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ここを押さえればOK!派遣に関する法改正のルールを解説!

ここを押さえればOK!派遣に関する法改正のルールを解説!

2013年に労働契約法、2015年に労働者派遣法(派遣法)が改正されましたが、具体的に何がどう変わったかご存知ですか?きちんと理解している人は少ないのではないでしょうか。派遣に関する法改正で新たにできた「期間制限」「無期転換ルール」について、また派遣を活用する企業が必ず知っておくべき「労働契約申込みみなし制度」について、わかりやすく説明します。

派遣法改正で変わったことは何?

労働者派遣法(派遣法)の改正で新しく追加されたのが「期間制限」です。また、「期間制限」と関連していて、混同されやすいものに「無期転換ルール」があります。期間制限と無期転換ルールは何が違うのでしょうか。似ているようで適用される対象が違うルール。混同しないようにきちんと把握しておくことが大切です。

派遣法の期間制限

「期間制限」は、契約労働者や契約社員・パート・アルバイトには適用されない派遣スタッフだけ適用されるルールで、労働者派遣法(派遣法)の改正によってできたものです。
労働者個人単位の派遣期間制限として、同一の派遣社員が同一組織で働ける期間を最大3年までと定められています。また、同一組織単位の派遣期間制限として、同一組織が継続して派遣社員を受け入れられる期間を、原則として最大3年までと定めています。つまり、「派遣可能期間は3年まで」ということになりました。
派遣会社は3年を超えて派遣社員を派遣することができなくなり、また就業してから3年が経過する派遣社員に対し、派遣先企業への直接雇用の依頼や新たな派遣先を提供、派遣会社での無期雇用など、雇用が安定するための措置をとることが義務付けられました。
また、ここで定められている3年という期間は、同一組織単位に対して定めたものです。就業してから3年以上経ったら別の課へ異動をする、同じ課だとしても別の業務をするということであれば、派遣スタッフとして引き続き同じ企業で働くことができます。

労働契約法の無期転換ルール

「無期転換ルール」は、派遣スタッフのみが対象になる「期間制限」と違い、契約社員・パート・アルバイトなど全ての有期契約労働者に適用されるルールです。「期間制限」が労働者派遣法に関するものであることに対し、「無期転換ルール」は改正労働契約法を指しています。
同一組織に就業して5年以上経った有期契約労働者は、無期雇用契約に申請できます。また、無期雇用契約転換の申請を受けた場合、就業先の企業は申請を拒否することはできない制度となっています。
しかし、申請をすることで無期雇用契約に転換したとしても、雇用形態・担当業務・待遇面などはそれまでの有期契約と変わらないことがあるので、事前に確認しておくことが重要です。

派遣労働者にとって「期間制限」「無期転換ルール」とは?

派遣労働者からすると、「期間制限」「無期転換ルール」による無期雇用契約の転換は、安定した雇用を望める画期的な制度です。しかし、今まで通りの職場で同じお仕事をする場合業務内容は変わらないことも多いため正社員を目指したい、いろいろな仕事を覚えてキャリアアップしていきたいという人には、注意が必要です。

労働者側が無期労働契約を結ぶ際のメリット・デメリットは?

では、無期労働契約になるメリット、デメリットはどんなものがあるでしょうか。

無期労働契約に転換するメリット

・契約期間が無期限(定年などの定めを除く)になるので雇用や収入が安定する
・契約更新の必要がない

無期労働契約に転換することで、今まで行われていた契約更新がなくなります。そのことにより、契約終了による失職の心配をすることなく、安心して働けるでしょう。業務内容自体も以前と変わらないことが多いため、負担が少ないこともメリットです。

無期労働契約に転換するデメリット

・同じ雇用条件で無期雇用するため正社員にステップアップしにくい
・契約期間以外の内容が変更されないことがある
・有期雇用の派遣社員として働いていたほうが待遇がいい場合がある

無期労働契約に転換するデメリットは、転換後も同じ業務をするため、正社員にステップアップしにくい可能性があるという点です。正社員と同じような仕事をしていても、給料や福利厚生などに違いがある場合もあります。安定はするものの、派遣スタッフとして働いていたほうが給料などの待遇がいい場合もあるでしょう。

違法派遣について

「労働契約申込みみなし制度」という言葉をご存知でしょうか。派遣先が違法派遣と知っていながら労働者を受け入れている場合、派遣先が労働者に対して直接雇用を申し込んだものとみなす制度のことです。違法状態が発生したときからが対象です。

対象になる違法派遣業務

違法派遣として設定されている業務は、以下のものになります

1. 港湾運送、警備、建設など派遣禁止業務へ派遣社員を受け入れた場合
2. 無許可の派遣会社から派遣社員を受け入れた場合
3. 派遣可能期間を超えて派遣社員を受け入れた場合
4. 派遣法等の適用を免れる目的で、いわゆる偽装請負をおこなった場合

派遣先企業が、違法派遣と知りながら労働者を受け入れていたことが発覚した場合は要注意です。違法が発生した時点から、派遣先が労働者に対して直接雇用を申し込んだものとみなされてしまいます。正しく理解しないまま、知らず知らずのうちに違法派遣に関わってしまうと、場合によっては罰則の対象となり、社会的な信用を落としてしまう事態になりかねません。トラブルなく雇用契約するために、押さえておくべきポイントは事前にしっかりとチェックしておきましょう。

まとめ

労働契約法、労働者派遣法の改正により、派遣会社・派遣労働者だけでなく派遣先企業にも変化が出てきました。「期間制限」が適用されるのは派遣社員のみ、一方「無期転換ルール」は派遣社員だけでなく契約社員・パート・アルバイトなど全ての有期契約労働者に適用されます。また、「労働契約申込みみなし制度」についても知らなかったでは済まされません。派遣先企業として会社や派遣労働者を守るために、しっかりと理解をしておかなければならない法律です。