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チームビルディングとは? 目的や方法、研修事例を紹介

チームビルディングとは? 目的や方法、研修事例を紹介

ビジネスでは、メンバーの一人ひとりが最大限のパフォーマンスを発揮することで、大きな成果につなげることができます。そうしたチームを作り上げるための取り組みが、「チームビルディング」です。

上手に活用することで、社内のコミュニケーションの活性化や、社員のモチベーションの向上を実現できます。今回は、チームビルディングの目的や手法、具体的な取り組み事例を交えながら、組織のパフォーマンスを向上させるためのポイントを紹介します。

チームビルディングとは?

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チームビルディングとは、メンバー一人ひとりのスキルや能力、経験を最大限に活かし、目標を達成できるチームを作り上げる取り組みのことです。新入社員同士やプロジェクトチーム内のコミュニケーションを活性化させるために定期的なミーティングや研修をおこなったり、チームとしての機能をより高めるためのアクティビティを実施したりします。

チームビルディングに必要な要素


■十分なコミュニケーション
「チームが共通の目標を持っている」と各々が認識するためには、メンバー同士のコミュニケーション量の増加が必要になります。会話が増えることで業務に役立つノウハウの共有などもおこなわれるため、チームの課題解決力の向上にもつながります。

■メンバーのスキルの理解
チームで共通の目標を達成するためには、メンバーの経験とスキルを明確にして、チームのなかで共有することがポイントです。具体的な役割がはっきりしていることで、効率良く目標達成のための課題を解決することができます。

チームビルディングの対象者


■新入社員・若手社員
新入社員や若手社員は他のメンバーとは面識がないので、チームビルディングを通してお互いを理解していきます。自分がチームから何を期待されているのかを知ることで、仲間意識を持ち、チームの結束力を強くすることができます。また、共通目標を持つことの重要性を認識することで、企業理念や経営方針を共通目標として認識できます。

■リーダー
主に社長や管理職、リーダー層が対象で、新卒、若手を対象にしたチームビルディングより複雑で難解な課題を実施します。課題のなかで、普段の業務ではできないチームマネジメントの実践や異なるメンバーでの課題解決に向けたアクションをおこなうことで、組織間の横のつながりの強化や新しいアイデアの発見になります。

チームビルディングのプロセス

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チームビルディングをおこなうためには、まず、今のチームの状態を知ることから始めます。
心理学者のタックマンが提唱した「タックマンモデル」では、チームの状態を5段階に分け、それぞれ次の段階に進むためにどのような取り組みが必要かを示しています。それぞれ見てみましょう。

1.形成期


チームが作られたばかり。メンバー同士がお互いをよく知らず、目標もしっかり共有できていない段階です。まずは、メンバー同士がお互いを知るためのチームビルディングが必要です。

2.混乱期


メンバー同士が互いを知り、遠慮がなくなってくる時期。考えや意見の対立が起こりやすい段階です。対立を恐れずに意見をぶつけ合い、議論を通じて理解を深めていくようなチームビルディングが必要です。

3.統一期


意見を出し合ったり、対立したりを経て、メンバー同士の考えや価値観の相互理解が進み、チームがまとまってくる段階。メンバーのスキルや能力、経験を活かした役割を設定したり、チームの目標を共有したりするなど、チームを機能させるためのチームビルディングが必要となってきます。

4.機能期


チームの目標のために、各メンバーが「自分が何をすればよいか」を理解し、自発的に動いている段階。お互いにフォローし合ったりすることで、チームとしての成果が見え始めます。より結束力を高め、チーム全体の力を向上させるチームビルディングが必要です。

5.散会期


プロジェクトの終了やリーダーの異動などにより、チームがその役割を終える段階です。目標を達成できていたり、メンバー同士で称賛し合う光景が見られたりすれば、ここまでのチームビルディングは成功したといえるでしょう。

チームビルディングの目的

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完成度の高いチームワークは、スムーズな組織運営や事業の発展に欠かせないものです。そのためにも、チームメンバーの経験やスキルを最大限に活かせる取り組みが必要になります。どのような取り組みが必要となるのか、具体的に見てみましょう。

