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「One for all, All for one」職場のチームワークを高めたいときに読むべきマンガ3選

「One for all, All for one」職場のチームワークを高めたいときに読むべきマンガ3選

大きな案件に臨むときはもちろん、職場のチームワーク力を求められることは少なくありませんよね。学生時代とは違い、年齢や経歴などがバラバラな人たちが集まる社会人の場合、どのようにアプローチすべきなのか、戸惑うこともあるのではないでしょうか。

今回は、職場のチームワーク力を高めたいときのヒントが詰まったマンガを紹介していきたいと思います。

『のだめカンタービレ』から学ぶ──
メンバー一人一人が
個性を発揮できる環境を作ろう

「One for all, All for one」職場のチームワークを高めたいときに読むべきマンガ3選_1

作品データ/『のだめカンタービレ』
作者:二ノ宮知子
『Kiss』連載、全25巻
(C) 二ノ宮知子/講談社

最初に紹介する『のだめカンタービレ』は、音楽大学に通う学生たちの葛藤や恋愛模様を描いた青春ストーリー。2006年に上野樹里さん主演でドラマ化され、それまではクラシック音楽は“敷居が高い”というイメージを持っていた方でも、気軽に楽しめると人気を博しました。

主人公・野田恵(通称のだめ)は、桃ケ丘音楽大学・ピアノ科の2年生。一度聴いた曲をすぐに弾けてしまうほどの天才ですが、“とにかく楽しく”をモットーにピアノに打ち込んでいるため、プロ志望が多い周囲と比べると“上昇志向が低い”印象を受けるかもしれません。

そして、物語のもう一人の主人公である千秋真一は、学内で噂が絶えない注目のエリート男子。ピアノやヴァイオリンの腕も相当なのですが、自分のレベルに見合わない大学の授業に、刺激の足りない毎日を過ごしています。

のだめと千秋、タイプの違う天才二人は音楽を介してときに罵倒し合い、ときに刺激を与え合いしながら、パートナーとしての絆を深めていきます。

社会人になりさまざまな職場環境の中で、自分とタイプの違う同僚に対して悩んだ経験をお持ちの方もいると思いますが、『のだめカンタービレ』にも、のだめと千秋以外にもアクの強いキャラクターがたくさんいます。そんな個性派たちが“音楽という共通目的を持って協力し合う”という面は、職場のチームワーク作りにも役立てるヒントがあるのではないでしょうか。

個性豊かな登場人物たちと言えば、現代クラシック界の巨匠である指揮者、フランツ・フォン・シュトレーゼマンが講師としてやって来たときに結成した楽団、通称“Sオケ”があります。

なぜかシュトレーゼマンが選出した奏者たちは、みな自意識過剰で、成績も優秀とは言えない“落ちこぼれ”の生徒ばかり…!

ピアノ科から指揮者科への転科届けを出そうとしていた千秋は、シュトレーゼマンからSオケの指導兼指揮者を任せられるのですが、実力とは裏腹に自分勝手に持ち味を出そうと主張の激しい演奏をするメンバーたちに悩まされます。

初のお披露目となる演奏会を目の前にして、曲の完成度に納得のいかない千秋でしたが、そんなとき、ふとのだめのピアノを耳にするのです…。千秋の中で、のだめの自由奔放で計算のない音色が、Sオケの奏者たちとリンク。その瞬間、“それぞれが持つ音楽のイメージを全面に表現させることこそがSオケにとって最高の演奏になる”と悟ります。

──社内でチームワークを求められたときでも、同じことが言えるのではないでしょうか。チームとして同じ方向を向いて足並みを揃えることも大切ですが、“足並みを揃えること”だけにこだわりすぎると、メンバーの持っている個性が消えてしまうこともあるでしょう。

ですから“足並みを揃えること”に執着するのは必要最低限にし、一人一人の性格に着目していくといいかもしれませんね。それとなく褒めたり、仕事の相談をしたりすることで、互いに意見を出し合いやすくなる環境= “メンバー一人一人が個性を発揮できる環境”をきっと作り出せるはず。

それぞれの個性が発揮できるとなれば、普段は引っ込み思案な方が密かに温めているアイディアも拾いやすくなりますから、チームの可能性をより一層広げられるでしょう。意見が通りやすい職場で自分の持っている才能が開花され、仕事のやりがいを感じることで、各メンバーのモチベーションのアップにもつながりそうですね!

