派遣に関する保険の知識

派遣で健康診断は受けられる?受けられない?

「勤務地、曜日など自分の都合にあわせて働ける」、「自分にあったお仕事を選択しやすい」など、ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)を実現していくうえで、さまざまなメリットがある「派遣」という働き方。しかし、一生懸命働いているにも関わらず、福利厚生面では「正規雇用に対して劣る部分が多いのではないか」と不安を抱いている方もいるかと思います。では実際はどうでしょうか。今回は代表的な福利厚生の1つである「健康診断」について見ていきましょう。

派遣スタッフも健康診断を受けられます

後ほど詳しく説明しますが、事業者が労働者を雇い入れた際には、定期的な健康診断をおこなうことが義務付けられています。それと同じように派遣会社は、雇用契約を締結している派遣スタッフに対して、健康診断を受けさせる法的義務があります。ただし、派遣会社によって就業期間、就業時間などの条件を定め、健康診断を受けられる基準を決めているので、不安な場合は契約時に基準を確認しておきましょう。

雇用企業は社員の安全面に法的責任を負います

例えば、ある企業に就職した場合、企業は「労働安全衛生法」(以下、安衛法)という法律に基づき、社員に対して安全衛生や健康面について、法的責任を負うことになります。この法律は、職場における労働者の安全と健康を守り、労働災害を防止する目的で作られたもので、昭和47年に労働基準法から分離し独立しました。安衛法66条で「健康診断の義務付け」を、また120条では健康診断を怠った場合に事業者は「50万円以下」の罰金に処せられるという罰則規定を定めています。
この安衛法により、事業者は「常時使用する労働者」について、雇い入れの際と、その後1年以内ごとに1回の定期健康診断を行うことが義務付けられています。また化学物質が多く漂うような現場や、極端に暑い、または寒いなど特定の環境下にいる従業者については6ヶ月以内ごとに1回の健康診断、給食従業員については配置替えや雇い入れのたびに検便をするなど、細かな規則があります。
定期健康診断の項目には、身長や体重測定、エックス線、血圧、貧血、肝機能、血糖、病、心電図などがあり、年齢によって該当する項目が違います。

労働者派遣法でも決められている派遣スタッフへの健康診断

一方、「派遣スタッフの健康診断の有無」についてはいかがでしょうか。派遣で働く労働者の権利を守る「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」の第45条には、派遣スタッフの安全衛生確保の義務に関しては、労働安全衛生法の適用を受けるということが明記されています。
このことから、派遣スタッフと雇用契約を結ぶ人材派遣会社は、安全衛生、健康確保のために、就業時間などで一定の基準を満たす派遣スタッフに対して健康診断を実施しなければならないのです。
ただ、冒頭にご説明したように、各々の派遣会社で、健康診断を受けられる基準を設定しています。たとえば「就業1年目は6ヶ月以上、週30時間以上従事した場合」、「1年以上継続で就業した場合」などといった具合です。気になる方は、派遣で働く際に、ご自分の就業状況では健康診断の受診が可能かどうか、契約時にしっかり確認してから就業するようにしましょう。
また派遣会社が加入している健康保険の仕組みによっては、一般的な定期健診で受けられるもののほかに、本人が希望し負担金を支払えば受けられるような特定の検診もあります。年齢や性別によっては受診したほうが良いものもありますから、自己負担で受けられるようなコースがないかどうかについても確認してみましょう。また、被保険者の扶養家族が受けられる検診についても、規定がある場合があります。よく調べてみましょう。
ただし、何らかの自覚症状がみられるような場合は、会社の健康診断を待つことなく自分自身で医療機関を受診することが大事です。どんなお仕事でも、「身体が資本」。いつまでも健やかに働けるよう、身体の声に耳を傾けて生活しましょう。

執筆参考サイト
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/anzen/dl/130422-01.pdf(厚労省)
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/anzen/dl/091130-1e.pdf(厚労省)