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インセンティブ制度とは? メリットデメリット、種類と導入のポイントを紹介

インセンティブ制度とは? メリットデメリット、種類と導入のポイントを紹介

皆さんの企業では、社員に対してどのような形で報酬を与えていますか? そして、その報酬によって、社員のモチベーションは上がっていますか?
報酬以外にも、社員のモチベーションを高めるための手段の1つとして、インセンティブ制度があります。今回はインセンティブ制度とはどのような報酬制度なのか、そのメリットやデメリット、加えて、導入する際の注意点などを解説します。

インセンティブ制度とは

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インセンティブ制度の目的や制度の内容について解説します。

社員のモチベーションを向上するのが主な目的

インセンティブ制度の目的は、社員のモチベーションを上げることです。
固定給やボーナスのような金銭的な報酬も、社員のモチベーションを上げる役割を果たしていますが、勤続年数や立場の違いなどから、個人の行動や実績が必ずしも、目に見える形で反映されるものではありません。

一方、インセンティブ制度においては、勤続年数や立場の違いに関係なく、個人の行動や実績が目に見える形で評価されます。その結果、社員のモチベーションアップの効果が期待できるでしょう。

社員の行動や実績が評価の対象。月給やボーナスとは別に報酬として反映する制度

インセンティブ制度の運用として、たとえば、最初から固定給やボーナスをアップさせることによって、社員のモチベーションを高める、という考え方もあります。

ところが、固定給はいったん支給額を上げてしまうと、業績が悪化した場合など、支給額を下げる必要が生じたときにもそれが容易ではなくなってしまいます。また、ボーナスにおいても、インセンティブ制度の運用のために前提条件を変更することになると、従業員組合との交渉が必要になったり、インセンティブを組み込むための計算式変更の作業が発生したりします。

そのため、インセンティブ制度においては、固定給やボーナスとは別に、報酬として反映することが一般的です。なお、特筆すべき実績を上げた社員やチームを表彰する仕組みなど、この制度における報酬とは、必ずしも金銭的な報酬に限りません。そのため、会社側の負担を減らしながら、社員のやる気を高めることができる有効な手段といえます。

インセンティブ制度のメリット

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それでは、インセンティブ制度を導入すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。具体的に見ていきましょう。

社員のモチベーションが向上しやすい

先ほど説明したとおり、インセンティブ制度の目的は社員のモチベーション向上です。ボーナスと比較して、その効果を考えてみましょう。通常、ボーナスについては、半期や通期など、その企業における一定期間の業績に連動することが一般的です。それと比べると、インセンティブ制度においては、四半期ベースや月ベースなど、より短期間で、より明示的に社員のやる気を高めることが可能といえるでしょう。

勤続年数や立場に寄らず、成果が正当に評価される

固定給やボーナスと異なり、インセンティブ制度においては、勤続年数や立場にかかわらず、成果が明示的に評価されます。特に、固定給やボーナスといった報酬だけでは、その社員の成果や業績を反映しきれないケースもあるでしょう。そのため、成果を上げた社員やチームに報いるため、この制度を活用することができます。

インセンティブの倍率を変えることで、業務の重要性を可視化できる

インセンティブ制度の活用を通じて、どの経営課題が重要なのか、可視化することで社員に伝えることができるでしょう。

たとえば、「売上の拡大」を最重要課題であれば、売上の実績に対してインセンティブの比重を高める、「コスト削減」を最重要課題であれば、経費削減やDXによる効率化、に対してインセンティブの比重を高めます。その結果として、直接社員に語り掛けることなく、制度の活用を通じて間接的に経営からのメッセージを伝えることができます。

社員の間での競争意識を形成できる

インセンティブ制度は、社員の行動や実績が可視化され評価されます。その結果、成果を上げて評価される社員と、評価されない社員が明確になります。特に、インセンティブ制度においては、表彰制度などを通じて評価された社員が、目に見える形でフォーカスされます。

目標を達成できなかった、今回は評価が今ひとつだったという社員も、「次こそは自分が表彰される側になりたい」「実績を上げたノウハウを学びたい」など、触発されるかもしれません。結果として、競争意欲を高め、社員の能力や会社の業績の底上げも期待できるでしょう。

インセンティブ制度のデメリット

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インセンティブ制度を導入することによるメリットがある一方、下記のようなデメリットも認識しておく必要があります。

評価の上がらない社員のモチベーション減少につながる

メリットでも述べたとおり、インセンティブ制度のもとでは、社員の行動や実績が可視化されるため、成果を上げて評価される社員とされない社員の二極化が生まれます。評価されない側の社員が奮起するきっかけになればよいですが、「いくら頑張っても評価されない」といったあきらめや、「なぜあの人は評価されて自分は評価されないのか」といった不満などの感情が生まれてしまい、やる気を失ってしまう懸念があります。

個人実績のインセンティブを多くするとチームワークを阻害する要因になる場合がある

インセンティブ制度を設計する際、その対象を個人単位にするのか、チーム単位にするのか、にも気を配る必要があります。特に、個人単位に偏った評価基準としてしまった場合、利己的な感情が生まれる土壌が形成され、その結果チーム内で共有すべき情報を共有しない、チームで達成した成果を独占しようとする、などチームワークを阻害する要因になりかねません。

