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担当者として押さえておきたい「労働基準法」について

担当者として押さえておきたい「労働基準法」について

労働基準法、略して「労基」とも呼ばれるこの法律は、日本国憲法を受けて1947年に成立したものです。この歴史ある労働基準法をベースに、職業性疾患や過重労働の実態を考慮した基準の制定などが適宜行われています。今回は、労働基準法制定の背景や基本事項について確認しましょう。

労働基準法とは

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日本国憲法第27条「すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ」が制定の根拠となっています。

・賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。
・児童は、これを酷使してはならない。

また、以下のような性格を持っています。

1. 会社に対し、社会的・経済的弱者である従業員(労働者)の【保護】を目的としている
2. 労働条件の【最低条件】を定めている(第13条)
3. 労働に関する諸条件を定めた法律
4. 「労働組合法」「労働関係調整法」とともに労働三法の一つ

3つの特徴

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[1]民法を優越する「特別法」
適用対象が一般法より特定された法のことを「特別法」といいます。それに対し、適用対象が広く、一般的に適用される法を「一般法」といいます。
民法と労働基準法において同一事項について規定があった場合には、労働基準法が優先して適用されます。一方、労働基準法に規定がない事項については、民法が適用されます。

[2]就業規則と深い関係にある「強行法規」
労働時間や休日など、労働基準法の基準に満たない労働条件については、無効となります。 労働基準法の基準まで、自動的に労働条件が引き上げられます。

[3]どんな罰則がある?「取締法規」
労働基準法に違反した場合、刑罰法規として罰則(30万円以下の罰金から10年以上の懲役刑まで)が適用されます。その場合の罰則対象は、違反をした「当事者+会社」となります。(総則の一部は対象外)

ケーススタディ

[Q]就業規則と労働基準法では、どちらが優先される?

[A]労働基準法が優先して適用されます。
例えば、就業規則で定めた有給休暇日数が労働基準法の内容に満たない場合には、労働基準法で定めた日数を取得できます。また、同時にこの就業規則は「労働基準法に違反している」ことになりますので注意が必要です。

労働基準法がカバーする範囲

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具体的には、どのような項目が含まれるものなのでしょうか。労働基準法の骨子となる部分を確認していきましょう。

労働条件(第1条)
労働条件は会社と従業員が対等の立場で決定

就業規則と労働契約の遵守(第2条)
会社と従業員は、お互いに就業規則や労働契約を守って、誠実に対応すること。

均等待遇(第3条)
会社は国籍、宗教、支持政党、家柄などで、従業員を差別してはならない。

男女同一賃金(第4条)
会社は女性であることを理由にして、従業員の給料を低くしてはならない。

強制労働の禁止(第5条)
殴る、脅す、監禁するなどして、無理やり労働させてはならない。

中間搾取の禁止(第6条)
別の法律や本人の同意なく、給料から中間搾取(いわゆるピンハネ)してはならない。