派遣スタッフの残業代は出るの?知っておきたい派遣の残業

派遣スタッフの残業代は出るの?知っておきたい派遣の残業

初めて派遣で働く多くの人が疑問に思うのが、残業の扱いです。「そもそも派遣スタッフは残業してもいいの?」「残業は断ることができるの?」「もし残業したら、ちゃんと残業代は出るの?」など、悩んだことはありませんか?ここでは、派遣という就業形態で働くなら、ぜひ知っておきたい残業について解説します。法律にも触れる内容で「難しそう…」と感じるかもしれませんが、大事なことなので覚えておきましょう。

派遣スタッフの残業、実際にはどうなっている?

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派遣スタッフの残業時間は派遣先によってさまざまです。まったく残業なしのところもあれば、残業が多めのところもあります。また、月末や年度末の繁忙期など、時期によっては残業が多くなる場合もあります。

急な残業を頼まれて困ることを避けるためには、残業があるのかないのか、あるとすればどの時期にどの程度あるのかを、事前に派遣会社に確認しておくことがポイントです。また、派遣会社からお仕事を紹介される際にも、自分の希望する働き方と合っているかしっかり伝えることが大切です。すでに別の派遣スタッフが勤務している派遣先であれば、派遣会社の担当者に先輩派遣スタッフの実情を聞いてみるのもよいでしょう。

最初に取り決めをしておこう

残業の状況は派遣先や部署、業務内容によって違うので、働く前にきちんと確認しておくことが大切です。就業先を相談する際に、「残業はないところがいい」「残業をしてでも稼ぎたい」など、あらかじめ希望を伝えておきましょう。そうすれば、働き出してから「こんなはずではなかった」という事態を避けられます。

派遣スタッフの残業について、知っておきたいのがいわゆる「同一労働同一賃金」ルールです。改正労働者派遣法にもとづき、2020年4月から施行されました。これは、「同じ業務をおこなっている、同じ責任を負っているのなら、給与や福利厚生も同じ」とすることで、正規社員と非正規社員の間のさまざまな不合理な待遇格差を是正しようとする制度です。また、同一労働同一賃金に関係なく、派遣会社ごとの就業規則や雇用契約書の賃金及び計算方法については明確に定められているので(労基法15条)、こちらも確認しておきましょう。

> 2020年4月に改正される派遣法に関する記事

残業時間としていいのはどこから?

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労働時間については原則となる決まりがあり、これを法定労働時間といいます。この例外として、時間外労働・休日労働・深夜労働などがあります。一般に残業と呼ばれているのは、時間外労働にあたります。

法律上割増賃金の対象となる残業とは、法定労働時時間を超える労働を指し、残業時間となるのは、1日8時間、週40時間を超える労働時間だけです。これを理解せずに契約時間外の労働=残業と考えてしまうと、「たくさん残業したはずなのに思っていたよりも給与が少ない」という事態が生じます。

たとえば、雇用契約書で所定労働時間を10:00~17:00、1日6時間と定め、2日間だけ18:00まで1時間残業したとしましょう。この場合、1日あたりの所定労働時間は超えますが、1週間で見ると、(6時間×3日)+(7時間×2日)=32時間となり、週に40時間までという法定労働時間は超えません。そのため、32時間すべてが割増賃金ではなく、所定労働時間の時給で計算されることになります。

派遣スタッフも残業代は出る

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残業代は、正社員であろうと派遣スタッフであろうと、定められた割合で支払われます。前述したように、2020年4月に施行された「同一労働同一賃金」ルールにより、雇用形態を問わず 、同じ業務をおこなっているならば、同じ残業手当が支給されます。

残業代の計算方法

時間外労働(残業)については、労働基準法37条に割増賃金のルールが定められています。1日8時間、週40時間の法定労働時時間を超える労働には、25%以上の割増賃金が支払われなければなりません。

たとえば、時給1,500円という雇用契約であれば、残業には1,500×1.25=1,875円/時間の賃金が支払われます。さらに、残業時間が22:00~5:00の深夜になると+25%以上となり、合計で50%の割増賃金となります。時給1,500円であれば、1,500×1.50=2,250円/時間という計算です。

注意しなければならないのは、労働基準法37条にかかる割増賃金が適用されるのは、あくまで「法定労働時間」を超える労働に対してだということです。残業代の計算方法は、労働基準法37条の基準を下限として、雇用契約書に記載された方法で計算されます。また、深夜割増については、時間外労働が割増賃金の対象となる残業にあたるか否かを問わず、適用されます。

残業できるかどうかは契約次第

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派遣の場合、雇用契約関係は派遣会社と派遣スタッフの間にあるので、派遣スタッフの給与は、残業代も含めて派遣会社が支払います。残業できるかどうか、どこから残業としてカウントするかといった労働条件も、派遣会社との雇用契約によって決まります。
派遣スタッフが残業できないのは、次の2つのケースです。

1. 雇用契約書に残業はできない旨の記載がある場合
派遣会社との雇用契約書に残業はできない旨の記載がある場合は、派遣先の要請があっても残業はできません。このパターンで考えられるのは、派遣スタッフが残業のある仕事を希望していない場合と、36協定(※)が結ばれていないために派遣スタッフに残業させることができない場合の2つです。

