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通年採用とは?メリット・デメリットと実施する際のポイントを紹介!

通年採用とは?メリット・デメリットと実施する際のポイントを紹介!

近年、年間を通して採用活動をおこなう「通年採用」を実施する企業が増加しています。その背景には、経団連による「就活ルール」の廃止、そして、企業における人材不足などの影響があるとされています。では、通年採用によって、企業の採用活動はどのように変化していくのでしょう。この記事では、通年採用と一括採用の違い、通年採用のメリット・デメリット、通年採用を成功させるポイントについて解説します。

通年採用とは?

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「通年採用」とは、新卒や中途を問わずに年間を通して採用活動をおこなうことをいいます。春や夏では帰国が間に合わない留学生経験者や、既卒者に対してもアプローチすることができ、採用スケジュールを企業が自由に決められるのが特徴です。

一括採用とは?


一括採用とは、企業が同じ時期に新卒学生を採用する方法になります。新卒の採用活動においては経団連が中心となり、大学3年生の3月に情報解禁、大学4年生の6月に選考開始という一定のルールに沿っておこなっていました。これがいわゆる新卒の一括採用です。

通年採用と一括採用の違い



 

通年採用が注目される理由

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通年採用は欧米では一般的な採用手法でしたが、日本では、採用活動が学業の妨げにならないよう制限が設けられていました。これまでの日本の新卒採用は、経団連が主体となり、大学側と幾度となく就活ルールのマイナーチェンジが繰り返され、「大学3年生3月に就職活動の情報解禁、大学4年生6月に選考開始」となりました。

しかし、このルールも経団連所属企業による互いに「抜け駆けはしませんよ」という紳士協定に過ぎません。所属していない外資系企業やベンチャー企業は独自のスケジュールで採用活動を進めています。また、新卒一括採用が始まった当時から時代背景や社会構造も大きく変化しています。労働人口の減少、働き方の多様化、グローバル化、デジタルテクノロジーの発展などさまざまな要因によって、これまでの日本の新卒一括採用はもちろん、「終身雇用」「年功序列」は成り立たなくなっています。

そのため、2019年4月に経団連と大学側は諸事情を鑑みたうえで新卒採用を見直し、「一定のルールは保ちつつも多様性のある採用活動を可能にする」ことで合意。そのなかのひとつの手法として、通年採用は注目されるようになりました。

新卒の通年採用はいつから実施?


といっても、すぐに通年採用が採用されるわけではありません。経団連による通年採用への切り替えが発表され、2021年卒からは政府主導で、2022年卒まではこれまで通りの採用方式とするとしています。しかし、あくまでも企業へのお願いであるため、通年採用への移行や通年採用の実施を始める時期などは、企業の判断に委ねられています。

その一方で、新卒の通年採用、秋採用の実施を始める企業が増加の傾向にあることも事実です。みらい研究所の「就職白書」によると、新卒採用の方法・形態として「通年採用」をおこなっていると答えた企業の割合は、以下のように増加しています。
・2020年卒 17.5%
・2021年卒 19.1%
・2022年卒 27.0%(予定)

《参考サイト》
就職白書2021(みらい研究所/株式会社リクルートキャリア)
https://shushokumirai.recruit.co.jp/wp-content/uploads/2021/02/hakusho2021_20210216-1.pdf

就職白書2020(みらい研究所/株式会社リクルートキャリア)
https://shushokumirai.recruit.co.jp/wp-content/uploads/2020/07/hakusyo2020_01-48_up.pdf

【企業側】通年採用のメリット・デメリット

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新卒学生の採用が難しくなり、採用方法の変化が求められるなか、通年採用を実施する企業は今後増えていくと予想されます。ここでは、企業が通年採用をおこなうメリットとデメリットを紹介します。

通年採用|企業側のメリット


・事業の動きに合わせた採用活動ができる
入社時期が固定される一括採用とは異なり、通年採用は、採用時期を自由に決めることができるため、事業の動きに合わせた採用活動ができるでしょう。欠員時や事業拡大時など、最適な時期で必要なポジションの採用が可能となります。

