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動機づけの上手いマネジャーになるために

動機づけの上手いマネジャーになるために

2017年にリクルートワークス研究所が、東証一部企業(197社)の人事部を対象に行った「Works 人材マネジメント調査 2017」の調査結果では、管理職に必要とされる16の能力・スキルのうち、「部下の動機づけスキル」が最も不足しており、育成課題としていることが明らかになりました。部下の動機づけの力が高いマネジャーと、そうではないマネジャーには、どのような行動に違いがあるのでしょうか。さらには、部下を動機づける行動をどのように身につけて行けばよいのでしょうか。

部下の動機づけが上手いマネジャーは、どのような行動に差があるか

動機づけの上手いマネジャーになるために_1

出所:リクルートワークス研究所「Works人材マネジメント調査2017」

「部下の動機づけスキル(40.1%)」をはじめとした、部下に関するマネジメントスキルが課題であるという結果が確認されました。これは、部下とのコミュニケーションの取り方や部下のモチベーション向上の方法について、いかに日本企業が強い課題感を持っているかを物語っています。

リクルートワークス研究所では、2017年9月に、1,221名のマネジャーを対象に「マネジメント行動に関する調査」を実施しました。調査対象者は、5名以上の部下を持ち、部下の一次考課者である管理職。マネジャーとして日々の業務推進に必要と考えられる39のマネジメント行動について、その実施状況を尋ねました。

各マネジャーが部下を動機づけるマネジメントスキルに違いが生じているかを把握するために同調査の3つの設問「チーム全体のモチベーションが高い」「チームとして一体感がある」「チームとして向上心が高い」の回答の詳細分析から、部下の動機づけが「上手いマネジャー(A)」と「上手ではないマネジャー(B)」に分類しました。

図表2は部下の動機づけが「上手いマネジャー」と「上手ではないマネジャー」との間で、39のマネジメント行動の中から大きな違いが生じている5つの行動を示したものです。なお、以下から行動の主体はマネジャーとして解説します。

図表2 部下の動機づけが上手いマネジャー(A)と上手ではないマネジャー(B)の行動の比較

図表2 部下の動機づけが上手いマネジャー(A)と上手ではないマネジャー(B)の行動の比較

出所:リクルートワークス研究所「マネジメント行動に関する調査2017」
注)マネジメント行動ができている割合は、(A)と(B)それぞれに、該当する行動について質問を行い、5件法で求めた回答のうち「よくあてはまる、できている」か「どちらかというと、あてはまる」と回答した比率を掲載

部下の動機づけが上手いマネジャーと上手ではないマネジャーの間で最も実施状況に差が大きい(37ポイント)行動は、部下への職務のアサインについての「内省」です。これは当該期の終了時に実施する行動です。
→職務のアサインとその結果について、時間を確保して自ら振り返っている

続く「加筆修正」「リアルタイムフィードバック」「ディスクローズ」の3つの行動は、部下の職務の進捗時や完了時に、部下のアクションや職務のアウトプットを見て実施する行動です。いずれも、より効果的に実施するためには部下の様子や職務の状況を把握していることが要点となる行動です。
→部下に職務を任せた後も放置せずに、部下や職務の状態の理解に努めている

5つ目の「意義付け」は、マネジャーが部下に職務を任せる際に実施する行動です。部下の立場からすれば、単に職務を割り振られるよりも、その職務における重要性や意義・価値について説明を受けたうえで任された方が、当然意欲は高まるものです。
→部下への職務委任について丁寧に取り組んでいる

部下の動機づけが上手いマネジャーは、部下への職務委任時、職務進捗時、職務完了時、さらには期末といったマネジメントプロセスのあらゆる場面で部下の意欲を高めるための行動をとっていることがわかります。

動機づけスキルを身につけるためには、どうすればよいのか

動機づけの上手いマネジャーになるために_2

次に、これらのマネジメント行動をどのように習得していくべきかについて考察します。部下の動機づけスキルを課題と感じているマネジャーは、どのようなステップを踏んで動機づけに関するマネジメントスキルを身につけていけば良いのでしょうか。図表3は上記で紹介した5つの行動を実施している比率が、マネジメント経験年数によってどう変わるかを表したものです。

図表3 マネジメント行動とマネジメント経験の関係

図表3 マネジメント行動とマネジメント経験の関係

出所:リクルートワークス研究所「マネジメント行動に関する調査2017」
注)縦軸はマネジメント行動の実施状況。該当する行動について質問を行い、5件法で求めた回答のうち「よくあてはまる」と回答した比率を掲載

まずは「内省」についてですが、これは経験年数の低いマネジャーほど、実施することができていない行動であり、マネジメント経験が積み重なるほど行動できる比率が高まっています。

一方で、「リアルタイムフィードバック」や「ディスクローズ」は、経験年数が低いマネジャーであっても、比較的その行動を実施できており、経験年数による差が小さいことがわかります。「リアルタイムフィードバック」とは、部下が良い行動をしたら即座にポジティブなフィードバックをすることですが、これは初級クラスのマネジャーであっても、実行することが可能な行動のようです。このように、マネジメント行動の中でも、習熟するまでに一定の時間を要するものもあれば、直ちに実践できるものもあることがわかります。