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派遣に関する法律~3分でわかる労働者派遣法の改正

「改正労働者派遣法」の施行

2015年(平成27年)9月30日より、「改正労働者派遣法」(以下、改正派遣法)が施行されました。正式名称は「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律等の一部を改正する法律」で、2012年(平成24年)10月1日に改正・施行された派遣法をさらに改正するという内容になっています。名称からして難しそうなのと、前回からあまり間を置かずに再改正するということで、内容を把握しきれていない方が多いかもしれません。けれども、派遣スタッフとして働くうえで、自分を守ってくれる法律を知ることはとても大切なこと。ここでは、平成24年の改正内容もおさらいしつつ、今回の法律の改正ポイントの一部について簡単に解説します。

おさらい:平成24年の主な法律改正ポイント

・一部例外を除いた「30日以内の日雇い派遣の原則禁止」
・派遣会社による「マージン率等の情報公開」の義務化
派遣で働こうとする人々が、それぞれの派遣会社のマージン率(派遣先企業から支払われる金額における、派遣会社の取り分の比率)や教育訓練に関する取り組み状況などをもとに適切な派遣会社を選択できるよう、派遣会社にはこれらに関する情報公開が義務付けられました

・派遣スタッフの給料に関する「派遣先企業の社員との均衡(賃金など)への配慮」
派遣先企業で同一作業にあたる直接雇用の社員の賃金水準や、派遣されるスタッフの経験や、意欲、能力、職務の成果などを配慮して決定されるようになりました。

・「派遣会社の派遣スタッフへの待遇説明の必須」
雇用契約を結ぶ前の、賃金の見込み額や待遇、派遣会社の事業運営に関してや、労働者派遣制度の概要などの説明が必要となりました。

・「派遣スタッフの希望があった場合、期間の定めのない雇用へと転換することが努力義務に」
派遣会社は、派遣スタッフ(雇用期間が通算1年以上)が希望する場合、有期での雇用から期間の定めのない雇用へと転換できるよう、努力する義務が課せられるようになりました。

今回の改正ポイント

・ポイントその1「労働者派遣事業はすべて許可制に」
これまでは特定労働者派遣事業が届出制、一般労働者派遣事業が許可制という区分がありましたが、今後は特定労働者派遣のみを行っていた派遣会社も「キャリア形成支援制度」を有しているかなどの項目が追加された新基準にもとづき、事業の許可を取らなければならなくなりました。
基準を満たした派遣会社のみ事業が許可されるようになれば、派遣スタッフをきちんと守る力のある会社が残るということになります

・ポイントその2「派遣の期間制限を見直し」
いわゆる「26業務」と「自由化業務」の区別がなくなり、一部例外を除いてすべての業務に派遣期間の制限が設けられることになりました。制限には「事業所単位」と「個人単位」の2種類があり、改正派遣法施行後に雇用契約が締結された派遣が対象となります。詳しくは「派遣の抵触日とは」のページを参照してください。

・ポイントその3「雇用安定措置」
派遣会社が派遣スタッフに対して、派遣先との契約が終了しても雇用を継続させられるように、以下の措置を取ることが義務付けられました。対象は3年間同一組織に派遣される見込みのある派遣スタッフで、本人が就業の継続を希望していれば、これらの措置が必要になります。(1年以上同一組織に派遣された場合は努力義務)
1.派遣先への直接雇用を依頼する
2.新たな派遣先を提供する(派遣スタッフの経験・キャリアや生活状況をふまえた派遣先であることが前提)
3.派遣元事業主が無期雇用し、自社で就業させる
4.その他、雇用を安定させるための措置(有給の教育訓練、紹介予定派遣など)

・ポイントその4「派遣スタッフのキャリアアップへの配慮」
派遣スタッフのキャリアアップを図るために、派遣会社には以下を行うことが求められます。
1.段階的かつ体系的な教育訓練
2.希望者に対するキャリア・コンサルティング
派遣会社はこれらの措置を自社の「キャリア形成支援制度」の一環として行う必要があり、その実施状況は、ポイント1で述べた事業の許可が下りるかどうかの判断材料となります。
なお、派遣会社だけでなく派遣先企業においても、派遣終了後の雇い入れに関する努力義務や、派遣先社員の募集情報を派遣スタッフに提供する義務など、いくつかの義務が課せられることになりました

・ポイントその5「派遣先における労働者の均衡待遇の確保」
派遣スタッフと、派遣先企業で同じ業務を行う労働者との間の均衡待遇を推奨するよう、派遣会社と派遣先企業双方に対応が求められます
1.派遣会社に求められる対応
改正以前から、均衡を考慮しながら賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生の実施にあたるよう配慮する義務がありましたが、改正後は派遣スタッフが希望すれば、その配慮の内容を説明するように義務づけられました。
2.派遣先に求められる対応
派遣スタッフの賃金等に関する情報を派遣会社に開示する、業務に密接に関連した教育訓練であれば派遣スタッフにも行うようにする、派遣スタッフにも福利厚生施設(給食施設、休憩室、更衣室)の利用機会を与えるようにするといった点に配慮が必要となります。

今回の改正には、派遣スタッフのより一層の雇用の安定とキャリアアップをはかるため、前回の改正からさらに踏み込んだ対応を求めている点もあれば、事業の許可制のように業界全体の仕組みを変えるような点もあります。
今後も、業界が抱える問題点や、それを解決するための法律改正案について、議論が続くでしょう。派遣スタッフとして働いている方は特に自分を守ってくれる法律の情報は、きちんとキャッチアップしていきましょう