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企業の人材育成によくある課題と解決策、成功に導くポイントをご紹介

企業の人材育成によくある課題と解決策、成功に導くポイントをご紹介

人材育成とは、自社に理念に共感し、組織の未来を託せる優秀な人材を育てることです。近年は少子高齢化や人口減少による採用難が続き、テレワークの普及によって上司と部下のコミュニケーションも減少するなど、人材育成に課題を感じている人事担当者の方も多いのではないでしょうか。

本記事では、人材育成におけるさまざまな課題と解決策、人材育成を成功に導くポイントや注意点について紹介します。

人材育成とは?

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人材育成とは、企業が望む形に社員を育成し、自社の成長に貢献できる人材を育てることをいいます。企業と個人が目指すものを一致させ、会社が求める方向に社員を育成していくことが重要なポイントです。

人材育成が企業に必要な理由/目的


企業の経営資源は、「ヒト・モノ・カネ」といわれています。人材育成の目的は、企業の経営資源のひとつであるヒト=「人材」の力を最大限に活用し、自社の競争力や生産性を高めることです。また、人材育成をおこなう側の社員の成長を促すことも目的のひとつです。人材育成は、管理職にとって重要なスキル。後輩や新入社員の指導・教育をおこなうことによって、中堅社員のマネジメント力を高めることができるでしょう。

さらにもうひとつ重要な理由があります。日本は少子高齢化が進み、2008年をピークに総人口が減少に転じる人口減少時代が始まっています。人手不足が深刻化しており、採用も困難になっています。せっかく採用できた貴重な人材を育て、離職を防ぐためにも、人材育成はこれまで以上に重要になってきています。

人材育成については、下記の記事でも詳しくご紹介しています。

《関連リンク》
人材育成を成功させるために大切なこと。課題、方針、計画のポイントと目標を紹介

人的資本経営


昨今、人材育成と関連して、「人的資本経営」というワードも聞かれるようになりました。人的資本経営とは、人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方です。

企業が事業環境の変化に対応しながら、持続的に企業価値を高めていくためには、事業ポートフォリオの変化を見据えた人材ポートフォリオの構築やイノベーションや付加価値を生み出す人材の確保・育成、組織の構築など、経営戦略と適合的な人材戦略が重要となります。

《出典》
経済産業省:人的資本経営 ~人材の価値を最大限に引き出す~

人材育成におけるよくある課題例

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人材育成の重要性は年々高まっていますが、多くの企業がさまざまな課題に直面しています。特に多い人材育成の課題は、以下のケースです。

人材育成のために割くリソースが不足している


企業の業績や景気が悪くなると真っ先に削られるのは、広報宣伝費・交際費・交通費、そして教育研修費といわれています。人材育成は費用対効果が見えにくいため、多くのコストがかけられません。また、通常業務が忙しいため、後輩の指導に当たっている時間がないという問題もあります。そのため人材育成のためのリソースが不足しており、人材育成そのものが後回しになっているケースが少なくありません。

人材育成を担える人材が不足している、または社内にいない


同様に、教育研修費にコストをかけられないため、人材育成を担える人材が不足している、または社内にいない、というケースも多く見られます。指導力のある人材がいなければ、人を育てることはできません。人材育成は、教える側のスキルを高めることも重要です。そのための研修やマニュアルが必須となります。

テレワークの普及によるコミュニケーション不足


近年増えているのは、テレワークの普及によるコミュニケーション不足という課題です。テレワークでは社員が直接交流する機会が減ってしまうため、人材育成がしにくくなります。上司や仕事ができる同僚の「背中を見て学ぶ」的なこともできないため、オンラインでも可能な人材育成の施策が必要とされています。

自律性のある人材を育てるための目標が曖昧


人材育成の目的のひとつに、自律性のある人材の育成があります。自律性のある人材とは、自ら考え行動できる、主体性のある社員を指します。言われたことを言われた通りにやる人材だけでは、企業は成長できません。自律型人材を育てるためには、自社が求める人材像を明確にすることが必要です。求める人材像が明確になっていないため、人材育成の目標設定が曖昧になっている、というケースが多く見られます。