個性を生かすというのは、ともすると「One for all, All for one」精神と真逆のベクトルのように思えるかもしれません。しかし、それでオーケストラ(チーム)としての完成度が高まり、結果として「One for all, All for one」精神を体現できることもあるのではないでしょうか。

“感性や考え方が違う者同士が、一つのものを完成させる”というのは、仕事もオーケストラも一緒で、良い方向に個性を活かしながら、結束力を高めていくことがベスト。

『のだめカンタービレ』は今回紹介したシーン以外にも、オーケストラの成長や士気を高める千秋の言動に、職場のチームワーク力を高めるヒントが散りばめられている作品なのです♪

『暗殺教室』から学ぶ──
“目立たないほうの人”だって
チームのレベルアップの鍵を握る

「One for all, All for one」職場のチームワークを高めたいときに読むべきマンガ3選_2

作品データ/『暗殺教室』
作者:松井優征
『週刊少年ジャンプ』連載、全21巻
(C) 松井優征/集英社

次に紹介する『暗殺教室』は、椚ヶ丘中学校3年E組の生徒たちが、突然、政府から担任教師の暗殺依頼を受けるという斬新なストーリー。担任教師を3月までに抹殺しないと、地球が破壊されて人類は滅亡してしまうという突拍子もないスケール感で物語は始まります。

そんな暗殺のターゲットである“殺せんせー”は、奇妙な触手を何本も持ち、マッハ20で飛び回ることができるタコのような謎の怪物。しかしその怪物、ちゃんと人語を話し、普段は優しく穏やかな性格で、授業の内容もわかりやすいと評判で教師としての資質はかなり高いんです。それゆえに、生徒たちは暗殺のターゲットである殺せんせーを次第に信頼していくんですね。

さて、暗殺をテーマにした物語ということで、バトル展開が多く、ナイフや銃を巧みに使いこなす身体能力(運動神経)が高い生徒ばかりが活躍するイメージかもしれませんが、そんな単純ではないのが本作の面白さの醍醐味!ここでは、それを象徴する矢田桃花(やだ・とうか)のエピソードをご紹介します。

8月の夏休み中、とある南国のリゾート島に訪れていたE組の面々。しかし、殺せんせーを狙う他のプロの殺し屋たちが現れ、E組メンバーと敵対。敵の殺し屋たちによって危険なウイルスに感染してしまったクラスメイトを助けるべく、治療薬を奪取する計画を遂行することに…!

第66話(コミックス8巻収録)では、男子メンバーがリゾートホテル内の敵の本拠地にスムーズに入り込めるよう、女子メンバー数名(1名男子含む)が一般客を装い、潜入経路を確保すべくホテルのバーラウンジを訪れます。けれど一刻を争う状況だというのに、女子たちはホテル客の男2人組にナンパされてしまうのです。

ここですかさず動いたのが、矢田桃花。軽薄なナンパ男たち相手に「あいにく今日はパパ同伴なの 私達」と言い、“ヤクザの代紋”(バッジ)を見せつけるのです。ビビッたナンパ男たちは即退散。一刻を争う事態で時間のロスを免れ、潜入経路を確保するという役目を無事に果たすのでした。

おとなしいタイプだった矢田桃花ですが、実はE組の英語教師 兼 美女殺し屋であるビッチ先生から、接待・交渉術を積極的に学んでいたのでした。バッジもビッチ先生からの借り物だったんです。

クラス内であまり目立つタイプではなかった矢田桃花も、プロの殺し屋たちとの戦いにおいて大きく貢献できたというわけですね。

本作ではそんな矢田桃花以外にも、普段は目立たないタイプの生徒たちの活躍が描かれることがたびたびありました。そういったエピソードからは、チーム内の“目立たないほうの人”の、しかもナイフ使いや銃使いに関係のない部分の才能も、チームのレベルアップの鍵を握っているというメッセージが込められているようにも思えます。

──『暗殺教室』は暗殺がテーマの作品ですが、このE組メンバーの活躍エピソードは、学校だけでなく社会人の職場にも通ずることがあるのではないでしょうか。

そう、社内で“目立たないほうの人”こそがチームのレベルアップの鍵を握っていることだってあるんです!