新入社員・若手社員の育成


新入社員や若手社員は、いわば「形成期」や「混乱期」の状態にあります。コミュニケーションが不足しているためにチームが機能していません。まずは、お互いを知ることができるように自由な意見交換ができるような場を設け、コミュニケーション不足を解消します。
課題や悩みを1人で抱え込まず、気軽に相談できる雰囲気を作ることで、早期退職の防止にもつながり、新入社員研修などでよく取り入れられています。

また、チームビルディングは、横の関係だけでなく、上司との縦の関係を強化するときにも効果的です。上司と部下が同じ目標をしっかりと共有することで、部下が上司から何を期待されているか、目標達成のために自分は何ができるかを考え、自発的な行動ができるようになります。

中堅社員のリーダーシップの育成


入社3年目以降の中堅社員は、現場のリーダー的な役割を求められます。管理職の意思決定や経営者のビジョンを現場に反映させたり、チームを機能させるために両者の橋渡しをしたりするなど、目標達成のために現場をまとめます。

チームビルディングをおこなうことで、中堅社員の指導力の強化や、チーム内で中堅社員をリーダーとした体制作りを実現できます。また、管理職の意思決定や、経営者のビジョンをチームに浸透させるのにも効果的です。

マインドセットの形成


「統一期」「機能期」では、メンバーの一人ひとりが目標を達成したいという強い思いを抱いていないと、チームはうまく機能しません。そこで、チームビルディングに適した体験型アクティビティなどをおこないます。チームの一体感を生み出し、「このチームで同じ目標を達成したい」というマインドセットを形成していきます。

チームメンバーの関係強化


「機能期」では、メンバーが自分の役割をこなすだけでなく、新たなアイデアを出し合い、チームの業務効率を高めていくことが重要です。そのためにも必要なのが、チームメンバーの関係強化です。
自由に意見交換できるアクティビティなどを使ったチームビルディングを通して、気さくにコミュニケーションが取れるようになり、アイデアが生まれやすい環境を作ることができます。

チームビルディングに適したアクティビティ

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チームビルディングの手法は、定期的なミーティングや人事異動、後で紹介する体験型のアクティビティなど多岐にわたります。そのなかで、効果的な手法をいくつか紹介します。

リーダーズインテグレーション


チームの「形成期」の一番初めにおこなうキックオフミーティングです。形成直後で、情報の伝達ルールが整備されていない状態では、情報格差が起こりがちです。「自分だけ与えられる情報が少ない」という状態は、不平や疑心暗鬼につながります。そこで、リーダーが音頭を取り、リーダーズインテグレーションを実施します。具体的には、次のように進行します。

1.リーダーから自己紹介や、これまでやってきたことを発表する
2.リーダーがいったん退場し、残ったメンバーでリーダーについて知っていることや知らないこと、
 知っておいて欲しいこと、メンバーがリーダーのためにできることなどを書き出す
3.メンバーが退場し、リーダーが入場。書き出された意見を見て、答えを考える
4.メンバーが入場し、リーダーから回答していく


「形成期」では、メンバー同士や、リーダーへの不満をうまく発散できない状態が起こりがちであるため、リーダーに対して厳しい意見も出るでしょう。しかし、それを吐き出してもらい、リーダーが真摯に応えることが、チームの相互理解や一体感を生み出すために必要なプロセスです。

ミーティングとアイスブレーク


「形成期」や「混乱期」では、メンバー同士の活発な議論が重要です。しかし、まだ意見が対立したり、議論が白熱し過ぎて尾を引いてしまったりと、わだかまりも発生しやすい時期です。そこで、議論の準備運動として効果的なのがアイスブレークです。

アイスブレークは、ミーティングの前におこなってメンバー同士のぎこちなさや緊張感をほぐしたり、ミーティングの後に行って全体の気分をリセットしたりする効果があります。アイスブレークには、チームブレーンストーミングや「ウソ、ホント?」などさまざまなものがあります。

■チームブレーンストーミング
ファシリテーター(進行役)の出したお題に、メンバーで答えていきます。たとえば、丸いもの、「休日」といわれて思いつくこと、忘れ物の言い訳などなど、面白いお題を出すと盛り上がるとともに、柔軟な発想でアイデアが出やすくなります。