自律性のある人材を育む環境ができていない


同様に、自律性のある人材を育むための環境作りができていないケースも少なくありません。上が命令を出し、下は報告するだけ。こうした「上意下達」の組織では、自律性のある人材を育てることはできません。若手や新人であっても、自ら考え行動できる、主体的な人材が育ちやすい企業風土の改革が必要です。

教育や研修が場当たり的


研修や教育を実施していても、業務に戻るとその内容を活かす機会がない、あるいは研修や教育が場当たり的で継続しておこなわれず、人材育成に結びつかないケースも少なくありません。新人研修であっても、管理職研修であっても、社員に教育をおこなう際は明確な目標設定が必要です。自社が求める人材像、階層や等級別に必要なスキル・知識などを明示し、それらを獲得するための研修・教育が必要です。

階層や役職に沿った育成になっていない


一律の教育では人材を育てることができないのも人材育成の課題です。新入社員に必要な指導と、管理職に必要な指導は、当然異なります。人材育成は、階層や役職別におこなうことが重要です。

企業の理念や目標が明確になっていない


人材育成の目的は、企業の理念に共感し、会社と同じ目標を持つ社員を育てることです。自社の理念や目標が明確になっていなければ、社員が共感し、同じ目標を持つことはできません。ミッション(使命・目的・存在意義)、ビジョン(目標・方向性)、バリュー(価値観・姿勢)などの企業理念を明確にして、すべての従業員に浸透させていくことも人材育成を成功させる重要なポイントとなります。

人材育成の課題の解決策①

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人材育成の課題を解決するためには、さまざまな方法があります。OJTやメンター制度、MBO、OKRなどの代表的な施策をはじめ、オンボーディングやオンライン研修、人員計画など10の解決策を紹介します。

OJT


OJTとは「On-the-Job Training」の略称で、職場内訓練や仕事をしながらおこなう訓練を意味しています。新入社員や新たに配属された社員、派遣スタッフなどが、先輩社員に教わりながら、実務を通して必要なスキルや知識を学ぶ人材育成の手法がOJTです。マニュアルだけでは身に付けることが難しい、実践的な知識やスキルを蓄えることができるのが大きな特徴です。

《関連リンク》
OJTとは何か?意味、導入方法、効果、注意点などを徹底解説

メンター制度


メンター制度とは、先輩社員が新入社員と定期的に面談をおこない、不安や悩みを聞いて精神的なサポートをする人材育成の手法です。同じ部署ではなく、業務上のつながりがない他部署の先輩がメンター(指導者・助言者)となるのが一般的です。新入社員に限らず、若手社員や新人マネージャーを対象におこなう場合もあり、新入社員の定着率の向上や社員同士のコミュニケーションを活性化する効果が期待できるでしょう。

《関連リンク》
メンター制度とは?目的やメリット、デメリットを紹介

MBO


MBOとは、「Management by Objectives」の略称で、日本では「目標管理制度」と呼ばれています。MBOの特徴は、上意下達ではなく、社員が自分自身で目標を決めること。組織の目標を達成するため、自分が貢献できることを目標として設定し、その達成度によって評価されます。会社や上司の強制・命令ではなく、自分で目標を決めるため、社員の自律性を育み、モチベーションを向上させる効果が期待できそうです。

《関連リンク》
MBO(目標管理制度)とは? 目標設定の方法、導入時の注意点、OKRとの違い

OKR


OKRとは、「Objectives and Key Results」の略称で、通常より高い目標を達成するための目標管理手法のことを指します。OKRは企業と従業員が同じ目標に向かって一丸となり、それぞれがやるべきことを明確に意識し、一定のペースで挑戦を続けます。そのため、やや高いレベルの目標を設定して挑戦心をかき立て、従来の管理手法よりも高い頻度で、進捗確認・評価をおこなっていくという特徴があります。

