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残業の削減指示が悩み?働き方改革で起きた「良い変化」「悪い変化」

残業の削減指示が悩み?働き方改革で起きた「良い変化」「悪い変化」

2019年4月1日から新たに働き方改革関連法が施行されました。企業ではどのような取り組みが行われているのでしょうか?また、その取り組みによってどのように仕事環境は変化しているのでしょうか。今回は、正社員・契約社員として働く女性300人を対象に、働き方や職場環境の変化について調査を行いました。

現在の働き方や職場環境に満足している人は58.3%

残業の削減指示が悩み?働き方改革で起きた「良い変化」「悪い変化」_1

勤務先での働き方や職場環境の満足度を聞いたところ、「満足している」(11.7%)「どちらかといえば満足している」(46.7%)と答えた人の合計が58.3%となり、やや多数派であることがわかりました。「満足している」「どちらかといえば満足している」人の割合を、既婚者、独身者それぞれで見てみたところ、既婚者は65.3%、独身者は51.3%と、既婚者のほうが勤務先での働き方や職場環境に満足している傾向にあるようです。

企業の取り組み上位は「有休消化の推進」「時短勤務」「残業の規制」

残業の削減指示が悩み?働き方改革で起きた「良い変化」「悪い変化」_2

働きやすい環境づくりのために、勤務先にどのような取り組みや制度があるか聞いたところ、「有休消化の推進」「時短勤務」「残業の規制」「育児・介護支援」が40%前後の割合で上位を占めました。これらの取り組みが積極的に行われている傾向にあることがわかりました。

これらの取り組みに関して、既婚者、独身者別での回答を見ると、既婚者のほうが取り組みが進んでいることがわかります。特に、「時短勤務」「育児・介護支援」「ダイバーシティ、女性活躍推進」はその傾向が顕著で、結婚や育児など、さまざまなライフステージを迎える可能性がある女性にとって、重要な取り組みといえるでしょう。その他の取り組みは、軒並み10%台となり、企業によって対応が分かれるようです。

本当に働きやすくなった?取り組みによる「良い変化」と「悪い変化」

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勤務先の環境の変化は、従業員一人一人にさまざまな影響を与えます。良い変化として多かった回答は、「業務の自動化・効率化」(51.9%)と「有休消化の推進」(51.1%)の2つが半数を超えて上位となりました。

■「業務の自動化・効率化」による良い変化
会議が効率化されるようになった(女性/34歳)
勤務時間外の会議、研修などの強制出席がなくなった(女性/42歳)
効率化のアイデアに会社が前向きになり、精神論が減った(女性/43歳

■「有休消化の推進」による良い変化
法令通り有休消化が義務づけられ、それに伴い年休が5日間増えた(女性/34歳)
上司が有休を取りやすい環境を意識してくれるようになった(女性/46歳)
有休がある分、副業にも従事できるようになった(女性/41歳)

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「残業の規制」に関しては、44.2%の人が良い変化があったと回答している一方で、15.5%が悪い変化があったとも回答しています。これは悪い変化のなかで最も高い割合を占めています。

■「残業の規制」による良い変化
仕事をしている人がいると残業に付き合わなきゃいけないという空気がゼロになった(女性/45歳)
上司がどれくらい残業しているか把握するようになった(女性/49歳)
早く帰れるので家族と話せるようになった(女性/47歳)
ノー残業デーが設けられ、プライベートの時間が充実した(女性/29歳)

■「残業の規制」による悪い変化
実態が伴わず、一部の人に残業が偏るなど苦しい状況になっている(女性/34歳)
規制するだけで仕事量は変わらないので上司に隠れてサービス残業をするはめになっている(女性/33歳)
残業時間を規制されると給料が減ってしまう(女性/43歳)

その他、「副業」の取り組みに対しては「時短勤務で減った収入を補え、気分転換になる」(女性/37歳)など、注目が集まっています。是非については議論が進められる副業・兼業ですが、人手不足が深刻化するなかで、本業に支障がなければ認める企業も増えているようです。

また、「テレワーク」「在宅勤務」など、時間や場所を有効に活用できる働き方の取り組みは、「在宅勤務だと、子どもが熱を出したりした時に助かる」(女性/32歳)という声に加え、子育てをしながら働く女性以外からも、「テレワークでミーティングに参加することができるので、情報の共有や業務の進捗、分担がしやすくなった」(女性/41歳)、「サテライトオフィスで他の拠点で仕事がしやすくなった」(女性/46歳)など、効率面を評価する声が上がっています。

チェックしておこう!2019年4月から順次施行される働き方改革関連法

これからますます変化していくことが予想される企業での働き方。そこで最後に、2019年4月に施行された働き方改革関連法についておさらいしておきましょう。今回の働き方改革関連法で変わったのは、下記の8つの法律です。

・労働基準法
・雇用対策法
・労働安全衛生法
・労働者派遣法
・労働時間等設定改善法
・パートタイム労働法(パート法)
・労働契約法
・じん肺法

これが関係するのは正社員だけでなく、派遣社員、パート・アルバイトなど、働くすべての人の労働環境に影響を与えます。そのなかでも、「長時間労働の是正」、「雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保」の2つはしっかり内容を押さえておきましょう。

■長時間労働の是正
残業時間の上限を超えないよう、企業側は十分留意する必要があります。上限は月45時間で年360時間、繁忙期などの特別な事情がある場合でも年720時間、単月100時間未満、複数月80時間が限度で、もし上限を超えた場合には、企業側に罰則が与えられます。
大企業ではすでにスタートしていますが、中小企業は2020年4月から適用となり、1年間の猶予期間が設けられています。また、その他にも猶予、除外となっている事業・業務があります。

■雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保
同じ業務に就いている限り、雇用形態にかかわらず同じ待遇を得られるようするもので、「同一労働同一賃金」とも呼ばれます。これにより、時給の格差、通勤手当の有無などの不合理な待遇差をなくし、多様な働き方を選べる社会になることを目指しています。この取り組みは大企業では2020年4月1日から、中小企業では1年間の猶予期間を経て2021年4月1日からスタートします。

まだまだはじまったばかり!「働き方改革」の今後の動きに注目

今回の調査では、現状の勤務先での働き方や職場環境に満足している人は半数を超え、「業務の自動化・効率化」や「有休消化の推進」といった取り組みに対して、良い変化を感じている人が多いことがわかりました。
今後、生産年齢人口の激減も予想されるなかで、正社員・非正規社員などの雇用形態を問わず、多種多様な働き方に対する「働き方改革」も急ピッチで進められていくでしょう。企業での働き方改革の現状とあわせて、今後の動きにも注目です。