長期派遣のメリットとデメリット。働く前にチェックしたいポイントを徹底解説!

長期派遣のメリットとデメリット。働く前にチェックしたいポイントを徹底解説!

派遣は、就業期間によって大きく「長期」と「短期」の2種類に分けられます。ここでは、「長期」とはどれくらいの期間働くことを指すのか、長期派遣として働く場合のメリット・デメリットについて解説します。短期派遣との違いや長期派遣の特性をしっかりと理解して、自分に合った働き方を選びましょう。

長期派遣と短期派遣の違い

長期派遣のメリットとデメリット。働く前にチェックしたいポイントを徹底解説!_1

長期派遣と短期派遣の一番の大きな違いは、派遣期間の長さです。詳細は派遣会社により異なりますが、下記のように分けていることが一般的です。

派遣期間の違い

・短期=2~3カ月
・長期=3カ月以上

ただ、派遣会社によっては、3~6カ月程度の派遣を「中期」と定めているケースもあります。
ちなみに、改正労働者派遣法で定められた「日雇い派遣の原則禁止」によって、一部の業務や一定条件を満たす人以外は、30日以内の労働派遣は原則禁止とされています。ごく短い期間だけ派遣として働きたい場合は、まずは派遣会社に相談しましょう。

更新有無の違い

・短期=契約満了で終了
・長期=初回契約1~2カ月後契約更新

短期派遣の場合は、繁忙期や一時的な人手不足を補うことが目的のため、契約期間満了=契約終了であり、契約が更新されることはないケースがほとんどです。
長期派遣の場合でも、初回の契約は1~2カ月と短めに設けられているケースが多くあります。背景には、長期就労を前提としている場合でも、業務内容や職場環境が合わないなど不測の事態が生じるケースへの配慮があります。

知っておきたい、長期派遣の場合の注意点

長期派遣の場合、特に問題なく初回更新を迎えたあとは、3カ月・6カ月ごとの更新となるのが一般的です。ただし「労働者派遣法」により、長期派遣であっても、同じ派遣先企業の同じ組織で働くことができるのは3年までと定められています。このことについては、あとで詳しく触れていきます。

長期派遣と短期派遣の仕事内容の違い

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長期派遣と短期派遣では、期間だけでなく仕事内容も異なる傾向があります。それぞれの派遣に多いお仕事をピックアップしてご紹介します。

短期派遣の仕事内容

就業期間が短い短期派遣では、単純作業やサポート業務など、短時間で作業を覚えることができるお仕事が多い傾向にあります。

<単純作業>
テンプレートや型が決まっている書類作成や資料作成、各種入力作業、書類のファイリングや発送作業など、作業の流れや方法など、ある程度固定化されている業務。

<繁忙期の業務サポート>
短期派遣は、短い期間に集中して業務が発生する際のサポートなどで需要が高いといえます。例えば、アンケート実施後のデータ処理やキャンペーンのアシスタントなど。単発イベントや店舗開店時のサポートなどでも需要があります。

<時期により需要が高まる仕事>
お中元・お歳暮時の接客や年末調整の事務処理など、ある時期・季節だけに業務が大量に発生するお仕事でも短期派遣が活躍しています。

長期派遣の仕事内容

長期派遣は、短くても3カ月以上同じ職場で同じ業務に携わることが前提です。そのため、求められるスキルを徐々に磨いていくことも可能です。さまざまなお仕事で需要がありますが、中でも一般事務や営業事務、人事・総務、経理、テレフォンオペレーター・テレマーケティング・コールセンターなどでニーズが高い傾向にあります。
また、フルタイム勤務が条件である場合や、研修期間や試用期間を設けている場合もあり、スキルアップを視野に入れて働きたい人にも適しているといえそうです。

長期派遣で知っておきたい『3年ルール』とは?

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長期派遣で働く場合にぜひ確認しておきたいのが、『派遣3年ルール』と呼ばれる制度です。「長期」といっても無期限で働けるわけではなく、労働者派遣法により「同一の派遣先で就労できる期間は最長3年まで」と決められています。その内容について解説します。

派遣3年ルール①

派遣スタッフは、派遣先の職場(同じ組織)で3年以上継続して勤めることができません。同じ組織で働いて3年が経過すると「抵触日(※)」を迎えます。引き続き同じ職場・部署で働きたい場合は、雇用形態などを変更する必要があります。

派遣3年ルール②

派遣先の同一事業所は、3年を超えて派遣スタッフを雇うことができません。例えば、1年前から違う派遣スタッフが働いていた事業所の場合、2年後が抵触日(※)となります。つまり、3年よりも短い期間で派遣期間が終了する場合もあるため、注意が必要です。ただ、派遣先の過半数労働組合が許可した場合に限り、就労期間を延長することができます。

(※)抵触日とは
派遣として働くことができる期間が切れた翌日のこと。例えば、抵触日が11月1日の場合は、派遣スタッフとして働けるのは10月31日までとなります。抵触日を迎えると、派遣先企業は派遣スタッフを受け入れることができなくなり、派遣スタッフもそれまでと同じ組織で働くことができなくなります。

『3年ルール』には例外もある

3年ルールは業務内容に関係なく適用されますが、以下のケースは対象外です。
・派遣元企業(派遣会社)に無期雇用されている派遣スタッフ
・60歳以上の派遣スタッフ
・期限があるプロジェクトなどの業務に携わっている場合
・日数限定業務(1カ月間の業務日数が通常労働者より少なく、月10日以下の業務)に携わっている場合
・産前産後休業・育児介護休業などを取得する労働者の代替業務に携わっている場合

同一派遣先で3年が経過した場合は?