企業で重宝されるスキルとしては、例えばプレゼン能力の高さ、アイディア力の高さ、プログラミング能力の高さなどがすぐに思い浮かぶかもしれませんし、そういったスキルを持つ人たちは社内で目立つ存在でしょう。

ですが、ビジネスにおいて大きなプロジェクトを達成するまでには、想定外の様々な事態に直面することもよくあり、そんなときにあまり目立たないタイプだった人の意外な才能で乗り切れることもあるはず。

ですから、もしあなた自身が普段あまり目立たないタイプだったとしても、ここぞというときに意見や案を出すことで、チーム全体のレベルがグッと高まるかもしれませんよ。

逆に、あなたが職場で目立つタイプだったとしたら、どうしたらいいのでしょうか。『暗殺教室』での矢田桃花は自発的に行動を起こしてくれましたが、職場でおとなしい同僚が自ら意見や案を出したりすることは、あまり多くないかもしれませんよね。

おとなしい同僚が色々と行動を起こしてくれれば、職場のチームに新たな風が吹き込み、チームのレベルがアップするという好循環が始まるかもしれません。けれど、同僚が自発的に動いてくれるのをただただ待っているだけでは、それがいつになるかわかりません。もしかしたら、いつまで経っても動いてくれないかもしれません。

そこで、ちょっとした“働きかけ”をしてみてはどうでしょうか。

たとえば会議中、おとなしいタイプの同僚に「○○さんはどう思いますか?」と発言しやすいようにパスを出してみる。もしくは、お昼休みにランチに誘い、「○○さんって最近興味あることってなに?」などと話題を振り、語ってくれたことに対して、「それ、面白いね!その趣味や特技を活かして今度の会議で提案してみなよ!」と背中を押してみるなど。

あなた自身がおとなしいタイプの人であれば、積極的に発言したり行動に移したりすることがチーム全体のレベルアップに貢献できるかもしれません。あなたが目立つタイプであれば、他の同僚が積極的に意見を言えるようにサポートすることが、チームのレベルアップの一助となるかもしれません。これだって立派な「One for all, All for one」精神と言えるわけですね。

『あおざくら 防衛大学物語』から学ぶ──
仲間のミスをかばうのがチームワークじゃない

「One for all, All for one」職場のチームワークを高めたいときに読むべきマンガ3選_3

作品データ/『あおざくら 防衛大学校物語』
作者:二階堂ヒカル
『週刊少年サンデー』連載中、既刊7巻(2018年3月現在)
(C) 二階堂ヒカル/小学館

『あおざくら 防衛大学物語』は、幹部自衛官を養成する防衛大学の厳しい生活の中で、同じ志を持つ仲間と出会い、ときに衝突し、切磋琢磨しながら成長していく若者たちを描いた物語です。

高校では学年トップの成績でありながら、家庭の経済的な事情を理由に進学をあきらめていた主人公・近藤勇美。卒業後は実家の定食屋を継ぐことが現実的だとわかっていながらも、“大きなことがしてみたい”と密かに思っていました。

そんなある日近藤は、実家の定食屋が都市開発で売りに出されることを父親に告げられ、進路を探さなければならなくなりました。そこで進路相談室にあった「防衛大学」の文字に目が止まります。受験料・入学金・学費がかからず、毎月給付金が支給される防衛大学に魅力を感じた彼は、進路を防衛大学に決め、見事試験もクリアしたのでした。

大学の寮に引っ越してからも、フレンドリーな先輩や同期生に恵まれ、これから始まる大学生活に心を躍らせて──いたのも束の間!!!!入校式が終わった途端に先輩たちの態度が豹変し、“お客様期間”の終了を宣告されます。そう、先輩たちによる厳しすぎる指導の日々が始まったのです…!!!!

