(http://mixsut.co.jp/index.html

インタビューを終えて

「やりたい仕事」と「向いている仕事」が、必ずしも一緒ではないということは往々にしてあるかと思います。選択肢はひとつではないですし、正解も不正解もないと思います。もしかしたら選択した先には、想像しなかった苦労が待ち構えているかもしれません。けれども「仕事が楽しい」とお話しされる三井さんの笑顔をみて、自分の仕事や働き方をこうしてちゃんと楽しむことができたら、どんなに素敵だろうと思いました。