閉じる

褒めスキルで人間関係を円滑に!職場で役立つ「褒め上手」になるコツ

褒めスキルで人間関係を円滑に!職場で役立つ「褒め上手」になるコツ

人間関係をよりよくしていくための方法のひとつに「相手を褒める」行為があります。職場でのコミュニケーションにも“褒め”をプラスすることで、「なんとなく距離を感じていた人と仲良くなれた」「仕事をお願いしやすくなった」などの効果を感じている人もいるでしょう。一方、「褒めたつもりが逆効果になってしまった…」という、“褒め下手”な人もいるかもしれません。
今回は、褒め上手になるための7つのポイントと、逆効果になりがちなNG例を紹介します。ぜひ、職場での円滑な人間関係作りのヒントにしてください。

褒めることでもたらされる効果とは?

褒めスキルで人間関係を円滑に!職場で役立つ「褒め上手」になるコツ_1

人はだれでも、褒められて嫌な気持ちはしないものです。他者から認められたいという欲求(承認欲求)はだれもが持っている自然な欲望です。そして、褒めることは相手を心地よくさせるだけでなく、褒める側にとってもプラスの効果をもたらしてくれます。具体的にはどんなメリットがあるのでしょう。

1.相手の自信ややる気を引き出す

「人は期待されることによって成長が高まる」という心理効果をご存じですか?これは、ピグマリオン効果と呼ばれるものです。「教師が生徒に期待をかけると、生徒の成績が伸びる」という教育現場での例が代表的ですが、職場での人間関係にも応用できると考えられています。仕事においても、褒めることで、相手の気持ちや行動をポジティブに変化させることができるでしょう。

2.良好な人間関係につながる

褒められると、人はドーパミンと呼ばれる快感ホルモンが放出されます。ドーパミンは意欲や快楽に関係する神経伝達物質で、放出されることで気分が高まり幸せな気持ちになります。また、「褒めてもらえた!」という喜びや安らぎが生まれ、褒めてくれた相手に対する信頼感が自然と高まるとされています。

3.自分の気持ちも前向きになる

褒める行為は、実は褒められた人だけでなく、褒めた人にもメリットがあります。相手が喜んだり成長したりする姿を目にすることは、自身の成果として実感することにもつながります。また、褒められた人と同様にドーパミンが放出されやすくなり、脳が活性化。自身の気持ちや行動にもプラスの変化をもたらしてくれます。

「褒め上手」な人ってどんな人?共通する4つの特徴

褒めスキルで人間関係を円滑に!職場で役立つ「褒め上手」になるコツ_2

日本には、褒める文化があまり浸透しておらず、「言わなくてもわかるだろう」「厳しく鍛えることが相手のためになる」という意識が根強い傾向があります。そんな中、さりげなく相手を褒めたり、相手を心地よくしたりするフレーズが日常的に言える人には共通点があります。「褒め上手」な人の特徴は、どんなところにあるのでしょう。

相手をよく観察している

よく知らない人のことを褒めるのは、だれしも難しいもの。日頃から相手の言動に注意を払っていると、良いところや褒めるポイントにも気付きやすくなります。

褒めることを恥ずかしがらない

普段から言い慣れていないと褒めることが特別なことに思え、気恥ずかしく感じるかもしれません。褒め慣れていない人は、「それいいですね」といったシンプルな言葉から始め、慣れていきましょう。また、「褒める」=「下心がある」など、考え過ぎてしまう人もいますが、褒めないより褒めた方がコミュニケーションアップにつながりやすくなります。

嘘やお世辞は言わない

褒めることは、お世辞を言うこととイコールではありません。大げさに伝えるのではなく、事実に基づいて良いと思った点、評価できると感じた点を素直に相手に伝えることが大切です。

短所を長所に変換できる

「話し下手→聞き上手」「作業に時間がかかる→丁寧で慎重」など一見、短所やコンプレックスに感じる特徴を相手の個性と捉えてポテンシャルを引き出すことも、褒め上手な人が心がけているポイントです。

褒めるのが苦手な理由とは?