《関連リンク》
OKRとは? 設定方法や導入事例を紹介

コンピテンシー


コンピテンシーとは、自社が求める人材を明確にし、個々のモチベーションを高め、社員の目標となる指標です。コンピテンシーは、社内の階層や役職によって異なります。これらを明確にすることで、会社が各階層や役職に求める人材の育成がしやすくなります。社員も自分に求められていることを理解でき、何ができていて、何ができていないのかを把握しやすくなります。目標や努力の方向性もつかみやすくなり、自律性のある人材の育成や、若手の定着率の向上、企業の競争力や生産性を高める効果が期待できるでしょう。

《関連リンク》
コンピテンシーとは?活用方法、導入方法や事例を紹介

オンボーディング

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オンボーディングとは、新しく組織に配属されたメンバーの教育・育成をする施策です。OJTは実務を通して仕事を教える教育・育成手法を指しますが、オンボーディングは企業の社風や人間関係などの環境面のサポートも含まれているため、OJTより幅広い意味を持っています。【目標の設定→環境の構築→プランの作成・見直し→オンボーディングの実施→振り返り】というプロセスでおこない、通常のタスクマネジメントと同様に、オンボーディングにおいてもPDCAサイクルを回すことが重要になります。

《関連リンク》
オンボーディングとは? 知っておきたい具体的な内容と目的

チームビルディング


チームビルディングとは、個々のスキルや経験を最大限に活かし、目標達成できるチームを作り上げる人材育成の手法です。チーム内のコミュニケーションの活性化を目的として、定期的なミーティングや研修をおこなったり、チームの力をより高めるためのゲームを実施したりします。新人研修で実施されることも多く、自由な意見交換をできる場を設けることでコミュニケーション不足の解消が期待できそうです。

《関連リンク》
チームビルディングとは?実施内容の一例とオンラインでできる取り組みを紹介

オンライン研修


オンライン研修とは、オンライン会議ツールを使い、インターネット上でおこなわれる研修です。参加者はパソコンを使って講師の映像を閲覧します。参加者が自宅で受講する「個別参加型」、会議室などひとつの場所に集まった参加者がそれぞれのパソコンから受講する「多拠点参加型」といった方法があり、場所や時間を選ばず受講できること、テレワーク勤務でも受講できるため社員の教育格差が生じないのが特徴です。

《関連リンク》
社内研修を有意義に。オンライン研修のメリットとコツ

人材育成の課題の解決策②

人員計画


人員計画とは、企業が必要とする人材を確保するための長期的な視点での計画です。10年先の企業のあるべき姿を踏まえたうえで、どんな人材が必要なのか、どんな配置にするのか、現状はどうなっているのかを確認し、単年度の配置・採用・異動などを決めていきます。 正しい人員計画を立てることで組織のパフォーマンスを最大化し、適切な配置・採用・異動をおこなうことで、人件費のコスト削減も期待できそうです。

《関連リンク》
人員計画とは?企業が立てるメリットと作り方を紹介

人材ポートフォリオ


人材ポートフォリオとは、人的資源の構成内容をあらわすデータです。「社内のどこに」「どんな人材を」「どのくらいの人数」を配置すればよいかを分析・設計することで人的資源を可視化し、人材配置をはじめ、採用計画や人材育成、評価など、人事の要を担います。人材ポートフォリオも、さまざまな経験やスキルを持った社員を適切に配置し、効率的かつ最大限に業績向上を図る、人材育成手法のひとつです。

《関連リンク》
人材ポートフォリオの効果とは?基礎知識と作り方のポイントを解説!

