コロナ禍で急増中?自転車通勤の注意点

コロナ禍で急増中?自転車通勤の注意点

新型コロナウイルスの感染・拡大の影響で、通勤時の混雑を避けるために自転車で通勤する人が増加しています。自転車通勤をする場合は、通勤距離や手当などの自転車通勤ならではのポイントを押さえておくことが必要です。今回は、派遣スタッフが自転車通勤を導入する場合も想定しながら、そのメリットや注意点を紹介します。

自転車通勤のメリットとは?

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通勤時の混雑を避けられる

コロナ禍の影響で、あらゆるシーンにおいて混雑を避けた生活が求められています。通勤においては、ラッシュ時の満員電車やバスなど、人混みや空気の循環の悪い場所を避けることで、通勤時の感染リスクから身を守ることが期待できます。都心部では、ラッシュ時のつらさから「痛勤」と言い表されることもあり、混雑を避けることで、日々のストレスの軽減にもつながります。

通勤時間の短縮

自転車は渋滞に関係なく、鉄道やバスの待ち時間が必要ないため、自宅と会社の立地によっては、交通機関を利用するよりもスムーズに通勤することができます。
国土交通省の「自転車通勤導入の手引き」によると、通勤距離が約500メートルから5キロメートル弱(近・中距離)での通勤時間の短縮に効果があるといわれています。実際には自転車通勤をおこなっている人のうち、約65%は会社までの距離が約7km圏内に居住地を置いているという統計もあるようです。一方で、体力の個人差や、坂道が多いなど環境の違いによって、自転車移動が可能な距離は人それぞれであることも踏まえておきましょう。

運動不足の解消

デスクワークしている人は、運動不足による体調不良のリスクがありますが、自転車通勤で体を動かすことで、運動不足を解消、健康面によい影響を与えることができそうです。
国土交通省の「自転車通勤導入の手引き」には、自転車通勤は、体の内臓脂肪を燃やすことで体力・筋力の維持・増進に役立ち、さらに、がんや心臓疾患による死亡・発症リスクの軽減につながります、といったメリットが明記されています。また、徒歩やクルマの移動では味わえない心地よさが得られ、適度な運動にもなることから、気分・メンタルの向上につながるといわれます。

派遣スタッフでも自転車通勤は可能?

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最近では、「健康経営」の推進や、会社イメージの向上、働きやすい職場をアピールすることで人材確保につなげるといった点から、自転車通勤を奨励する会社が増えています。しかし、自転車通勤で疲弊し、業務に支障が出てしまっては本末転倒です。そのため、会社によっては「通勤距離が10キロメートル」「通勤時間が1時間以内」などの基準を設けて、自転車通勤を許可しています。
このように、会社までの通勤手段は、派遣先の就業規約に定められています。就業規則によっては雇用形態に関わらず可能なため、就業前に派遣元の担当者に確認ください。スタッフサービスでは、自転車通勤が可能なお仕事も掲載中です。

自転車通勤で交通費(通勤手当)は出るの?

自転車通勤の場合でも、自動車や各種交通機関を利用した場合と同様に、通勤手当が支給される場合があります。企業で駐輪場を持っていない場合、従業員が自ら駐輪場を確保して、それを証明する書類を提出してもらうなどして、駐輪場代を支給したり、通勤距離に応じて一定額を支給したりするケースがあります。通勤手当の支給は法律に定められておらず、会社によってルールが異なるため、ご希望の場合は、事前に派遣元の担当者にご確認ください。支給される通勤手当は交通手段に関わらず非課税になります。

押さえておきたい自転車通勤の注意点

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事前に派遣先への申請をしないと、事故の際に労災が適用されない

通勤前に、事前に派遣先へ自転車での通勤申請をおこない、必ず許可を得るようにしてください。自宅から会社までの通勤経路を申告しないと、万が一、事故に遭った場合、労働者災害補償保険(以下「労災保険」)の通勤災害として認定されずに、多額の治療費や賠償金を負担することになってしまいます。

また、申告をして許可を得ていたとしても、「通勤途中の事故であればすべて通勤災害になる」とは限らないので、注意しましょう。通勤の途中に、日用品の購入や病院に行ったりした際の事故は通勤災害と認められますが、プライベートなショッピングで通勤経路以外を走ったり、通勤を中断した際の事故は、認められないケースがあります。