・多様な人材からの応募が期待できる
新卒一括採用ではアプローチできなかった9月卒業の海外の大学生や留学生など、通年採用ではグローバルな人材の採用も期待できるでしょう。

・求める人物像を見極めやすくなる
一度に大人数と対応しなければならない新卒一括採用と比べて、通年採用では、一人ひとりの学生とじっくり向き合うことができます。企業が定める選考基準にもとづいて丁寧に選考できるでしょう。求める人物像を見極めやすくなり、入社後のミスマッチを減らすことにもつながります。

・内定辞退をされた時の欠員補充がしやすい
新卒一括採用では、内定を出してから4月の入社まで空白期間があります。企業は、内定辞退者が出ることを想定して、多めに内定を出さなくてはなりません。しかし、通年採用であれば、いつでも採用活動をおこなえるので、数合わせの内定を出す必要がさほどありません。

通年採用|企業側のデメリット

・採用コストがかかる
通年採用では年間を通して求人広告を出すなど、採用活動をするためコストがかさみます。ほかにも、新卒一括採用であれば大規模な会社説明会を小数回で済んでいたところ、通年採用では小規模な会社説明の回数を増やして実施することも予想されます。

・個別に採用するため、人事担当者の負担が大きくなる
新卒一括採用は短期集中で業務に取り組むことができますが、通年採用は、採用活動の長期化により人事担当者の負担も大きくなります。また、採用時期にばらつきがある場合、研修を複数回実施することになり、教育面でも工数が膨らむことが予想されます。採用以外の業務を兼務しているような場合はスケジュール管理がより難しくなり、残業代などの人件費が増大することもあるでしょう。

・学生が企業を吟味して入社を決定できるため、第一志望に選ばれにくくなる可能性がある
通年採用は、求職者に「不人気で採用枠が埋まらない会社」といった印象を与える心配もあり、一括採用の企業より後回しにされ、第一志望に選ばれにくくなる懸念もあります。
そこで、通年採用であっても、多くの学生が動き出す一括採用の解禁に合わせた広報活動も必要といえるでしょう。売り手市場がつづく新卒採用において、企業はより選ばれる立場になっていきます。そのため、インターンシップの活用や企業のビジョンやメッセージの発信、採用チャネルの多角化など、中長期の視点で施策を打たなくては、希望の人材を採用することが難しくなります。

【新卒(求職者)側】通年採用のメリット・デメリット

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通年採用における、新卒(求職者)側のメリットとデメリットを紹介します。

通年採用|新卒(求職者)側のメリット


・就職活動の準備をするための時間に余裕ができる
通年採用では、期間が限定されていない分だけ、自己分析やエントリーシートの作成、面接対策などの事前準備をゆとりのあるスケジュールでおこなうことができます。また、単位の取得状況や海外留学などの学生生活を配慮したスケジュールで就職活動を始めることができるでしょう。

・エントリーできる企業数を増やして、多くの企業を見ることができる
スケジュールに余裕ができることで、幅広くさまざまな業界・業種を見渡すことができるため、1人あたりのエントリーする企業も増えるでしょう。これまで時期などの要因で応募することができなかった企業への応募も可能になります。

・入社する企業を慎重に選ぶことができるため、入社後のミスマッチを減らせる
一斉スタートだった一括採用の就職活動と比較すると、本来の自分が進みたい道をじっくりと吟味できるようになります。時限的な就職活動が人生を左右するといった強迫観念も薄まるため、「とりあえず就職する」といった考えも減ることが予想され、入社後のミスマッチを減らすことにもつながるでしょう。

通年採用|新卒(求職者)側のデメリット


・情報収集とスケジュール管理が難しくなる
通年採用では、各企業ごとに採用スケジュールを調べる必要があります。他社と混同しないよう、求職者には正確なスケジュール管理が求められます。
また通年採用は、就職の準備や志望業界・企業の吟味に時間をかけられる一方で、想像以上に就職活動の期間が長くなることもあります。採用通知がもらえるタイミングもばらつくため、同時進行での就職活動が難しくなることも考えられます。その結果、学業との両立が難しくなる可能性も出てきます。