■ウソ、ホント?
メンバーに1枚ずつA4サイズの紙を配り、自分自身に関する事実を4つ書きます。ただし、そのうちの1つはウソ。各自、それを順番に読み上げた後、最初に読み上げた人から順番に、どれがウソなのかを他のメンバー同士で話し合います。メンバー間の共通項や見かけと事実の違いに気づいたりすることもあり、短時間で相互理解が進みます。

体験型のアクティビティ


「混乱期」「統一期」「機能期」において、チーム全体の力をさらに向上させるためには、ゲーム性のあるアクティビティも効果的です。アクティビティには、たとえば次のようなものがあります。

■地図ゲーム
メンバーを書記(1人)と伝達者(書記以外のメンバー全員)に分けます。伝達者は、指定されたお題の地図を見て、書記に伝え、書記は伝達者から聞いた内容を白紙に記載して、より正解に近い地図を作製したチームが勝利となります。書記と伝達者はそれぞれ、伝達された情報をアウトプットするスキルと相手に情報を伝えるスキルが必要になります。
相手の立場になり、「相手へのより良い伝え方」や「相手の価値観」などを考えることで、互いの意思伝達能力の向上や、チームの結束力を高めることができます。

チームビルディングをおこなう際のポイントや注意点

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明確なチーム目標の設定


チームを機能させるには、メンバーが一丸となって取り組む目標や、その達成のために各メンバーがどのような役割を担うかを、明確に設定することが何より大切です。それをすべてのメンバーがしっかり共有していないと、メンバー間の認識の食い違いや、メンバー同士の見当違いのフォローなどが起こり、チームがうまく機能しません。

適切なリーダーシップ


チームのリーダーは、チーム活動においてしっかり主導権を握っていくことが重要です。そのため、チームの「形成期」(リーダーインテグレーション)などで、今後のチームとしての活動計画などを示し、リーダーとしてメンバーに約束することを発表するとよいでしょう。

たとえば、リーダーが独断専行でチームの目標やメンバーの役割を割り振ってしまうと、メンバーはやらされ仕事と感じてしまい、チームのパフォーマンスは低下してしまいます。
そのため、「独断専行はしない」「目標や役割を設定するときはメンバーの意見を聞く」「メンバーの業務の進捗や家庭生活に配慮する」などを約束することで、メンバーは安心し、モチベーションも高まります。

最低限のルールの設定


メンバーのスキルや能力、経験はそれぞれ違います。それぞれの適性に合った役割を設定できれば、チームのパフォーマンスは上がりますが、多様性や個性を重視するあまり、チームにとって問題行動を起こすメンバーが現れることがあります。
たとえば、「全体の流れを無視し、自分の得意分野の話ばかりする」「代替意見を出さず、他メンバーの意見の批判ばかりする」などです。これを放置すると、チームの一体感や結束力が低下します。

そこで、あらかじめ、「ミーティング中に他メンバーの意見を批判しない」など、最低限のルールを設定するとよいでしょう。ルールは多過ぎてしまうと、メンバーの自由な意見やアイデアを制限してしまうので、注意が必要です。あくまで、メンバーが気軽に安心して意見を出したり、業務をおこなったりできる環境を作るために設定します。

まとめ


チームビルディングで何より大切なのは、情報が全体に共有される体制作りです。すべてのメンバーが情報を正確に把握して、安心して業務を遂行できるよう、リーダーは常にチーム全体に目を配る必要があります。
チームとして大きな成果を出せるのは、一人ひとりのメンバーがいてこそです。それぞれのメンバーの感情に配慮し、気遣いを持って接することで、メンバー同士の信頼関係が構築でき、チームのパフォーマンスは向上します。


《ライタープロフィール》
山本淳(やまもと・じゅん)
ライター/フリー記者(政治・経済)
早稲田大学中退後、テレビのニュース番組やネットメディアの記者を経験しフリーに。記者歴15年。一次情報をもとにした正確性と、専門家や当事者へのヒアリングをもとにした現場感をモットーに、記事を執筆。