少しでも規律を守れなければ容赦なく何度でも腕立て伏せをさせられたりと、それまでとのギャップに付いていけない近藤たちでしたが、そんな彼らにさらなる追い打ちとなる、鬼のような枚数の反省文が待ち受けているのでした。

──防衛大学、そしてその全寮制の学生舎という非日常的な環境が舞台となっているマンガ作品ですが、セリフの本質にスポットを当ててみると、チームワークを高める参考になるようなエピソードが散りばめられています。

先輩たちによるある種の嫌がらせで、部屋がめちゃくちゃに荒らされていたりすることは日常茶飯事で、しまいには寮の室内にあった近藤のベッドが屋外の木の上に放置されていることも…。いったいどうやって運んだのかといった謎を残しつつ、上級生たちによる過度な指導(嫌がらせ)に我慢の限界を感じた近藤。ついに同部屋の先輩・坂木龍也に、“なぜここまで理不尽なことをさせられるのか”と質問します。

他の同期生たちに比べると出来の良い近藤に対し、坂木は国のために働く環境がどれだけ理不尽なのか、そしてその理不尽さの中でも冷静な判断が求められるということを説いていくのですが、近藤が犯した重大な過ちについても触れる一コマがあります。

近藤は、高校生時代の “テスト前のノート貸し出し感覚”で、同部屋の同期生の分まで反省文を書いてあげていたのです。

その近藤の行動に対し、坂木が「失敗の尻拭いをするんじゃない、次 失敗しないように手伝ってやるんだよ!!」と激昂。

改めて連帯責任の意味を教え込まれた近藤なのでした。

同期の反省文を書いてあげることは、近藤なりの「One for all, All for one」だったのでしょう。しかし坂木からすればその行動は、決して同期のためにならず、成長の機会を奪っている行為ということなのです。

このエピソード、職場のチーム内でも同じことが言えるのではないでしょうか。

ミスを犯した同僚が怒られないようにフォローしてあげれば、その同僚は怒られずにすみますし、表面的には丸くおさまるでしょう。ですが、怒られずにすんだ同僚はミスしたことをあまり重くとらえず、また同じミスを繰り返すかもしれません。つまり尻ぬぐい的にフォローしてあげることは、結果的に職場のチーム力アップを妨げていることにもなりかねませんよね。

“自分には余裕があるから手伝う”のではなく、“できない人には何が必要なのか”と考えたうえで手を差し伸べることが、チームメイトの成長に繋がるものなので、フォローの仕方にも工夫が必要ということかもしれませんね。

たとえば、同じミスを繰り返す後輩に対しては、ミスを犯しやすいポイントで一声かけてあげる、といったフォローで軽い注意喚起を促すなどの工夫もよいでしょう。

ミスにより与えられた罰を代わってあげたり、ミスがバレないように力を貸してあげたりするのではなく、同じミスを繰り返さないようにどうすればいいか一緒に考えてあげる。こういったスタンスこそが本当の意味での「One for all, All for one」精神であり、本当の意味での職場のチームワークを高めていくのではないでしょうか。

チーム全体のレベルが上がるということは、仕事の生産量や質のアップにも繋がりますので、ぜひとも“仲間を助けてあげる方法”は工夫してみてくださいね!

本質的なチームワークを高めるには、
チームの内面に訴えかける言動をするべき

「みなさん、協力し合って一生懸命がんばりましょう!」と声を掛けることも職場のチームワークを高めることに繋がるでしょうが、それはある意味、表面上の効果しか生まないかもしれませんよね。

今回紹介した3作品のエピソードには、チームの内面に訴えかけ、本質的にチームワークを高めるヒント、本質的にチームの総合力を高めるヒントが込められていました。

「One for all, All for one」という言葉の意味をもう一度自分なりに咀嚼し、どうすればチームワーク力を高めることができるのか、今回のマンガを参考にしつつぜひ考えてみてください。