褒めるのが苦手な理由として、下記3つを紹介します。

1.期待値が高い

褒めるのが苦手な人の中には、相手に対する期待が高いことが理由で褒められない人もいます。期待が高い場合、たとえ結果が出ていても、期待を大幅に超えていないと褒めるに値しない、どこを褒めればいいかが見つからないと感じるためです。

2.褒めのバリエーションが少なく思い浮かばない

日本には、謙遜する文化があり、実際に自分や身内をへりくだって呼ぶ謙称が複数あります。よく使うものだと弊社、当方、粗品などがあります。このように、自分や身内のことを褒めないため、自分自身も褒められて育ってきておらず、褒め言葉のバリエーションがないというのも褒めるのが苦手な理由のひとつです。

3.褒め慣れておらず、言うのが恥ずかしい

謙遜文化で褒められて慣れておらずバリエーションがないのと同様に、褒めることにも慣れていないため、褒め言葉を言うのが恥ずかしいと感じる人もいます。しかし、褒めるメリットが多いのは事実です。この記事で紹介した褒め方のコツを参考に、褒める回数を増やしていけば徐々に褒め上手へと成長していけるでしょう。

褒め上手になるための7つのコツ&ポイント

褒め慣れていない人にとっては、どのタイミングでどんな言葉をかければよいのか、なかなかわからないものです。そこで、褒めるときに気をつけたいポイントや具体的なヒントを紹介します。

1.さらっと褒める

大げさに褒めたり、同じ褒め言葉を連呼したり、過剰評価して褒めるのはNG。あいさつのついでに褒め言葉をかける、くらいのほうが相手の負担になりません。
例)
「おはようございます。今日のネクタイ、とても似合っていますね」
「おつかれさまです。○○さんの机の上は、いつも整理が行き届いていますね」

2.具体的に褒める

「いいですね」など、だれにでも当てはまる抽象的な言葉を投げかけがちですが、どんな点がどんなふうに評価や尊敬に値するのかを具体的に伝えたほうが、相手もよりうれしく、信頼や親しみへつながりやすいでしょう。
例)
「先日作ってくれたデータ、抽出するポイントが明確で商談を進めやすかったよ」
「共有ファイルの中の情報、最新のものにすぐに更新してくれるから、助かるよ」

3.本人がいないところで間接的に褒める

面と向かって褒められると照れ臭かったり社交辞令のように感じられたりしますが、自分が不在のところでだれかに褒められていたことを知るのは、思いのほか嬉しいもの。これは、「直接言われるよりも、第三者から間接的に言われたほうが信ぴょう性や信頼性が増す」というウィンザー効果が働くからです。
また、本人がいないところであえて第三者に褒め言葉を伝えておくと、いつの間にか本人に伝わることもあります。
例)
「Aさんが作ってくれる資料は、いつも見やすくて助かるよね」
「先日成立した商談、Bさんのサポートが決め手だったらしいよ」

4.質問形式で褒める

人は、質問をされるとついつい答えたくなるものです。質問という形をとりながら、相手の優れた点をさりげなく褒めるのも無理のない褒めテクです。質問によって会話が発展するため、コミュニケーションが活発になるというメリットもあります。
例)
「どうすればそんなに英語が話せるようになるんですか?」
「Aさんみたいに、わかりやすい資料を作るコツは何ですか?」

5.大勢の前で褒める

褒めスキルで人間関係を円滑に!職場で役立つ「褒め上手」になるコツ_4_5

朝礼や会議など関係者がたくさん集まる場で褒めるのも、ウィンザー効果が働くため信頼度が増します。褒められた本人はもちろん、他の人たちにも「自分も褒められたい!」という気持ちが生まれ、モチベーションアップの効果も期待できるでしょう。
例)
「Aさんのアドバイスのおかげで、先日の商談がまとまりました!」
「Bさんが集めてくれた調査データを、お客様がすごく評価していました」

6.褒め言葉の「さしすせそ」を活用する

会話の端々にさりげなく含めると効果を発揮する、褒め言葉の「さしすせそ」。適度に使うことで、相手との距離を縮めるきっかけになります。
・「さ」さすがですね
・「し」知りませんでした
・「す」すごいですね
・「せ」センスがありますね
・「そ」そうなんですね
過剰に使うのは逆効果になってしまいますが、自然な流れの中でプラスすると相手も嫌な気持ちはしないはずです。「褒め上手」への最初の一歩として、相づちがわりに試してみるのもおすすめです。ただし、安易に目上の人に使うのは軽率な印象を与えることもあるので、ご注意ください。