悪天候時の通勤

雨天や降雪による悪天候の中での自転車による走行は、視界が悪くなったり、風にあおられたり、路面がぬれていてブレーキの利きが悪くなったり、また、レインコートなど雨具を着ることで普段より動きにくくなったり…。さまざまな要因から、思わぬ事故やケガにつながるリスクがあります。天気予報で翌日の天候を確認して、自転車の利用が可能か、確認するようにしましょう。

また、交通ルールを徹底して守ることも重要です。警察庁によると、2019年時点の自転車関連事故件数は8万473件で、これは、交通事故全体の約20%を占めています。
道路を走行中に、車線を横断したり、一時停車せずに交差点を渡ったり(曲がったり)、逆走したり、信号無視をしたりした結果、自動車に接触する事故が増えており、2019年の自転車関連事故のうち、対「自動車」が6万5929件と最も多くなっています。
道路交通法では、信号無視やブレーキ不良のままでの自転車運転など、危険運転に該当する行為を繰り返した者については、自転車運転者講習を受講することが義務付けられ、受講しない場合は5万円以下の罰金が科せられます。
また、「あおり運転」などの厳罰化を図るため、2020年6月に道路交通法などの一部が改正・施行されました。これにより、自転車についても、幅寄せ、逆走、ベルをしつこく鳴らすといった行為が摘発対象となったので、注意しましょう。

自転車通勤に最適な服装は?

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自転車を運転する際、長いひものついた装飾品などは、走行中の車輪やペダルに巻き込む恐れがありますので、なるべく動きやすい服装での運転をおすすめします。スーツなどの生地が伸びにくい服装の場合、瞬時に動かなければならなくなった時に妨げになる恐れもあります。

自転車通勤に適した服装は、伸縮性があり体を動かしやすく、風を通しにくく湿気を逃がしやすいものがよいといわれます。スーツを着て自転車通勤をしなければいけない場合、自宅で洗濯でき、伸縮性や速乾性に優れたスーツや、自転車通勤者向けのスーツなどを購入するとよいでしょう。
冬場は、厚手のコートやジャンパーを1枚着るよりも、複数重ね着をして、寒さや体温の上昇に合わせて1枚ずつ着たり脱いだりできるような服装がよいでしょう。
また、革靴やハイヒールなどは滑りやすく、靴が傷みやすくなります。ペダルをこぐ力も弱まりますからストレスがかかります。仕事用の靴は会社に置くか持ち運び、自転車通勤時はサイクリングシューズや運動靴などを履くのがおすすめです。

自転車通勤に適した距離は?

自転車で無理なく毎日通勤できるのは、だいたい10キロメートル以内といわれます。ただ、運動経験がない場合、10キロメートル以内でもツライかもしれません。心配な人は、トライアルとして、まずは通勤ルートの一部区間から(例えば自宅から最寄り駅や乗り換えの駅までなど)、自転車通勤をはじめてみるのもよいでしょう。
また、一般的なシティーサイクル(ママチャリ)より値段は高いですが、電動アシスト自転車を使えば、長い距離でも疲労することなく通勤がしやすくなるでしょう。電動アシスト自転車はスピードが出やすいので、交通ルールの遵守や、スピードを出しすぎないよう、さらに気をつけるようにしましょう。

自転車通勤は、定時性に優れた通勤手段

自転車通勤は、感染症のリスク低減、通勤時間の短縮、日々の運動不足の解消など、さまざまなメリットがあります。また、渋滞や人身事故などによる遅刻を回避しやすく、定時性に優れた通勤手段ともいえるでしょう。事前に派遣先への許可を申請したり、自転車で移動可能な範囲を考慮したり、服装に気をつけたりといったポイントをしっかりと押さえることで、自転車通勤のメリットである「快適な通勤」を得られるでしょう。

ライター:山本淳(やまもと・じゅん)
ライター/フリー記者(政治・経済)
早稲田大学中退後、テレビのニュース番組やネットメディアの記者を経験しフリーに。記者歴15年。一次情報をもとにした正確性と、専門家や当事者へのヒアリングをもとにした現場感をモットーに、記事を執筆。

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