人材育成を成功に導くポイント

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人材育成を成功に導くためには、上記の解決策以外にも、4つの重要なポイントがあります。また、注意すべきポイントもあります。これらを実施することで、人材育成の課題を解決していきましょう。

人材と目線を合わせて育成に臨む


人材育成でまず重要なのは、求める人材像を明確にすることです。同時に企業理念も明確にしておく必要があります。採用段階からこれらを明示し、入社後も社員と目線を合わせて育成に臨みます。求める人材像と企業理念は、人材育成で目指すべきゴールです。目標を明確にしなければ、人材育成は成功しません。

スキルマップを用意する


求める人材像を明確にしたら、スキルマップを作成します。スキルマップとは、年次や役職ごとに必要となるスキルを一覧表にしたものです。スキルマップがあれば、体系的な人材育成が可能になります。個々の社員に必要なスキルを明示することで、自己研鑽が促進され、人材育成のスピードも上がります。

OJTやeラーニングなどの研修制度の導入


スキルマップを作成したら、OJTやeラーニングなどの研修制度を導入し、それぞれの社員が必要なスキル・知識を獲得できる施策を実施します。eラーニングとは、インターネットなどを活用した学習形態のこと。テレワークを実施している企業にも適しており、時間や場所に縛られない教育が可能です。

1on1を実施してコミュニケーション不足の解消


上司と部下のコミュニケーション不足を解消するためには、1on1が効果的です。上司と部下が一対一で話し合い、仕事の現状や困りごとなどを確認し、フィードバックをおこなうことでモチベーションの向上を図ります。月に1~2回、30分程度の時間を取るケースが多く、毎週1回は必ず実施する企業もあります。

人材育成の注意すべきポイント

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短期的な視点ではなく、長期的視点で人材育成をおこなう


人材育成でネックとなるのは、やはり費用対効果です。研修や教育にコストをかけても、人材育成は直接的な成果を測ることが困難です。しかし、企業にとって「人材」は重要です。企業の競争力や生産性は向上させるには、人材育成は不可欠となるでしょう。MBOやコンピテンシー評価を導入することで、社員の成長は可視化できます。短期的な視点ではなく、長期的な視点で人材育成をおこなうことが必要といえそうです。

制度を導入するだけでなく、運用についても検討する


どんなに優れた制度も、導入するだけでは意味がありません。重要なのは、運用できるかどうか。新しい施策を導入すること自体はそれほど難しくありませんが、社員に周知徹底し、成果が出るよう運用を続けていくのは決して簡単なことではありません。運用できない制度を導入して形骸化してしまうケースも多く見られます。導入前に運用方法を徹底的に検証し、自社に適した解決策を実施することが必要です。

流行りの手法だけでなく、自社に合った育成手法を選択する


人材育成の手法には、さまざまなブームがあります。しかし、必ずしも自社に合ったものとは限りません。また、企業の方針がころころ変わると社員の混乱を招きます。方法も大切ですが、何より重要なのは、その根幹となる「自社が求める人材像」や「理念」を明確にすること。

どんな人材を育てたいのか、企業が目指すものは何か、それにはどのような施策が適しているのか。企業の将来像やビジネスモデルと照らし合わせながら、人材育成の方法を選択しましょう。それこそが人材育成を成功に導く最も大事なポイントです。

まとめ

人材育成にはさまざまな課題がありますが、解決策も多くあります。自社の現状を分析し、適した施策を導入することで、求める人材を育てることは可能です。人材育成の課題を解決し適切におこなうことで、中長期的な事業成長を支える人材を確保できるでしょう。また、即戦力が必要な場合や採用のミスマッチを防ぐためには、人材派遣を活用するという方法もあります。

スタッフサービスグループでは、企業の採用や人材育成の課題を解決するための多彩なサービスを提供しています。「採用後すぐに社員が辞めてしまった」「育成することを前提に、ゆくゆくは会社の基幹人材になってもらえるような人材が必要」といった課題に応えることも可能です。人材でお困りの際は、スタッフサービスグループにご相談ください。

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《ライタープロフィール》
鈴木にこ(ライター)
求人メディアの編集者を経て、フリーランスとして活動中。派遣・新卒・転職メディアの編集協力、ビジネス・ライフスタイル関連の書籍や記事のライティングをおこなう