・企業側が求めるレベルも高くなり内定の獲得が難しくなる可能性
通年採用では、企業側が時間をかけて選考をおこなうことができるため、従来よりも高いポテンシャルが学生に求められ、選考のハードルが上がるケースもあります。希望する企業についての研究、求められている人物像を把握するなど、事前準備がより必要になるでしょう。

企業側が通年採用を成功させるポイント

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ここでは、企業側が通年採用を成功させるポイントを紹介します。早めに対策や準備をしておくことで、優秀な人材へのアプローチも可能になります。

採用のマルチチャネル化


これまでは大手の就活サイトや合同説明会を通してのエントリーが一般的でしたが、採用の窓口をより多様化させることでより多くの学生と接点を持つことができます。

たとえば、自社の採用サイトはもちろん、現在増えているダイレクトリクルーティング型の就活サイトの利用やリファラル採用などを活用しましょう。

ダイレクトリクルーティングとは、企業が自ら求める人材にアプローチを仕掛ける採用活動です。また、従業員から採用候補者を紹介・推薦してもらう方法が、リファラル採用になります。これらに取り組んだうえでSNSやオウンドメディアの活用、オフラインでの企業のメッセージ発信や広報活動が必要になるでしょう。

オフラインでの採用活動とはイベントやセミナー、説明会などの開催・参加が挙げられます。またマルチチャネルにすればいいわけではなく、それぞれの効果を分析して戦略的に採用活動を進めていく必要があります。

Webを活用して採用エリア、ターゲットの拡大


採用チャネルの多様化と広報活動の効果を最大化するためには、採用エリアやターゲットを拡大することも検討しましょう。以前とは異なり、面接や会社説明会もWebを通じておこなうことができます。

これまで物理的にエントリーや選考が難しかった学生にもWebを活用することでリーチできる母数を増やすことが可能です。学生もできるだけ多くの企業と接点を持ちたがっているため、機会を増やすためには、エリア、ターゲットを拡大していきましょう。

学生への理解を深める


通年採用となると就職活動の軸が変化するため、学生の姿勢も同様に変わります。そのため採用活動を成功に導くためには、これまで培ってきた学生像を刷新する必要があります。

まず学生がどのようなスケジュールで就職活動を始め、アクションを起こすのか。またどのような企業で働きたいと思っているのか、じっくりいろんな企業と会いたいのか、できるだけ早く内定先を決めたいのかなど、学生の傾向も押さえておきましょう。また学生を分析して、最良のコミュニケーション方法を選択していきましょう。

企業の強みや独自性を打ち出す


新卒採用の早期化・長期化によって、コストが増大しても人材を確保できるとは限りません。多くの学生にエントリーしてもらうには、広報活動や根気強くおこなわなければいけませんが、大企業と比較すると中小企業はやはり厳しいといわざるをえません。そのため、多様な働き方の実現や企業の強みや独自性を打ち出す工夫、経営陣の新卒採用にかける意気込みが問われることになるでしょう。

まとめ

若い世代の労働人口が少なくなっていく今後は、新卒採用をめぐる動きや人材獲得競争の激化などにより、通年採用へ移行する企業はさらに増えていくでしょう。ただし、通年採用は、企業側・新卒(求職者)側の双方に、一括採用にはないメリットがある一方でデメリットもあります。

通年採用を導入する場合は、政府によるルールや採用市場の動向などを念頭に置きながら、採用計画や求める人材像などを見直すことが重要になるでしょう。また、他社と同じことをしていても優秀な人材は獲得しにくいものです。WebやSNSを活用したPR活動に積極的に力を入れるなど、独自性の高い採用活動も求められるでしょう。本記事を参考に、通年採用の検討や移行に向けた準備を始めてみてはいかがでしょうか。


《ライタープロフィール》
ナカイマミ(編集者・ライター) 求人媒体で求人広告の制作、編集記事の制作に10年以上携わった後、女性誌、生活情報誌、地域活性に関係する媒体などで多くの取材、ライティングを手掛ける。気が付けば、47都道府県を踏破。海外よりも日本が好き。