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人材紹介会社と人材派遣会社の違いとは

人材紹介会社と人材派遣会社の違いとは

転職をするときに利用する方も多い人材紹介は、人材紹介会社がクライアント企業の求める人材を厳選して紹介し、採用まで結びつけるサービスを指します。

企業側が希望人材の特徴を提出し、特徴に当てはまる方を派遣するサービスが人材派遣です。本記事では、似ているようで異なることも多い人材紹介と人材派遣の違いや利用するメリット・デメリットを解説します。

人材紹介会社とは

人材紹介会社と人材派遣会社の違いとは_1

人材紹介会社は、人材を採用したい企業に対し、条件に当てはまる求職者を仲介するサービスをおこなう会社です。厚生労働省の認可を受けて初めて、人材紹介が可能になります。

人材紹介会社は人材を採用したい企業から、どのような仕事に就く人を募集しているのか、必要なスキルや素養は何かなどを細かくヒアリングし、条件に合った人材を自社サービスの登録者の中から見つけ出して紹介をします。

具体的には登録者と面談をして、登録者の適性や希望、持っているスキル・素養を分析し、当てはまる企業を紹介して登録者が希望すれば紹介をおこなうという形式で進んでいきます。その他履歴書・職務経歴書の添削、面接対策、登録者側と企業の面接日程調整などの業務をおこなっています。

クライアント企業は紹介された人材を採用した際に、成功報酬となる紹介料を人材紹介会社に支払います。金額や支払いのタイミングなどは企業やサービスによって異なりますが、採用時に紹介料を支払うパターンと、着手金やシステム利用料などがあってそれ以外に成功報酬として紹介料を支払う2つのパターンがあります。

人材紹介の種類

一口に人材紹介と言っても、サービスの内容が細分化しているため、3つの分類に分けて簡単に説明します。

・登録型
先に紹介した一般的な人材紹介会社は登録型といい、人材紹介会社が転職を考えている人に登録してもらい、その登録者の中からクライアント企業の条件に合う人材を紹介する形のサービスです。

・サーチ型(エグゼクティブサーチ・ヘッドハンティング)
サーチ型は、いわゆるヘッドハンティングで紹介する形式の人材紹介サービスです。サーチ型の人材紹介会社はクライアント企業が求める人材を独自のコネクションや調査で探してアプローチし、興味を持ってもらって面接をセッティング、その後年収や手当の交渉なども登録型より積極的におこなう傾向にあります。

登録型に比べて採用前にも人材紹介会社側に大きな稼働が発生するため、着手金や面談設定、内定時などに手数料が発生する形式をとる会社が多く、採用が決まったら別途紹介料を支払うのが一般的です。

そのサーチ型人材紹介会社が得意とするターゲットや業務レベルにもよりますが、対象となる方が課長クラスから経営陣までと幅広いため、紹介料も数百万円程度~数千万円など幅広くなる傾向にあります。

・再就職支援型(アウトプレースメント型)
もう1つが、再就職支援型の人材紹介です。再就職支援型の場合は、再就職を希望する方、その方が働いている現職の企業、人材を募集している企業の3者がやりとりをします。再就職支援は人員削減を望む現職の企業の依頼を受けて、解雇する従業員の再就職を支援するサービスです。なので、再就職支援型の人材会社が既存の人材紹介と大きく異なるのは、お金を支払う企業が現職の企業であるという点にあります。

登録型・サーチ型では人材を募集する企業から紹介料をもらう形でしたが、再就職支援の場合、再就職を希望する方が今働いている企業から人材紹介会社が委託を受けて、人材紹介をおこなうため、支払う企業が異なります。

人材紹介の仕組み

登録型人材紹介の場合、求職者が人材紹介会社にまず登録をし、面談と紹介を受けた後応募します。その後人材紹介会社がクライアント企業へ人材を紹介し、採用が決まったらクライアント企業から紹介料を受け取る仕組みです。