したがって、インセンティブ制度を設定するときは、その運用方法について、組織全体の動きを妨げる要素がないか、十分に検討する必要があります。

評価される業務以外への意識が下がる場合がある

インセンティブ制度の導入によって、目立つ成果や実績を上げようとする動機付けになる一方、決して華やかではないものの組織として不可欠な業務、たとえば、間接部門や顧客クレーム対応などの業務への意欲が下がるリスクがあります。

いいかえると、インセンティブ制度は、評価基準が可視化されるため、評価されやすい業務への動機付けとして効果がある一方、評価されづらい業務がおろそかになってしまうリスクがあります。したがって、導入する際は企業の中長期的な成長を見据え、より広い視野で制度をつくる必要があるでしょう。

インセンティブ制度の種類

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インセンティブと聞くと金銭面をイメージされる方が多いかと思いますが、実は金銭以外のインセンティブもあります。今回は一般的なインセンティブを5種類紹介していきます。

① 物質的インセンティブ

成果や実績を上げた社員に対して、「お金」や「モノ」など、目に見える報酬を与えるインセンティブです。最もイメージしやすいインセンティブといえるでしょう。

② 評価的インセンティブ

その名のとおり、成果や実績を上げた社員を明示的に評価するインセンティブです。昇進や、昇格などほか、その社員を表彰することでモチベーションをアップさせるといった手段も含まれます。

③ 人的インセンティブ

上司や先輩など、組織内の人間関係を通して、モチベーションを高めるインセンティブです。ただし、リモートワークが浸透するなか、このインセンティブを活用するためには一定の出社率を義務付けるなどの工夫が必要になってくるでしょう。

④ 理念的インセンティブ

企業における経営理念やビジョンが示す価値観を通じて、仕事に対するモチベーションを高めるインセンティブです。社員が共感できる経営理念やビジョンであればあるほど「自社が社会にどのように貢献しているか」「自分の仕事はその価値を高めている」と感じてもらうことができるでしょう。

⑤ 自己実現的インセンティブ

社員一人ひとりの夢やビジョン、自分のなりたい姿を実現するために、会社として環境を整え、インセンティブを与えるものです。たとえば、チャレンジ制度のような形で、特定の部署を公募制にしたりすることもその1つです。

インセンティブ制度の導入ポイント

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これまで見てきたことを踏まえて、インセンティブ制度を導入する際、どのような点に気を付ける必要があるかを見ていきます。

すべての社員に配慮した制度にする

先述したように、インセンティブ制度においては、社員の行動や実績への評価が可視化されるため、評価される社員と評価されない社員の二極化が生まれます。制度の設計次第では、評価されない側の社員のモチベーションを低下させるリスクもはらんでいます。性別の違い、総合職や一般職などの職種の違い、子育てや介護など時間的な制約の有無なども含め、各社員にとっての働きがいを阻害しないよう、目配りする必要があります。

社員の職種による不公平が出ないようにする

異なる職種間において、公平で納得感のある制度設計にしていくことも重要です。特定の職種のみが評価される制度設計をおこなった場合、評価されづらい職種に属する社員のモチベーションを下げるだけでなく、将来その部門への異動希望が減るリスクも生じるでしょう。
そういったリスクを避けるためにも、経営層から評価基準に対する説明をおこなうなどして透明性を高め、職種ごとの不公平が生じない仕組みづくりをおこなっていくことが大事です。

仕事の進行に支障が出ない制度にする

インセンティブ制度における評価基準を明らかにすることによって、どのようにすれば評価され、報酬を受けることができるか、ある程度明確になります。これによって、やるべきことが明確化される一方、比較的目立たない、評価の対象となりづらい業務がおろそかになる可能性があります。したがって、業務全体を俯瞰(ふかん)し、やるべき仕事の進行に影響が生じないような仕組みづくりが必要といえるでしょう。

まとめ

インセンティブ制度は、社員のモチベーションを向上させることを目的に、社員の行動や実績を評価の対象として月給やボーナスとは別に報酬として反映する制度です。

インセンティブ制度のメリットとしては、勤続年数や立場に関わらず、成果が正当に評価される、社員の間での競争意識を形成できるなどがあります。一方、デメリットとしては、評価の上がらない社員のモチベーション減少につながる可能性がある、評価される業務以外への意識が下がる場合があるなどがあります。

メリットやデメリットを踏まえ、インセンティブ制度は、すべての社員に配慮しつつ、社員の職種による不公平が出ないような制度設計にしていくことが大事です。今回説明した5種類の制度を含めて、インセンティブ制度にはさまざまな種類がありますので、各企業の実情に合わせた最適な内容で制度設計を検討していきましょう。

ライタープロフィール
Toru/ライター
MBA予備校や転職メディア向けのブログ、コーチング本など、主にビジネス系の書籍や記事のライティングを行う。