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ビジネス用語の基本「ちょっと」「少し」「すぐ」ってどれぐらい?誤解を与えない使い方と例文

ビジネス用語の基本「ちょっと」「少し」「すぐ」ってどれぐらい?誤解を与えない使い方と例文

忙しいとつい便利な言葉を使いがちです。「ちょっと待ってください」と言われ30分ぐらい待たされた、「少し直してください」と言われて対応したら、3時間ぐらいかかる内容だった…なんてことありませんか?
人によって違う「ちょっと」や「少し」。正確にはどれぐらいのことを言うの?と悩む人も多いのでは?「ちょっと」や「少し」で誤解しない、誤解を与えないためにどうすればいいのかをご紹介します。

「ちょっと」「少し」「すぐ」の言葉の違い

ビジネス用語の基本「ちょっと」「少し」「すぐ」ってどれぐらい?誤解を与えない使い方と例文_1

まず、言葉そのものの意味を確認してみましょう。

「ちょっと」と「少し」は、ほぼ同義

「ちょっと」も「少し」も「少々」という意味です。料理での塩コショウ少々と同じで、ほんのわずかなことを指します。

時間にして2~3分間くらいで、5分以上待たせるときは、もはや「少々」とはいえません。
「しばらくお待ちください」よりも「少々お待ちください」のほうが、言われた人は短時間を想定するものです。

もっとも、長短の感覚には地域性や個人差もあり、せっかちな人が想定する「ちょっと」と「少し」は短め。逆に、「ちょっと会議しましょう」というようなケースでは、長めのことが多いようです。

「すぐ」

「すぐ」は時間的に間を置かないことをいい、時間にして数分です。「まもなく」「ただちに」と同じ意味で使われます。

秘書検定での使い方

秘書検定では、接遇(丁寧な接客や応対をすること)用語として使う際には、3つの言葉は次のように言い換えるのがマナーとされています。

「少々」「少し」
例文
「ただいま参りますので、少々(×少し)お待ちください」
「すぐにご準備いたしますので、少々(×少し)お時間を頂戴できますか」

「すぐ」…「さっそく」または「~次第」
例文
「さっそく(×すぐ)お伺いしてもよろしいでしょうか」

職場で使われる場合はここに注意!

ビジネス用語の基本「ちょっと」「少し」「すぐ」ってどれぐらい?誤解を与えない使い方と例文_2

職場で誤解や行き違いが生じてしまうのは、「ちょっと」「少し」「すぐ」といった言葉を、個人が自分のものさしで使ってしまうからです。

「ちょっと」と「少し」

ある人にとっての「ちょっと」「少し」は、他の人にとってはそうではないことが多くあります。たとえば、

・仕事に慣れている人の「ちょっと」「少し」は、慣れていない人にはそうでない
・大きな仕事を抱える人にとっては小さな仕事だけれど、他の人にはそうではない
・頼む方は「ちょっと」「少し」で済むけれど、頼まれる方にしたらそうではない

「すぐ」

「即座に、ただちに」「最優先でやってほしい」という意味で使われることが多くあります。時には大至急という意味で使われる場合もあるので注意が必要です。

逆に、相手の迅速に動いてほしいという期待だけで、よく聞いたら、何も今すぐやらなくてもいいということもあります。どのくらいの緊急度なのか、しっかり確認することが大事です。

「今しばらく」

「もう少し」という意味合いで、少し時間が欲しいときによく使います。この言葉には「すぐ対応したいけれどできない。ただし、それほど時間はかからないので待っていてほしい」という気持ちを込めて使うケースが多いようです。

職場での誤解を防ぐ5つのポイントと例文

ビジネス用語の基本「ちょっと」「少し」「すぐ」ってどれぐらい?誤解を与えない使い方と例文_3

「ちょっと」「少し」「すぐ」といった言葉が出てきた場合は、それが具体的にどれくらいなのかを確認することが重要です。

1.いつまでに必要なのか確認する

いつまでにやる必要があるのか、期限を明確にしてもらいましょう。
たとえば、「この資料、すぐにやっておいて」と言われたら…

例文:
「いつ使う資料ですか?」
「いつまでに終わらせなければいけませんか?」
「今抱えている案件があるので、その後でも大丈夫でしょうか?」

2.対応すべき範囲を明確にしてもらう

何をどうすればいいのか、範囲を明示してもらいましょう。資料の場合、何を目的にした資料なのか、制作趣旨を確認しておくことも大事です。
たとえば、「少し直しておいて」と言われたら…

例文:
「どこが問題ですか?」
「どこをどう直す必要がありますか?」
「これはいつどこで使う資料ですか?」

3.途中確認を怠らない

あとで、「そうじゃない!」と言われたら、それまでの苦労が水の泡です。迷ったり悩んだりしたら、途中で進捗を報告し、間違ったことをしていないかチェックしてもらうようにしましょう。

たとえば、「これちょっとやっておいて」と頼まれたら…
例文:
「今このように進めていますが、問題ないでしょうか?」

4.言われたときにその場で確認する

ビジネス用語の基本「ちょっと」「少し」「すぐ」ってどれぐらい?誤解を与えない使い方と例文_3_4

忙しい上司はすぐに相談できないことも多いので、「ちょっと」「少し」「すぐ」を使って何か頼まれたときは、その場で確認することが大切です。

たとえば、「この資料、データが足りないからちょっと直しておいて」と言われたら…
例文:
「次の会議までに、この部分をデータ入りの説明に変えれば良いのですね?」

「ちょっと待ってて」と言われたら…
例文:
「私、◯時から打ち合わせですが、それまでに終わりますか?」

5.自分もあいまいな言葉を使わない

自分の頭の中にある「ちょっと」「少し」「すぐ」は、相手には伝わらないと思っておくべきです。あいまいに伝えてしまうと、予定が大きく狂ってあとで自分が困ることにもなりかねません。また、相手に明確な“締め切り”を告げることは、一緒に働く仲間やお客様に不安な思いをさせないための“思いやり”でもあります。

次に、ビジネスシーンでよく使うフレーズを例に、正しい伝え方をご紹介します。会話だけでなくメールでも応用できるので、ぜひ活用してください。

×「すぐにやってもらえますか?」
◯「◯日〇時までにお願いします」

×「少し早めに作成してください」
◯「次の会議の1日前までに欲しいのですが」

×「今、ちょっとだけいいですか?」
◯「今10分だけ、お時間頂戴できますか?」

×「もう少しお待ちいただけますか?」
◯「あと15分ほどでこの仕事が終わりますので、そのあとお伺いします」

×「すぐ部長に伝えておきます」
◯「部長は12時まで会議ですので、会議から戻り次第伝えておきます」

×「このデータ間違っているので、ちょっと直してほしいのですが」
◯「このデータ間違っているので、◯月◯日のデータと照合して、正しく修正してください」

×「資料をすぐ直してくれませんか?」
◯「取引先が〇時に来て、そのとき必要なので、〇時までに直してくれませんか?」

×「ちょっと自分には難しいです」
◯「これは経験がない作業なので、Aさんに手伝っていただかないと自分には難しいです」

まとめ

仕事の場では、コミュニケーションがとても大事です。でも、「そんなつもりじゃなかったのに」というコミュニケーションロスも頻繁に起こるのが現実。特に、話し手の主観に左右されるようなあいまいな言葉は、誤解を招くもとです。自分でも使わないよう注意しながら、周りにあいまいな言葉を使う人がいたら、自分からきちんと確認してあとで困ることがないようにしましょう。