サーチ型は人材紹介会社がクライアント企業から着手金をもらってスタートするケースが多い傾向にあります。その後、対象人材を探してアプローチし、企業の求人紹介をおこないます。人材側は興味があれば条件開示や応募をおこないます。その後、企業側に対象人材の紹介をおこない、無事採用となれば、クライアント企業は紹介料を人材紹介会社に支払う仕組みです。

再就職支援型は再就職支援をおこなう企業から人材紹介会社に再就職先紹介の委託があり、その委託にかかる金額を支払います。金額は着手金と成果報酬というケースが多い傾向です。

再就職希望者は、委託された人材紹介会社に登録し、人材紹介会社は登録人材を受け入れ可能な企業を探すため、求人情報を提供してもらいます。その後、受け入れ先へ紹介し、無事採用が決まったら、再就職支援を委託してきた企業が人材紹介会社に成功報酬を支払います。

人材紹介会社を利用するメリットとデメリット

求人広告や自社ホームページなどの公募とは異なり、待っていれば希望に合った人材を紹介してもらえるという点だけでも、企業として人材紹介会社を利用するメリットが大きいと感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

デメリット面も気になるという方のために、人材紹介会社を利用するメリット・デメリットを紹介します。

メリット

・マッチ率が高い
条件面を細かく出して募集をかけていること、第三者の冷静な目が入ることによって、選考を通過する人材の偏りが出にくいなどのメリットがあります。

・採用担当者の業務負荷を軽減できる
採用担当者が数多くの応募書類を読み込み、合格した方の日程調整をして面接するなど、面接に至るまでにさまざまな工程があります。しかし、人材紹介会社を利用すれば書類選考までの工程が完了していること、日程調整も間に入ってくれるため、採用担当の業務負荷を大幅に軽減できます。

・成功報酬のケースが多い
サーチ型や再就職支援型の場合は着手金などがかかる可能性もありますが、その他の採用活動とは異なり、金額の発生が採用の後であるケースが多いです。利用日数が決まっている求人広告のように、「掲載終了までに採用しなければ」と焦って判断を誤るなどのデメリットも起こりにくいと考えられます。

採用できなくてもお金がかかる形式の採用活動とは異なり、採用をしたら金額が発生するという形式であること、紹介料を支払って余りある働きをしてくれる人材だけを採用すれば、企業側が損をすることはありません。こうした納得感があるのも、企業にとっては大きなメリットです。

・求人を非公開にできる
公募の場合、自社がどのポストの人材を採用しようとしているのか、競合の企業からも確認が取れてしまいますが、人材紹介会社の場合は依頼すれば非公開の形式で求人を出すことも可能です。公募とは異なり、対象の人材だけをピンポイントに案内してくれるため、情報流出を避けられます。

デメリット

・進捗が悪いと紹介が減る可能性もある
「納得できる人だけを採用ができる点にメリットがある」と紹介しましたが、条件に当てはまる人を紹介しているのに採用されない状態が長く続くと、人材紹介会社側の負担が増え、紹介の優先順位を下げられる可能性もあります。

特に人事と現場など複数部署が採用活動に関わっていると、目線が合わずに採用を出さないまま長期化するケースもあります。条件に当てはまる人がいるのにずっと採用されないというような状況が生まれないよう、事前の目線合わせを丁寧におこなっておくことが重要になってくるでしょう。

・採用コストが高め
募集から書類選考までを外注しているため、その分も採用コストに乗っていると考えれば妥当な金額です。しかし、公募などに比べて採用コストが高くなる点はデメリットといえるでしょう。

・社内に採用ノウハウが蓄積しにくい
先に申し上げた通り、一部の採用業務を外注しているため、採用ノウハウが蓄積しにくい点がデメリットとして挙げられます。

しかし、この点に関しては人材紹介会社を利用するとしても、「人材紹介会社はどのような観点で人材を選定してきているのか」、「この募集の出し方だとこのような経歴の人が集まる」などのデータを収集し、ノウハウを蓄積するよう心がければ、社内の採用ノウハウも蓄積するよう改善が可能です。