通常、抵触日は就業条件明示書などに明記されていますので、確認しておくことが前提となります。
抵触日を迎えた派遣スタッフは、同じ立場・同じ組織内で継続して働くことはできません。その後の働き方としては、大きく分けて4つの選択肢があります。

・派遣会社から別の派遣先を紹介される
・派遣先企業で直接雇用される
・派遣元に無期雇用される
・同じ派遣先企業で働き続けたい場合は、組織(部署や課)を異動する

『3年ルール』のメリットとは?

有期雇用の派遣社員として働くには『3年』という縛りがあり、一見デメリットのように感じますが、メリットとしてとらえることもできます。
例えば、最初は有期雇用の派遣社員として就業した場合も、3年のタイミングを機に「これまでの活躍からこのままウチで働いてほしい」と派遣先企業が考え、その要望があれば、正社員や契約社員など新たなキャリアの可能性もあるといえます。
また、『3年』というひとつの区切りを持って働けるということは、「その間にこのスキルを磨く」「新しい資格を取得する」「抵触日以降は、正社員登用を目指して働く」など具体的な目標を設定しやすくなるでしょう。

<参考記事>
同一労働同一賃金は派遣社員にどう影響する?
派遣法の3年ルールとは?3年以上働く方法は?

長期派遣で働くメリット

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長期派遣、短期派遣にはそれぞれ特徴があり、ライフスタイルや将来の目標などによって適する働き方は異なります。それぞれの働き方の主な長所・短所について説明します。

メリット1. 長期の安定収入が見込める

一番のメリットは、一定期間、収入が安定することでしょう。また、フルタイム勤務や高時給の仕事が多い傾向にあります。さらに、長期派遣では繁忙期などに残業が求められることもあり、残業手当が期待できることもあります。

メリット2. 正社員と同じような専門知識やスキルが身につく

ひとつの部署で基本的には同じ業務に長く携わるため、その職務・分野での知識や技能を磨くことができます。また、事務職であれば電話応対や来客応対など、どんな職場でも共通して求められる基本的な社会人スキルも身につくでしょう。派遣先企業によっては、スキルアップ講座や資格試験に挑戦できる機会もあり、将来の可能性を広げるきっかけが得られるかもしれません。

メリット3. 長期が前提なので、経験がない仕事でも1から学びながら働くことができる

数か月は雇用されることが前提のため、未経験の場合でも、ある程度の時間をかけて仕事を覚え、身につけることができます。短期間で単純作業などを担うより、幅広い業務にじっくり取り組みたい人には長期派遣のメリットがより感じられるでしょう。

メリット4. 社内での人間関係が築きやすい

長期間同じ組織で働くため、周囲とのコミュニケーションが生まれ、横や縦のつながりが自然に構築できるケースが多いようです。一緒に仕事をするうちにチームワークもでき、働きやすい環境・関係に恵まれる例も少なくありません。

メリット5. 仕事ぶりが評価されると直接雇用につながる可能性がある

『3年ルール』でも触れたように、抵触日を迎えた長期派遣スタッフは、派遣先企業から直接雇用される可能性もあります。つまり、日々の業務に誠意を持って取り組むことで、働き方の選択肢が広がることも期待できるのです。

長期派遣で働くデメリット

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デメリット1. 契約更新を断りづらい、辞めづらい

契約更新は3・6カ月おきのことが一般的ですが、長期雇用が前提の場合は「更新しない」と言いにくい人も多いようです。そのため、仕事や職場環境などが合わない、トラブルが生じたという場合も、辞めづらい状況に陥りがちです。そのような状況に至らないためにも、派遣元企業の担当者としっかりコミュニケーションをとっておくことが、長期派遣の場合は大切です。

デメリット2. 契約が更新されないことがある

長期雇用が前提とはいえ、必ずしも契約が更新されるとは限りません。派遣先企業の状況によっては、当初予定よりも短い期間で契約が終了するケースがあることも理解しておきましょう。

デメリット3. 正社員と待遇差がある場合も

正社員は、スキルの向上や勤続期間、業務内容や責任範囲に応じて昇給・昇格があったり、賃金やボーナス、福利厚生などの待遇が派遣スタッフと異なるケースもあります。場面によっては正社員との待遇差を感じることもあるかしれません。
ただし、派遣スタッフも派遣元に相談すれば、期間やスキルに応じ昇給する可能性もあります。まずは、派遣会社に相談してみましょう。

長期・短期派遣の違いを知って、自分に合った働き方を選ぼう

長期派遣と短期派遣の期間や仕事内容の違い、そしてそれぞれの短所と長所を解説しました。
どちらにもメリットがありますが、特に長期派遣では、経験を問わず新しい仕事にもチャレンジしやすい、スキルアップなども見込める、やりがいを持って快適な環境で働きやすい、など派遣スタッフにとってうれしい点が多いといえるでしょう。
自身のライフスタイルにはどちらが適しているのか、どんなキャリアプランを持っているのかなどを踏まえて、より自分らしい働き方を選びましょう。具体的にはどんなお仕事があるのか知りたい、キャリアプランについて迷っている、という人はまずは、派遣会社に相談することをおすすめします。

ライター:みやごかよ(コピーライター/ライター)
複数の広告制作会社にてコピーライター、プランナー、制作ディレクターを経験後に独立。現在はフリーランスとして活動中。「むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをおもしろく~」という井上ひさしさんの言葉を大切に日々ライティング中。猫と植物とアートをこよなく愛する1女の母。

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