2.労働条件通知書に残業に関する記載がない場合
労働条件通知書に残業に関する記載がない場合も、派遣スタッフに残業させることができません。労働条件通知書とは、労働基準法第15条にもとづき、雇用契約の際に使用者が労働者に渡さなければならないもので、賃金、労働時間等の労働条件が記載されています。ここには、賃金や、就業場所、始業・終業時刻、休日・休暇などのほか、所定労働時間を超えた労働(残業)の有無についても記載する必要があります。

雇用契約書や労働条件通知書に残業できるとの記載があったとしても、使用者(派遣会社や派遣先)は、労働者に対する安全配慮義務により、時間外労働・休日労働は必要最小限にとどめるべきものであることに変わりはありません。

(※)36協定とは?
使用者が労働者に対して定めた、時間外労働や休日労働に関するルールです。正しくは「時間外労働・休日労働に関する協定」といい、労働基準法第36条に規定されているため、一般に36(サブロク)協定と呼ばれています。使用者が労働者に時間外労働や休日労働をおこなわせる場合は、使用者・労働者間で36協定を締結し、労働基準監督署へ届け出なければなりません。

労働時間に関しては、労働基準法32条1項で「使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない」、同法32条2項で「使用者は、1週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き1日について8時間を超えて、労働させてはならない」と規定されています。つまり、週40時間以上の労働と1日8時間以上の労働は原則禁止されているのです。36協定は、使用者と労働者の合意によって、この法定労働時間の例外を認めるものになります。

派遣スタッフの場合、派遣会社(使用者)と派遣スタッフ(労働者)との間で36協定を結ぶことになりますが、実際には、労働組合や従業員代表者などが派遣スタッフを代表して派遣会社と36協定を締結するケースがほとんどです。この場合、労使間で36協定が結ばれていることは、就業規則や雇用契約書の時間外労働・休日労働に関する項目に記載されています。

> 36協定で定める時間外労働及び休日労働について留意すべき事項に関する指針

派遣スタッフは残業を断れない?

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派遣会社との契約条件で残業ができるとしても、残業時間は無制限ではありません。まず、残業は36協定が認める範囲内でのみおこなうことができます。

残業を断れる時と断れない時

派遣会社との雇用契約で「残業は月に◯時間まで」と取り決めている場合は、それを超える残業はできないので、派遣先から頼まれても応じる必要はありません。「すでに残業可能時間が残っていないので、残業できません」と断りましょう。万が一、契約を超える残業を依頼されたら、自己判断せず派遣会社に相談することが大切です。

難しいのは、条件的には残業できるけれど、家庭の事情などで残業できない場合です。どうしても残業できない日があれば、事前に伝えておくのがマナーですが、急に想定外の残業を指示されて対応できないこともあります。断りたいけれど断りにくい雰囲気がある、断ってネガティブな評価をつけられては困る…。そのような場合に備えて、上手な残業の断り方を知っておくと便利です。

残業を断るコツ

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■ケーススタディー1
仕事の進捗具合などから、「残業して」と言われそうな雰囲気を察知した場合

ポイント:早めに「残業できない」と伝える
終業間際になってから残業できないと伝えることは、残業してもらえるだろうという職場の期待を裏切ってしまい、気まずい雰囲気になりかねません。残業はできないのに、今日は残業になりそうだと感じたら、上司が自分を残業要員にカウントしないよう、早めに残業できない旨を伝えましょう。そうすれば、スムーズに断ることができます。

会話例:
「今日は残業になる可能性がありますか?私事で大変申し訳ないのですが、本日は家庭の事情があり、どうしても残業できないのですが問題ございませんか?」

■ケーススタディー2
急な残業を指示されたが、どうしても定時退社したい場合

ポイント:できる範囲で対応してから退社する
「本日、残業はできません」とだけ言うのは、社会人として配慮に欠けます。残業はできないにしても、終業時刻までにできることを最大限行ってから退社するのが大人の対応です。その日のうちに対応可能な範囲を示して、上手に残業を断りましょう。

会話例:
「今日はここまで作業を進めますので、続きは明日でも差し支えないでしょうか?」

■ケーススタディー3
緊急性がなさそうなのに「どうしても残業してほしい」と言われた場合

ポイント:
上司は「どうしても残業してほしい」と思っているわけですから、まずは、その気持ちをくみ取らなくてはなりません。「私も仕事の様子が大変気がかりです」と伝え、いったん共感を示しましょう。そのあとで、「なにも今日残業してやる必要はない」ことをうまく伝えます。「明日のほうがはかどる」と伝えるのも良い方法です。

会話例:
「その資料はとても細かい作業なので、残業で急いで作るのではなく、もう少し時間をかけさせていただけますか?」
「いま〇〇さんに確認をしていただいているので、今日の段階で進められるのはここまでです」
「明日〇〇さんがいる時間のほうが進めやすいので、明日対応させていただきたいのです」

派遣スタッフも残業代はもらえる。正しく理解して気持ちよく働こう

派遣スタッフも36協定を結んでいれば、残業をすることが可能ですし、残業すれば派遣スタッフでも残業代を受け取ることができます。しかし、割増賃金が適用される法律上の残業にあたるのは、法定労働時時間を超える労働時間のみです。まずは自分が残業できるのかを含め、労働条件を事前に確認しておくことが大事です。残業ができる場合でも、希望しない残業をしないためには、派遣先にも条件を明示するとともに、時には上手に断る術も覚えておく必要があります。残業について正しく理解して、ストレスなく仕事をしましょう。

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