人材紹介会社を利用すべき企業の特徴

人材紹介会社と人材派遣会社の違いとは_3

人材紹介会社を利用すべき企業の特徴は、下記3点です。

即戦力人材のみを求める企業

即戦力の人材のみを採用すると考えているのであれば、人材紹介会社の利用をおすすめします。公募では即戦力人材が思うように採用できないケースも多いため、かえって採用費が高くつく可能性もあります。

採用部門がないor人員が少ない企業

自社に人事部などの採用専門の部門がない場合、あっても人員が少ない企業の場合は、人材紹介会社を活用した採用活動をおすすめします。人員がいない中で無理に対応をすると適切な採用ができない可能性もあるためです。

効率的に適切な人材を採用するためにも、人材紹介会社を活用しない手はありません。

公募で採用成功した経験がない企業

ずっと公募で採用をおこなってきたけれど、うまくいっていない場合は、一度第三者の目から見た自社を見つめ直すためにも、人材紹介会社に依頼することをおすすめします。なぜかというと、自社が採用競合と認識している企業と実情が異なっていることを知らずに採用活動をおこなった結果、採用がうまくいっていないという可能性も考えられるからです。

人材紹介会社の担当にヒアリングすると、これまでに持っていたデータとは異なる観点を得られ、採用競合を正しく把握できる可能性があります。人材紹介会社のサービスを利用するだけではなく、彼らが持つ情報をうまく抽出し、得られる情報を参考にして採用を成功させましょう。

人材派遣会社との違い

よく耳にする機会も多い人材派遣会社と人材紹介会社はどんな点で違うのか、3つの観点から紹介します。

雇用関係

人材紹介の場合は直接雇用となり、紹介された企業と採用された方が雇用契約を結びます。対して人材派遣は派遣会社が雇用主になるため、派遣先と直接雇用の関係にはなりません。

料金

人材紹介の場合、採用をしたら紹介された人材の年収の約30%(人材紹介会社によって異なる)の支払いが発生します。対して人材派遣は派遣契約の期間が続いている間、紹介手数料(通称:紹介料)の支払いが必要です。

紹介予定派遣という派遣期間を経たあとに直接雇用に切り替える形式の場合は、派遣期間は派遣料金、採用されたら紹介手数料の支払いが求められます。

業務

人材紹介はいわゆる直接雇用であるため、業務の定めがないケースも多いです。しかし、人材派遣の場合、原則契約で決められた業務しかできないと決まっています。

選考

人材紹介は面接選考が可能ですが、人材派遣の場合は基本面接ができません。これは、雇用関係が派遣先ではなく派遣会社にあるためです。もっとも、人材派遣の中でも、紹介予定派遣は紹介を前提としているため、面接が可能です。

人材紹介会社を活用するポイント

人材紹介会社を活用するためには、担当者との関係性構築とぶれない求める人物像の設定が必要です。

求める人物像に後からあれこれと追加したり、条件を厳しくしたりしないためにも、先に自社内で採用したい人物像を確定させてから依頼をするようにしましょう。

その後、担当との関係を構築しながら、募集背景・採用したい人物像を理解してもらうようにしてください。専門領域のことを噛み砕いて理解しやすいように伝えることなども重要です。

良い関係性を構築できれば、頼りになる社外人事部のように動いてくれるようになるはずです。

まとめ

混同しがちな人材紹介会社と人材派遣会社の違い、メリット・デメリットを紹介しました。人材紹介も人材派遣もうまく活用できれば自社の採用効率業務効率を大幅に上げてくれる可能性を秘めています。

特に即戦力採用をしたい企業に人材紹介は向いているため、本記事で紹介したメリットを魅力に感じたならば、一度利用を検討してみてはいかがでしょうか。
 



<ライタープロフィール>
高下 真美

新卒で人材派遣、人材紹介企業に入社し、人事・総務・営業・コーディネーターに従事。その後株式会社リクルートジョブズ(現・株式会社リクルート)に転職し、営業として8年勤務後、HR系ライターとしてフリーランスへ転身。現在は派遣・人材紹介・人事系メディアでの執筆、企業の採用ホームページの取材・執筆の他、企業の人事・営業コンサルタントとして活動中。