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派遣先管理台帳とは

派遣先管理台帳とは

派遣先管理台帳は、派遣社員を受け入れる企業が派遣社員を受け入れる際に作成し、決められた期間保管しておくことが義務付けられている資料のことです。知らずに派遣先管理台帳を作成していないなど、その他決められた義務を果たしていない場合、罰則を受けるおそれもあります。

正しく運用できるよう、本記事で必要事項をまとめて把握しておきましょう。

派遣先管理台帳とは

派遣先管理台帳とは_1

派遣先管理台帳を作成する目的は、派遣労働者を守るために派遣労働者の就労実態と契約内容(就業日・就業時間・就業場所・業務内容)の把握・確認、適切な業務指示、派遣元への周知、派遣元の派遣社員管理です。

出典:e-GOV 法令検索「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和六十年法律第八十八号)第四十二条」

直接雇用の場合は労働条件通知書と名称は違うものの、派遣先管理台帳と同じように労働する条件を記載し、労使間で確認する目的で作成されています。

派遣先管理台帳に記載する内容

派遣先管理台帳に記載する項目としては、下記の項目が挙げられます。同業務であっても、派遣社員ごとに作成が必要である点を忘れないように注意しましょう。(派遣元に提出する必要のある内容については★で記載しています)

★派遣社員氏名
・派遣元事業主の氏名または名称(法人名)
・派遣元事業主の事業主の事業所名称(支店などであれば支店名)
・派遣元事業主の事業所所在地、電話番号
・業務の種類・内容(詳細に記載)
★派遣社員が従事する業務に伴う責任の程度(役職があれば役職名、なければ役職なしと記載)
★業務の遂行に当たって付与される権限の具体的な範囲と程度を記載(管轄下にいる人数、決済権限の有無とその範囲、緊急時の対応範囲など。権限がなければなしと記載)
(期間制限のない業務をおこなう労働者派遣の場合)
・有期雇用派遣または無期雇用派遣どちらかを記載
・年齢が60歳以上であるか記載
・協定対象派遣労働者か否かを記載
・日数限定業務の場合は当てはまる旨を記載、その業務が1ヶ月のうち、おこなわれる日数、派遣先通常労働者の1ヶ月の所定労働日数を記載
・産前産後、育児・介護休業などがある場合記載
・派遣社員が労働に従事した事業所の名称・所在地、その他派遣就業をした場所、組織名、電話番号
・派遣元責任者名、電話番号も記載
・派遣先責任者名、電話番号も記載
★就業状況(派遣就業した日、派遣就業した日ごとの始業・終業時間、休憩時間)
・派遣社員から発生した苦情の処理状況を記載
(苦情の申し出受付日、苦情内容・処理状況(顛末)を処理に当たった都度記載)
・派遣社員に係る社会保険・雇用保険の被保険者資格取得届の提出有無(提出がされていない場合はその理由と手続き終了後に有に変更)
・教育訓練をおこなった日時・内容(計画性のあるOJT、Off-JTを含む)
(紹介予定派遣の場合のみ記載)
・紹介予定派遣に関する事項
 ①紹介予定派遣の旨
 ②面談等で派遣労働者の特定をおこなった場合、選考の基準・採否結果(派遣労働者が辞退した場合、あるいは企業側が受け入れなかった場合はその理由も記載)

派遣先管理台帳の通知について

派遣先管理台帳とは_3

派遣先管理台帳は派遣先である自社での管理に使用するほか、派遣元に対して定期的に報告・通知する必要があります。通知の頻度・方法や派遣元に通知が必要な項目を紹介します。

通知の頻度、方法

派遣先管理台帳は、月に1度以上の頻度で期日を決めて、派遣元に通知する必要があります。定期的な報告はそのようにおこないますが、派遣元から求められた場合はすぐに通知しなければなりません。また、派遣社員から苦情の申し出があり、その処理を複数回おこなった場合、その都度派遣元にも通知します。

通知の方法は、書面・FAX・メールのいずれかでおこないます。

通知が必要な項目

派遣元への通知が必要な項目は、下記の6つです。
・派遣労働者の氏名
・派遣就業をした日
・派遣就業をした日ごとの始業・終業時刻および休憩時間
・従事した業務の種類
・派遣労働者が従事する業務に伴う責任の程度
・就業した事業所名称、所在地、その他就業した場所、組織単位

派遣先管理台帳の保管について

派遣先管理台帳は、作成したら終わりではありません。派遣期間終了日の後、3年間は保管しなければならないと決まっています。契約を更新していた人も、最後の派遣期間終了日から3年を起算します。

出典:e-GOV 法令検索「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和六十年法律第八十八号)第四十二条」

保管方法については、書面もしくはデータでの保管となっています。勤怠管理が別の用紙でおこなわれている場合などは、その用紙も保管しておく必要があることを忘れないようにしましょう。

まとめ

派遣先管理台帳は派遣先である自社・派遣元である派遣会社・派遣社員全員が内容を確認し、適切な働き方ができているかどうかを明確にするものです。

派遣社員は、雇用主(派遣元)と就業先(派遣先)が異なるため、雇用主からは就業実態が確認しにくい特徴を持っています。そういう働き方をする派遣社員こそ、派遣先管理台帳で就業実態を明確に把握できるようにすることが重要です。

派遣先は、派遣社員・一般社員を問わず、会社のために働いてくれる人が適切に働ける環境を整え、派遣元と一緒に整備していく意識で受け入れをしましょう。そうすれば、派遣社員の方もやりがいを持って働きやすくなるはずです。

現在派遣先管理台帳の管理があまりうまくおこなえていない企業の方は、早急に体制を整え、ルーティンワークに組み込んでおきましょう。そうすれば、抜け漏れなく就業実態を報告でき、派遣元とのコミュニケーションもスムーズになっていくはずです。

派遣先管理台帳の必要性をご存じなかった方は、ぜひ参考にしてみてください。
 


<ライタープロフィール>
高下 真美

新卒で人材派遣、人材紹介企業に入社し、人事・総務・営業・コーディネーターに従事。その後株式会社リクルートジョブズ(現・株式会社リクルート)に転職し、営業として8年勤務後、HR系ライターとしてフリーランスへ転身。現在は派遣・人材紹介・人事系メディアでの執筆、企業の採用ホームページの取材・執筆の他、企業の人事・営業コンサルタントとして活動中。