7.褒め言葉をメールで伝えるのも◎

褒め言葉は、直接はもちろん、メールなどで伝えられるのも嬉しいものです。用件を伝えるメールの中でも、エッセンスとしてプラスすると自然かつ効果的です。面と向かっては伝えにくい褒め言葉や感謝の気持ちも、伝えやすくなるでしょう。

職場で相手を褒めるポイント

職場で相手を褒めるポイントは、仕事の成果や行動などです。

行動

行動面では、下記のような褒め方をすると良いでしょう。
例:同僚がホウレンソウをきちんとしてくれる
「◯◯について先月から共同で取り組ませていただいていますが、こまめに報告や相談をくださるので、本当に仕事をしやすく感じています。いつもありがとうございます。」

成果

成果を褒める際には、下記のようにその人の具体的な成果と付け加えると伝わりやすくなります。
例:事務として働く上司の営業グループが初めて目標を達成した
「目標達成おめでとうございます!◯◯さんが企画した施策がお客様からの反応も良かったからだと(部下の」Aさんもおっしゃっていました。他グループも成功要因が気になっているようなので、まとめて共有して、全社の売上にも貢献していきましょう!」

これまでに紹介したコツと上記を参考に、ぜひ褒め上手になり、業務を円滑にすすめていきましょう。
 

相手との距離が開いてしまう!?褒め方NG例

褒めスキルで人間関係を円滑に!職場で役立つ「褒め上手」になるコツ_6

相手との距離を縮め、より良い関係作りに効果的なはずの褒め言葉も、使い方を誤ると逆に不信感を与えてしまうことにもなりかねません。褒めているつもりなのに相手を不快にしていないか、今一度チェックしてみてください。

NG1.上から目線で褒める

「褒める」というと目上の人が目下の人を評価することのように感じますが、ビジネスでは「感謝」を伝える言葉と捉えておくのがよいでしょう。例えば、「よくできたね。がんばったね」と伝えると上から目線に受け取れますが、「ありがとう。助かったよ」など感謝を伝える言葉なら、相手も素直に受け取ることができます。

NG2.過剰に褒める

「ズバ抜けてすごいですね!」「格が違う!」など、オーバーな言葉を使ったり、何度も同じ言葉を繰り返したりして褒めるのはNGです。悪気はなくても相手は素直に受け取れず、かえって警戒してしまうこともあるので注意しましょう。

NG3.他者と比較して褒める

「あの人はダメだけど、あなたは好成績だった」など、他人と比較した上での褒め言葉は、本当の意味で褒めていることにはなりません。また、相手も素直に喜べないはずです。比較するなら、相手の過去と現在を比べて成長を評価するのが好ましいでしょう。

要注意!褒められたときに使いがちなNGワード「たちつてと」

褒めることに不慣れなだけでなく、褒められることにも慣れていない人は多いのではないでしょうか。そんな人が、褒められるとついつい謙遜の気持ちで使ってしまう言葉がいくつかあります。これらの言葉は、せっかく褒めてくれた相手が気分を害してしまうこともあります。褒めてくれた相手と良好な関係を築くためにも、何気なく多用していないか振り返ってみることをおすすめします。

・「た」大したことないです/だって
・「ち」違うんじゃないですか
・「つ」つまらないですね
・「て」でも
・「と」とんでもないです

「褒め」を上手に使って、ビジネスの人間関係を円滑に

「褒める」という行為は、相手との関係性だけでなく、チームや部署全体の人間関係の潤滑油にもなります。ひいてはそれが、自身のモチベーションを引き上げることにもつながります。
ただ、効果的に使うにはちょっとしたコツを知っておくことが大切。今回紹介したポイントを参考に、「褒める」技術を磨いて、職場でのスムーズなコミュニケーションに役立ててください。
 



<ライタープロフィール>
高下 真美

新卒で人材派遣、人材紹介企業に入社し、人事・総務・営業・コーディネーターに従事。その後大手人材会社に転職し、営業として8年勤務後、HR系ライターとしてフリーランスへ転身。現在は派遣・人材紹介・人事系メディアでの執筆、企業の採用ホームページの取材・執筆の他、企業の人事・営業コンサルタントとして活動中。
 


■関連記事(リンク)
「何を言っているかわからない」とはもう言わせない!ビジネスで伝わる話し方のコツ
https://www.staffservice.co.jp/cheer/jobs/speaking.html

仕事ができる人は質問上手!?「質問力」を磨いて人間関係もスキルも上向きに
https://www.staffservice.co.jp/cheer/jobs/question.html